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レイと初めてのイオナイド

セイラの一言で夜の間悶々と考えていたがいつの間に眠ってしまっていた。

「ミア様、起きてください」

「んぅ……」

「ミア様!起きてください!」

強く体を揺すられる。いつものネイの声がぼんやりと聞こえる。

「もう……ミア様ったら。朝ごはんの用意も出来てますよ」

「……起きるからちょっと待ってぇ」

「もうちょっとそのままでも……」

頭の上からレイの声も聞こえてくる。そう言えばなんか胸元からお腹にかけてほんのり冷たいし湿っている。目を開けると目の前に銀色の髪とほんのり甘いにおいがする。

「あれ……レイ?」

「お、おはようございます姉様」

「ん、おはよ」

と、ほんのり冷たい胸元を見るとぎゅっと彼女の腕を抱きしめていた。

「レイ、ごめん……!」

「いえいえいえいえいえいえ姉様大丈夫ですよ!」

なんだか彼女の口元によだれの跡みたいなものが見えるが気のせいだろう。


朝ごはんを食べて、軽くお茶を飲んで休んでいるときにふと気になったことをネイに聞いてみる。

「ねぇ、ネイ。私って太った……?」

「え?ミア様?ミア様は変わらずお綺麗ですよ」

「そ、そう。ありがとう」

「ミア様のお召し上がりにになったものは記憶していますから、太るなんてありえませんよ。ご安心ください」

彼女はいつも私にやさしいから、もしかしたら気を使ってくれたのかもしれないけれど太ってないと言ってもらえて少し安心した。

「姉様は太ってなんかないですよ!お別れしてからむしろさらに素敵になっています!」

「ありがとうね、レイ」

この子も私の絶対的な味方でいてくれてとても嬉しい。


「皆様、準備はできましたか?」

しばらくしたところでイオナが迎えに来てくれた。ちょうどいい時間だ。

「ええ。もちろん」

「準備万端です!」

今回はイナとメーシャも一緒にやってくる。久しぶりに艦を見て回りたいらしい。といってもほとんど別行動だろうけれど。

「では、参りましょうか。表に馬車を用意しております」

彼女についていって、玄関を出ると少し大きめな紺色を基調としたシックな馬車が止まっていた。

「どうぞ中へ」

そう言って彼女は手を貸してくれた。外から見るより中が少し広く感じる。流石謎の技術だ。

「広いですね、姉様」

「ふふっ。このくらいで驚いてちゃ大変よ?」

「そうなんですか?」

しばらく馬車で揺られていると街の門を抜けたらしいことが分かった。

「姉様。どこまで行くのですか?」

「うーん。ちょっと街はずれまで行くんじゃないかしら」

「街はずれ?」

「皆様、少々揺れますのでお気を付けください」

前の窓からイオナが注意をしてくれる。ガタガタっと一回揺れた後、ほんの少しの浮遊感を感じた。

「ねぇ、レイ。ちょっとこっち見てみて」

そうして、彼女を窓際に近づけてカーテンを開ける。すると、少し浮いていて周りの景色が段々小さくなっていた。

「浮いてますね姉様」

「ええ」

「ここら辺に航空艦乗るところなんてありましたっけ」

「ないわよ?確か」

「どうやって浮いてるんですか!?」

「たぶんちっちゃい航空艦を使ってるのよ」

「あれってだいぶ大きい船とかお金持ちしか持ってませんよね……姉様そんな船を?」

「まぁ、買ったわけではないけれどね」

また大きく揺れたところで窓の外が暗くなる。と思ったらほのかに青白い明かりが灯る。そして、馬車の扉が開かれる。

「皆様、ようこそイオナイドへ」

降りたところで久しぶりのイオナイドの空気が鼻腔をくすぐる。昔感じたエアコンの冷風のような空気だ。

「ここが……」

「どう?レイ」

周りをきょろきょろ見ながら驚いている妹。可愛いったらありゃしない。昔は私もこういうリアクションだったかなぁ何て思ったり思わなかったり。

「では、セイラ様たちはシズクとイナに案内させます」

「はーい!ミア、またあとでね!」

「ええ。またあとで」

そう言って四人は手を振りながらどこかへ歩いて行った。

「ではマスター。こちらへどうぞ」

イオナを先頭に前にも来たことのある部屋に歩いていく。そう、私が冒険者の服を調達した時だ。扉が開くと少し懐かしい顔とウェーブがかった髪が見えた。

「マスター。お久しぶりです。今日も二戸が採寸させていただきますね」

「久しぶりね。私の妹もドレスのデザインに参画させてくれてありがとう」

「いえいえ。マスターに最高の一品をお召しになってほしいですから」

「レイ。この子が二戸。一緒にドレスを作ってくれるわ」

「始めまして、妹のレイリーンと申します」

「二戸です。よろしくお願いいたしますね、レイリーン様」

二人とも綺麗な礼をして挨拶している。私なんかよりずっと品がある気がする。


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