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ぎりぎりの帰還

朝ごはんを食べて着替えさせてもらったところでドアをノックしてイオナが入ってくる。後ろからさらに数人もついてきたが。

「お~!起きてるじゃないの!ミア!」

「余り騒がしくしては彼女の体に障るでしょう……」

「ミア~!良かった~!」

一人はベッドに座っている私のお腹にダイブしてきた。

「もう……セイラったら。あなたこそ元気そうでよかった」

「だってずっと体調悪そうだったんだもの……」

「まぁ体調は確かに悪かったけれど……もう大丈夫よ」

「元気そうでよかったわ」

「ええ、本当に」

エイリーンもロベリア様も一緒に来てくれている。二人ともほんのり安心したような雰囲気を出している。

「二人とも……本当にありがとう。……いえ、皆本当にありがとうね。助かったわ」

せっかく皆がいるのだしこのタイミングで一度言っておくべきだろう。本当にあの時皆に助けてもらえてよかった。頭を下げて礼を言う。

「ミ、ミア様……」

「友達なんだから当たり前でしょ~!」

「そうね!まだまだやり残したものがあるもの!」

「ええ。友人を見捨てる趣味はありませんわ」

「……なんか照れくさいわね」

「も~照れなくてもいいよミア~!かわいいなぁ本当に~!」

「ちょっと、セイラ……!」

胸にに顔をうずめてくる。かわいいのはどっちだかわかんなくなるしまわりが温かい目で見てきてちょっと恥ずかしい。彼女の金髪がふわふわっと顔にかかってくる。それに加えていい匂いがするしほのかにあったかい。

「そろそろよろしいでしょうか、皆様」

「あ、大丈夫よ」

イオナが声をかけてきてくれたので皆の視線が外れてちょっと恥ずかしさが消えた。

「皆様、そろそろ移動をしたいと思いますが準備はよろしいですか?」

「ええ、私は大丈夫……よ」

セイラに少し離れてもらってネイに手を伸ばして立たせてもらう。昨日よりは幾分マシだがまだ一人で立つには辛いかもしれない。

「ごめんねネイ……まだちょっと一人で立つのは辛そうかも」

「大丈夫ですよミア様。もっと頼ってくださいませ」

「でも荷物まで持たせちゃうとね……重くない?」

「大丈夫ですよ、ミアさm……」

「私が持ってあげるわ!」

横からセイラが私の荷物を攫って行ってしまう。

「セイラさんそれは……」

「ほらほら学院に行ったら私はミアのお手伝いさんなんだから今のうちに慣れておかないと!」

「それはあくまで方便で……」

「いいのいいの!早くいこ!」

そう言って先に行ってしまう。

「お二方も大丈夫ですか?」

「ん。特に何も持ってきてないし大丈夫よ」

「私も同じく」

「では参りましょうか」

イオナの先導でいつものように降りていく。


「……相変わらず本当にすごいわね」

「ええ……。艦内から船で出られるなんて少し驚きだわ」

確かにそれこそロベリア様やエイリーン達くらい高い身分の人が持っている船でもなければ普通は付いていない。しかもだいたいは緊急用だからこんなに大きくない。

「また是非乗りに来てくださいませ」

イオナが私達を案内しながらそう言ってくれる。

「学院に入ったらあまり外に行くこともなくなるのかしらね……」

「用がなくてもお休みごとに来ればいいのではないかしら」

「そうよ。イオナ達も寂しくないわ」

エイリーンとロベリア様が二人ともまた乗りたそうな雰囲気がほんのり出つつそう言ってくる。

「まぁ、皆でお休みに旅行に行くのもありかもしれないわね」

「いいわね!旅行!」

「皆様を完璧に案内しますのでその時はいつでもご用命を」

「楽しみだわ」

そんなことを話しているといつの間にか地上についていた。久しぶりに吸った地上の空気だ。

「それでは皆様、また来てくださいませ」

彼女が礼を言ってイオナイドに戻ろうとする。

「あれ?二戸は戻らないの?」

イオナは船に戻っているのに二戸は私の隣にいる。

「はい。マスターの体調が少し不安なのと身辺の警護を兼ねつつ、パーティーの衣装の着付けなどをするために残そうかと思いました」

「……なるほどね。それは助かるかも」

実際パーティーのドレスはしっかりと着こなしたい。制作者なら間違いはなさそうだ。

「というわけでよろしくお願いします。マスター」

「ん。よろしくね」

「じゃあ、ヴェルーナに戻ろ~!」

セイラの声を合図にゆっくりと馬車が動き出す。新しい馬車をイオナが調達してくれたみたいで以前のものとは内装が全然違う。ちょっとだけ馬車に乗るのが怖かったがこれだけ一緒にいてくれる人がいれば怖くない。

「ミア様、大丈夫ですよ」

ネイが私の隣で私の手を握ってくれている。そのおかげで震えが止まっている。

「……ありがとね」

「安心していいわよ。セイラが後ろを見張ってくれているから何かあったら教えてくれるわ」

いつの間にか反対側の隣にはエイリーンがこちらの顔を覗きながら座っていた。

「それは……安心ね」

実際ヴェルーナの入り口までは本当に何事もなく入ることができた。構えていたのが少しバカらしいかもしれない。


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