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お屋敷へ

「では、まずこちらにお着替えください」

二戸が専用の下着を私に渡してくれる。前とほんのちょっとだけデザインが変わっている。

「ちょっとだけ変わった……?」

「はい。少し気になったところがあったので調整を」

確かに付けてみると前よりしっかり体のラインを支えてくれているが痛みが減っている。ある程度体を締め付ける必要があるから少し痛かったのに改善されていてうれしい。

「……はい、大丈夫ですね。では次はこちらを」

ちゃんと着られているかを確認したところでドレスを着させてくれる。ちょっと前の世界で着ていたような服の構造が取り入れられていてちょっと着やすく感じる。そう言う配慮が嬉しい。

「……うん、ぴったりですね。苦しくはないですか?」

「全然苦しくないわ。流石ね」

「良くお似合いです。この色にして良かったです。ワインレッドのドレスとマスターの銀髪の相性がとてもいいです」

「……褒めても何も出ないわよ、もう……」

とは言えちょっと褒められると照れくさい。

「ミア様、お荷物の準備も出来ましたよ」

ネイは持って行く荷物をまとめていたようでやっと戻ってきてくれた。

「とてもお似合いですね、ミア様」

「ん、ありがとう……。そう言えばレイはもう準備終わってるの?」

「レイ様はもうじきお着換え終わってこちらに来られると思います」

あの子のドレス姿も長らく見ていない気がする。正直私より数百倍似合っていると思う。上品なお嬢様な妹も好きだ。

「そうだ、マスター。これを忘れていました」

そう言って彼女は私の頭と腕に飾りを取り付けてくれる。自分では確認できないが満足そうだ。しばらく立っていて疲れたのでベッドに座ることにする。

「ミア様、大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。ちょっと疲れただけ」

すると、隣にメイド服に着替えたセイラがぽふっと座ってくる。

「ミアのことはしっかり支えてあげるからね!安心して!」

「ふふっ……ありがとう、セイラ。服、似合ってるわね」

新しく仕立ててもらった服も良く似合っている。ちょっと金髪がうらやましい。

「ミアこそめっちゃ似合ってるよ!本当にお姫様みたい!背中も綺麗に見えてるし……っ!」

背中に冷たい感覚が走る。ツーっとそのまま下がっていって何か文字を書いているみたいだ。

「ちょ、ちょっと!?」

「いやぁこの背中綺麗でつい触りたくなっちゃう……」

「触るなら言ってよ、もう……」

「えっ、言ったら触っていいの?」

「そうじゃないわよ!」

「姉様~?お着換え終わりましたか~?」

くだらない言い争いをしていると妹がひょっこりと顔を出してこちらの様子を見てくる。

「ええ。終わったわよ。レイも終わった?」

「はい!終わりました!」

そう言って綺麗な少し暗いマリンブルーのドレスに身を包んだ妹が現れる。つややかな黒い髪との相性が抜群で素敵だ。私のドレスよりちょっとだけ露出が多いようにも思えるがまぁ上品さの範疇だろう。

「とってもかわいいわね、レイ」

「姉様こそ!」

いつもと違ってドレスに変なしわができるのが嫌だから抱きついてこないが今にもこちらに飛びついてきそうだ。妥協点なのか深呼吸を挟んだ後にセイラと反対の私の隣に座ってくる。そのまま細くてしなやかな腕がぎゅっと組まれる。

「今日は頑張りましょうね、姉様!」

「ええ、そうね」

「見せつけてるねぇ~」

今度はエイリーン達が部屋に入ってきた。二人ともきっちりとドレスに身を包んでいる。エイリーンは私と似た赤系統のドレスを着ているが少しスリットが入っていて左の太ももがちょっと見えていてまぶしい。ロベリア様は明るめの赤色のドレスをお召しになっている。だいぶ装飾が多くて彼女こそ高貴なお姫様にふさわしい雰囲気をまとっているように見える。

「本当に仲がいいのね……」

「二人とも、ここにいらっしゃったってことは……」

「ええ。出発の準備が終わったか見に来たのよ。本当は私が彼女のお家まで連れて行こうかと思ったのだけれど……ここの玄関で鉢合わせしちゃったから一緒に来たの」

ちょっとだけニヤッとしながらエイリーンが説明してくれる。

「私が招待するんですからお迎えしようかと思っただけですわ」

ちょっとだけツンッとしながら彼女が反論する。かわいい。

「ま、皆で一緒に行きましょ」

「ええ。そうね」

「今くらいに出発したらちょうどよい時間かと思われますし、行きましょう」

「はーい!」

セイラの元気な返事を合図にロベリア様を先頭にして玄関まで降りていく。こう見ると結構な大所帯になってしまった。

「皆様、おはようございます」

玄関の前ではレディシアが馬車を用意して待っていてくれた。

「今日は私の馬車でお送りいたしますわ」

「ありがとうございます」

「貴女も私の馬車なら多少は心が休まるでしょうし」

そう言って彼女は乗るように促す。

「ミア様、失礼します」

ネイが私の後ろからお姫様抱っこをするように抱きかかえてそのまま馬車に乗り込む。荷物はセイラが持っていてくれた。

「降ろしますね」

「ありがと」

全員が乗ったところでゆっくりと馬車は動き出した。流石一流の家が持っているものだ。揺れが少ない。

「快適だぁ~」

「うちのももっといい奴にしようかなぁ」

「そういえばこれからどこ行くの?ミア」

「ロベリア様のお屋敷よ」

「お屋敷……また緊張するとこだなぁ」

セイラはあまり貴族と関わることが多くなかったからちょっとだけ緊張しているみたいだ。

「大丈夫よ。ネイの隣にいれば問題ないわよ」

「そうですわ。何なら客間でお休みになってても問題ないですし、そんなに緊張する必要はありませんわ」

ロベリア様も助け舟を出してくれる。そんなこんなで少し話しているだけで、レディシアが屋敷に近づいてきたことを教えてくれた。

「皆様、これよりお屋敷に入ります」

カーテンを少し開けると綺麗に整備された庭が広がっている。

「うっわぁ綺麗~!」

「流石ですね……」

「こんなの一部です。驚くほどではないですわ」

大貴族の片鱗が早速見えてしまった。


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