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妹の不安

しばらく妹の”私補給”に付き合っていたが、流石に数分もするとネイが止めに入った。そもそも”私補給”ってなんだ……と思わなくもないけれど可愛いから許せる。

「レイ様、ミア様の体力もまだ戻りきってはおりませんのでそろそろ……」

「じゃあ私も姉様の看病します!」

そう言うと私の体をググっと持ち上げて優しく隣のベッドに寝かせてくれる。

「レイって……意外と力持ちなのね」

「姉様って割と軽い方ですからね。もっとしっかり食べてください!」

叱られてしまった。

「そうです。体力を回復させるためにもしっかりとお食事を取ってくださいませ」

「……分かってるわよ」

二人に見下ろされていると流石に反論もしづらい。お布団で少し顔を隠して表情がばれないようにする。こんなに人に心配、気にかけてもらうと少し照れくさくなってしまう。もっと愛嬌のある返事ができればいいのだが。

「ロベリア様ってやさしいですね、姉様」

「急にどうしたのよ……否定はしないけれど」

「いえ、ここのお部屋を使うのに骨折りを頂いたと聞いたので……」

「そうなの……。じゃ後でお礼をしておかなくちゃね」

「しかも寮に入ることができるまでのお世話までしていただいて……」

本当、彼女の支援は渡りに船だ。実際頼るすべがなかったらまた妹と別行動になっていたかもしれないし。


「ミア様とレイ様の衣装はしっかりと準備が整っております。当日が楽しみですね」

二つのちょっと大きめなバッグを運んできて、準備万端のようだ。

「マスターのお着換えはしっかりとサポートさせていただきますね」

「ん。任せるわ」

「レイ様は私にお任せを」

「ありがと、オーバ」

心なしか乗り気ではなさそうな可愛い妹。

「レイ?何かあった?」

「その……私が持って行く予定の服は実家が用意したものなのでちょっと……」

「レイに呪いなんてかける人はいないわよ。そんな奴がいたら私があなたを守るから、安心しなさい」

最近自分の身も守れていない気もするがそこは棚に上げておこう。

「でも……」

「ほら、ロベリア様やエイリーンも一緒に来てくれるのよ。いくらあの母でも大切なあなたの晴れ舞台をぶち壊したりしないわ」

「それは、そうでしょうけど……」

「その服だって一流の服飾師が作ってくれたものでしょう?実家が作ったわけじゃないんだし気にしないほうがいいわ」

「そうですよ、レイ様。服自体に罪はありません」

「確かに、それもそうですね……」

納得はしてくれたみたいだがちょっと何か煮え切らなさそうな反応。

「じゃあ、今度レイも一緒に二戸に仕立ててもらわない?」

「ニノヘさんに……?」

「そうそう。レイにデザイン……仕立ててもらったみたいに私が手伝ってレイに似合うものを作ってみたいわ」

ついでに私も私服のバリエーションを増やしたい。

「姉様に……服を作っていただける!?」

「ええ。二戸さえ大丈夫と言えばだけれど」

「もちろん大丈夫ですよ、マスター」

いつの間にか私のベッドの横に立っている彼女。全然気づいていなかった。ちょっとだけ申し訳ない。

「……って言ってるしどう?レイ」

「わかりました!楽しみにしてますね!」

急に眼をキラキラさせて元気になる。本当にチョロいが私の妹、大丈夫だろうか。

「これでパーティーも大丈夫そうね。曇った顔で参加させるわけにはいかないもの」

「レイ様ならミア様と一緒にいれば大丈夫そうにも思えますけどね」

「そんなにレイってチョロいかしら……」

「さささ、ミア様。問題も解決したところで明日のためにもしっかりとお休みになってくださいませ」

そう言って手を握ってくれる。それを見て反対側をレイがぎゅっと握ってくれる。

「私も、姉様がお眠りになるまでここにいますね」

「ありがとう」



翌日、いつものように体を揺すられて目を覚ますと体がだいぶ軽くなった気がした。

「ミア様、体調はいかがですか?」

「うん。だいぶ良くなった気がするわ」

「それは良かったです。朝をお召し上がりになったらお着換えで大丈夫でしょうか?ロベリア様たちと一緒にパーティーに行く予定になっていますが」

「そんなに早く着替えるの?」

パーティーは夕方くらいから始まるはずだったけれど。

「それが……ロベリア様のご実家に一度一緒に行こうとおっしゃられていて。家族に友達を紹介したいとかなんとか……」

「あー……じゃあしっかりと着替えていかなきゃいけないわね」

彼女のご両親というととんでもない上流階級の方々だ。粗相があっては本当に私の首が飛んでしまいかねない。

「はい……というわけで、そのような予定になっていますが大丈夫ですか?」

「んー……。そうね、大丈夫だと思うわ」

少しだけ体力が不安だが、座るところくらいある……はずだ。

「かしこまりました。体調がきつくなったらいつでもおっしゃってくださいね」

「ええ、そうするわ」

そう言って手を差し伸べてくれた彼女に引っ張られて食事をとって、ドレスに着替えることになった。


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