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新たな出会い

ホールまでの廊下は隅々まで掃除が行き届いていたし、飾り付けが煌びやかだった。

「あんまり誰ともすれ違わないね」

「そうねぇ」

「ちょっと着いたのが早かったんじゃない?」

「安心していいですわ。ちゃんと少し休める場所は用意してありますから。レディ?」

「はい。こちらへどうぞ」

彼女の先導でホールの手前のちょっとした個室に入った。広さで言うと今いる人数でちょうどいいくらいだ。

「「はぁ……」」

「どうしたの?二人とも」

座って一呼吸置いたところで、珍しくエイリーンとロベリアが同じタイミングでため息をついている。

「だってパーティーって言ってもずーっと誰かが挨拶に来るから疲れるんだもの」

「背筋が伸びっぱなしですわ……」

「ああ……」

二人の立場を考えれば当然と言えば当然だ。だが流石に同情してしまう。

「その点私達はちょっとは美味しいものを楽しめそうですね、姉様」

「そうね。楽しみだわ」

「……ミア達の近くに行ってやろうかしら」

「巻き込む気!?」

そう言った彼女の金色の眼がキュピーンと光った気がした。エイリーンという女は本当にやりかねない。私としても流石にお偉い様の前でものを食べるわけにもいかない。

「あんまりイジメちゃかわいそうですわよ」

「ロベリア……」

言葉ではそう言いつつもちょっとニヤリとしているロベリア。本当にかわいそうと思っているのだろうか。レイと一緒にほどほどに交流をしつつ食事も楽しみたいのに。

「冗談ですわ」

「冗談に見えないんだけど……」

「まぁまぁ、姉様」

くだらない冗談を言い合っているとドアの外が少しずつ賑やかになってきたところでネイが部屋に戻ってくる。

「そろそろ皆さん集まってきましたね」

「じゃあ行きましょうか」

ロベリアが立ち上がってレディに扉を開けさせる。

「姉様、お手を」

そう言ってレイが手を差し伸べてくれる。ぎゅっと掴んで立たせてもらいつつ一緒に歩いていく。

「ありがとう。レイ」

「無理しちゃだめですよ。これからしばらく立ちっぱなしなんですから」

「本当に厳しくなったら言うのよ。部屋は用意させるわ」

「ありがとうね、エイリーン」

ホールに入ると、おいしそうな食事の香りが漂ってきた。そして、煌びやかなドレスに身を包んだ男女が歓談をしている。

「じゃあ、またあとで」

「勝手に帰るんじゃないわよ~」

そう言った後、一瞬でエイリーンとロベリアは人波に飲まれていった。

「さて……」

「どうしますか?姉様」

「どうしようかしらね……」

今までだったら食事をつまみつつレイと話して、たまに話しかけてくる人の相手をしていたが流石にこれではいけない気がする。

「話しかけに行ってみようかしら……」

「なるほど、って姉様……!?」

「何驚いてるの」

「いや、その……姉様が自分から話しかけに行くなんてそんなこと……今までなかったので」

「ほら、新しい環境だし少しは挑戦をしないといけないかなって」

「確かにそれはそうですね……。姉様の事全力で支えますから!安心してください」

「にしても皆誰かと話しているし誰に話しかければいいのかしらね」

見渡す限り既に誰かと話している人ばっかりだ。

「そう言えば、このパーティーには新入生だけでなく二年生もいらっしゃるとか」

「二年生……そっちに話しかけてみるのもありかしらね。色々この学院について聞くことも出来そうだし」

改めて見てみると少し離れたところで二人組の生徒がまわりから離れて何やら話している。

「あそこの人達とか……どうかしらね」

「良いと思います。行ってみましょう、姉様」


「あの、そこのお二方。二年生の方でしょうか……?」

ちょっと勇気を出して綺麗な髪の先輩っぽい人に話しかけてみる。

「ん?」

「私達?そうだよ。貴女達は新入生?」

「は、はい。先輩方に色々ご教授いただきたいと思い……」

「そんなにかしこまらなくても大丈夫よ?」

「あなた、ラスティナの……」

「あ、はい。ラスティナ・ミアリーンです」

「妹のラスティナ・レイリーンです」

ぺこりと礼をする。

「ご丁寧にどうも。妾はアル・カスティリオンよ。アルって呼んでちょうだい」

アルと名乗った彼女は綺麗な青色の眼でこちらを見つめている。肩くらいの綺麗な銀色の髪とシックなワインレッドのドレスで少し親近感を感じる。

「私はメア。よろしく」

簡素な挨拶をしてくれた彼女は薄い水色の長髪をなびかせながら握手を求めてくる。

「よろしくお願いします。アル先輩、メア先輩」

メア先輩は白に近いような水色のドレスを纏っていてアル先輩と対照的だ。そして彼女と握手をしたが、ほんのりひんやりとした手の温度に加えてなにか懐かしいような感覚を感じた。初めて会うはずなのにずっと前から一緒にいたような感覚だ。まるで家族のような。そしてその綺麗な金色の目を少しだけ見つめると全てを見透かされてるような感覚が一瞬走った。

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