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艦内見学

お久しぶりです。氷鈴華です。

突然ですが、今年中にこの作品をより読みやすくするために加筆修正し区切りのいい総集編のようなものを投稿したいと考えています。

具体的な期日は決まっていないのですがこれからも「よわ姉」をよろしくお願いします。

前の採寸みたいに服を着たまま小さな個室のようなところへ入る。相も変わらず原理の分からない採寸方法だ。

「ではマスター。動かないでくださいね」

「ええ」


目の前で何やらよくわからないことを行っているニノヘと呼ばれた自動人形。いったい姉様に何をやっているのかしら。

「これは何をしているんですか?ニノヘさん」

「マスターの体を採寸していますよ。レイリーン様」

「採寸……なるほど。後でその記録貰ってもいいですか?」

「……ええ、構いませんが。何に使われるのです?」

「ちょっと所用で」

所用だ。あくまで所用。私的利用ではないわ。


なんだか外で不穏な会話をしている気をするけど、まぁ気のせいだろう。数秒で扉が開けられて二戸が覗き込んでくる。

「終わりました。マスター」

「ありがと」

「それでは、これからレイリーン様とドレスをデザインさせていただきますのでその間少々お待ちくださいませ」

「ん。わかったわ」

「デザイン……?」

「仕立てってことよ」

「なるほど!じゃあ行ってきますね!素敵なドレスにしてきます!」

張り切って二戸とオーバと一緒に部屋の奥に消えていく。


「さて……どうしようかしら」

「しばらくかかると言ってらっしゃいましたものね、ミア様」

「ね。あの子のことだからこだわりそうだし」

さっきの様子を見る限り二戸と激論を交わしながら私のドレスを作っていそうだ。

「でしたら、艦内をぶらついてはいかがですか?マスター」

「ぶらつく?」

「ええ。マスターと出会ってからこの艦で入られたのは艦橋と出入口とここくらいですから」

「確かに……」

小さいころに会った時はどこに入ったかなんて覚えてなかったし、兄を殺してから来た時もイオナに案内されるがままだった。この大きい艦の残りの場所がどうなってるかなんて気にしたこともなかった。

「じゃあ、そうしましょっか」

「かしこまりました」


「と言ってもどこから見てみようかしらね」

「甲板を見てみますか?マスター」

「甲板に出られるの?」

「もちろんです」

彼女についていくと、エレベーターのようなものがあり静かに上昇していった。

「不思議な構造ですね……」

ミアはエレベーターに乗ってから少し周りをきょろきょろ見回している。珍しい様子が可愛らしい。

静かに扉が開いて、少し歩くとまぶしい光が差し込んできた。

「まぶしっ。でも、風が気持ちいいわね」

心地いい風が吹いている。空も青く晴れ渡っていていい天気だ。

「航行中はまた違って良いですよ。マスター」

「そうなの?じゃあいずれ見せてもらおうかしら」

「是非」

「改めて見渡すとこの艦、大きいですね。ミア様……」

「ほんと、頼もしいわ」

「ありがとうございます。マスター」

実際この艦が襲われても並大抵の艦では傷もつけられないだろう。いざとなったら私と妹たちを連れて雲隠れ、なんてことも……出来かねない。


「ねぇ、イオナ」

「どうされましたか?」

「この艦って他の航空艦よりも強いの?」

「……そうですね。マスターとの契約が成ってからは法力量にかなり余裕ができたので火力を投入し放題隠れ放題と言ったところでしょうか」

「そんなに……」

「前も申し上げましたがマスターの法力量は異常なのですよ」

「じゃあいざとなったら皆を連れておさらばすることもできるのね……」

「マスターが望むのなら」

彼女の言葉は本気の成分がとんでもない量含まれている。やろうと思えば完璧に遂行してくれるだろう。

「イオナさん。この艦ってどのくらいの自動人形がいらっしゃるんですか?先ほどから甲板を掃除してらっしゃる方が見かけられますけれど」

「おおよそ320人態勢で艦を動かしておりますよ。ネイ様」

「この大きい艦の割にずいぶん少ないですね」

確かにすこし少ない気もする。大貴族の所有するものなら倍はいそうだ。

「あまり使用していない部分もありますので。例えばマスターたちが生活するための部屋がある階層などは今軽い掃除だけして放置してありますし、倉庫にも空きが多いですから」

「私達の部屋があるの?」

「はい。マスターに快適に過ごしていただくために作物を育てる階や大きい倉庫がありますよ」

「作物まで育てられるの……?本当にこの艦で完結できるのね」

「もちろん交易用スペースもありますので、武装輸送艦として使用することも可能ですよ」

「至れり尽くせりね」

「マスターの目となり手となり足となるのが我々の使命ですから」

「学園に入ったらまた、何かと世話をかけそうね」

「何でもご用命くださいませ」

「……じゃあ、お言葉に甘えてお花を摘ませて欲しいかも」

「でしたら、入り口の奥の左手にございますよ」

「ありがと」


少し早足で用を足しに行かれたミア様のいないうちにちょっと聞きたかったことを聞いてみる。

「あの、イオナさん」

「どうされました?」

「ミア様とはどこでお会いになったのですか?」

「マスターと、ですか。マスターが可愛らしいお子様だったころ、獣に襲われていたのでお助けしたのが初めてでしょうか」

「そんなことが」

「ええ。霧の濃かった別荘地近くの森でのことでしたね。私も不思議な法力に惹かれて様子を見に行っていたのが功を奏しました」

そう言えば私がミア様を見失ったこともあったっけか。

「あの時なぜかミア様が手当をされていたので少し不思議だったのですがそう言うことだったのですね」

「マスターのような小さい子を傷だらけのままお返しするのもどうかと思いましたので」


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