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緊張の対面

馬車が止まったところでレディシアが扉を開けてくれる。

「皆様、お疲れさまでした。ヴァーミリオン家のお屋敷に到着です」

「でっかぁ……」

「うちの何倍あるのかしらね……」

「実家なんてちっぽけに見えてしまいますね、姉様……」

「うちの離宮と同じくらい広そうね」

感想は主に二種類に分かれていた。もちろん驚いている派閥の方が多かったが。白い巨大なお屋敷は遠目では見たことあったけどこんなに近くで見ることがあるなんて。転生者が何を言うかなんて思われそうだけれど、人生何があるかわからないものだ。

「ほら、こんなところで立ち止まってないで早く入りなさいよ」

ロベリア様にそう促されたので階段をのぼって玄関をくぐる。扉にも豪華な装飾がついている。

「「いらっしゃいませ、皆様」」

お屋敷に入ると、早速メイド20人ほどが出迎えをしてくれた。私たち一人に二人くらいはつく計算だろうか。

「すごい人数……」

「このお屋敷では私たちが皆様のお世話を致します。よろしくお願いいたします。まずは客間にご案内いたしますので、こちらへどうぞ」

「じゃあ、私は別行動になるのでまたあとで」

「はーい」

そうしてロベリア様が離脱した後メイドが私達を案内してくれた。通る廊下も階段もいちいち幅が広い。そして案内された客間も広い。私たち全員が入っても全然余裕がある。

「では皆様、ごゆるりとおくつろぎくださいませ」

お茶を出していただいた後、ふかふかのソファーに座った。

「おわぁ~ふっかふかだぁ~!」

「ん……!お茶もおいしい!」

「ここ来てから驚いてばっかりね……」

うちの客間とは比べ物にならないくらい素敵な部屋だ。

「流石にここまですごいのを見るとうちの内装もちょっと凝りたくなっちゃうわね」

「マスター?ではそのようにいたしますか?」

「あー……あそこは内装変えるの大変そうじゃない?」

「いえ。マスターがお望みなら」

「それに他の雰囲気とか内装とズレ過ぎちゃうしとりあえずはいいかも」

「かしこまりました」

「ちょっと!皆!こっち見てみなさいよ!」

窓を開けてベランダからエイリーンがこちらに呼びかけている。皆でそっちの方へ行ってみると、綺麗な庭が一望できた。さっきちらっと見えた庭の全体が良く見える。

「すごい……!」

「この庭作るのにいくらかかってるのかしらね……」

「ちょっと姉様!身もふたもないことを……」

「ごめんごめん」

しばらくして先ほど案内してくれたメイドさんが入ってくる。

「皆様、ご不便なところはございませんか?」

「ええ、大丈夫です」

「でしたら、今後の予定をお伝えいたします。皆様がご昼食をとられた後にご当主と軽くご面会いただくことになっていますが大丈夫ですか?」

「……大丈夫です」

まわりの反応をちょっと見たが、特に何か言いたそうな子はいなかった。

「かしこまりました。では、後ほどお昼を運んでまいりますね」

「よろしくお願いします」


「そう言えばロベリア様のお父さんってすっごいえらい人だよね」

セイラがふと思い出したかのように呟く。

「そうよ。この国の王様の次に影響力がある方の一人と言っても過言ではないくらいね」

「へぇ~……超お嬢様だねぇ」

「そこまで位の高い人とお話したことないからちょっと緊張するわね」

「大丈夫ですよ、姉様!いつも通りにすれば問題ないです!」

「だといいけれど……」

ここでもし粗相でも有ろうものならこの国で生きていけなくなってしまう。

「そうよ、ミア。もし問題が発生したらこっちに来たらいいわ!私があなた達の生活を保障してあげる!」

エイリーンまでそんなことを言う。

「ほら、エイリーンさんもそう言ってるんですし。ゆったりと行きましょう姉様」

「そうね……」


お昼を食べ終わったところであちらの用意が終わったようでメイドさんが呼びに来てくれた。ちなみにお昼もしっかり豪華で普段食べないものばかりだった。

「ガルネイア様。皆様をお連れしました」

「どうぞ」

珍しいことに私達だけでなくネイ達従者も一緒に来るように言われている。ギイっと扉が重々しく開くと広い応接室の奥に彼がいた。

「ようこそ、エイリーン様、ラスティナ家の方々。ヴァーミリオン・ガルネイアと言う」

「初めまして、シュトリアヌ帝国より参りました。ヴィスカリア・エイリーンと申します」

「ラスティナ・ミアリーンと申します」

一人一人自己紹介をして行く。私はもうラスティナ家の者では実質的にないのだが一応こう名乗っておく。流石ロベリア様のお父様、堂々としていてちょっと威圧感すらある。

「なるほど。確か……ミアリーン殿はロベリアの一件の時に世話になったようだね」

「いえ、ロベリア様にはそれ以来多くのお世話をしていただきまして……」

「あの時は無傷で連れ帰ってくれて助かったよ。傷がついては王太子様に申し訳が立たないしね」

「それに皆、ロベリアと同じように今年学院に入学すると聞いているのだが」

「はい」

「これからもロベリアのことをよろしく頼むよ。彼女も君たちをずいぶん信頼していると聞いている」

軽く今までのことを話したところで時間が来たようだ。メイドが彼に耳打ちをして何かを伝えている。

「おっと、すまない。そろそろ時間が来てしまったようだ」

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ、ロベリアの友人と話すことができて良かった。君たちにもいいことがあるだろう」

一礼をしてまたメイドに先導されて応接室を出る。


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