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嫌な手紙

「じゃあ、私も帰るわね!また会いましょうミア!レイ!」

手を振りながらエイリーンは颯爽と従者たちの元へ歩いていく。いちいち動作がかっこいいと言うかなんというか雰囲気が出ている。手を振り返しつつ私達も帰ることにする。

「馬車、借りればよかったかも」

「ミア様、お疲れになりましたか?」

「ちょっとだけ……ね」

「姉様、肩を貸しましょうか?」

「大丈夫。そこまでじゃないから」

「そうですか……」

せっかくの申し出だがそこまで疲れているわけではないし、妹にそこまで頼り切る姉も情けなさすぎる。


「疲れた~……」

部屋に戻るなりセイラがベッドにダイブした。

「お疲れ様、セイラ」

「なんか背中と足が痛い~……」

「ずっと立ちっぱなしだったものね……」

「いずれ慣れますよ、頑張ってくださいね」

ネイは優しいが割と容赦なく事実を伝えてくる。

「ミア背中揉んでー……」

「……はいはい。わかったわ」

たまにやってあげていたので今更何の抵抗もなく彼女の背中に乗る。背中を上からゆっくりと少し力を込めつつ押す。

「うぉあ~……。気持ちいい……」

後ろからうらやましそうな視線を感じるがそのままマッサージを続ける。

しばらく続けていると通神書を確認していたネイが少し驚いたような声を上げる。

「どうしたの?ネイ」

「いえ、ミア様。パーティーにお召しになるドレスはどうしましょうかと……」

「あ、イオナに頼んでおかないと」

「姉様まだドレスご用意していないのですか!?」

「え、ええ……」

「では私がご用意します!」

「でも、お金がかかるじゃないの。ドレスと言ったらなおさら」

「お、お金に少しくらい余裕……あります!」

なさそうだ。

「あ、じゃあイオナに聞いてみようかしら……」

(イオナ、聞こえる?)

いつものようにイオナに通じるように祈りつつ声をかける。

(こちらイオナ。マスター。聞こえております。)

(ちょっと相談があるのだけれどいい?)

(もちろんです。これからそちらへ参りましょうか)

(そこまでの用ではないけれど……)

(妹様の使用している部屋の監視をしている者から預かりものがありますので。少々お待ちください)

「レイ、ちょっとだけ待っててね」

「は、はい」


しばらく待っているとドアがノックされる。

「はい、どちら様ですか?」

「ネイ様、イオナでございます」

「ああ、イオナさんですか。どうぞ」

ネイに案内されてイオナが部屋に入ってくる。

「あ、イオナ」

「マスター。ただいま到着いたしました」

「わざわざ来てくれてありがとうね」

「いえ。まずはこちらを」

そう言って彼女は一通の手紙を渡してくる。だいぶ豪華な装飾がしてある。

「あぁ、これがレイ宛の手紙ね」

「私ですか?」

「はい、これ」

宛名にはレイの名が、送り主には母の名が書いてあった。早速封を切って中の手紙を取り出す。

「……なるほど。母がこちらに来るんですね」

「えっ!?」

「来るそうですよ。パーティーのドレスを届けるのを兼ねてこちらに」

「嘘でしょ……」

あの母が首都に来るなんて。と言うかこのタイミングで来るなんて間違いなく入学式も来るに違いない。不幸だ。あの母に会えば間違いなくまた嫌なことをチクチクと言われるに違いない。

「……まぁいいわ。それでイオナ、相談なんだけどね」

とりあえずそのことは一旦置いて相談しておきたかったことを彼女に伝える。

「はい」

「この私の妹、レイが私のドレスを作りたいって言うんだけど……作るときに一緒に連れて行ってもいいかしら」

隣の例を指しながら相談する。

「ええ、構いませんよ。どちらにしろ一度マスターにはドレスを作るために採寸をし直さねばなりませんから」

「本当?ありがとう、イオナ」

あっさりとイオナはドレスのデザインに妹を参加させるのをOKしてくれた。

「ちょっと注文が多くてめんどくさいかもしれないんだけどごめんね」

「大丈夫ですよ、マスター」

彼女に想像されるであろうことを軽く耳打ちしておく。

「と言うわけだから、レイ。イオナのところへ行ったらよろしくね」

「はい!最高のドレスを作って見せます!」

めちゃくちゃやる気を溢れさせている。

「あまり無理はしないでね」

「では、マスター。イオナイドへはいついらっしゃいますか?」

「そうね……明日って何か用はあったかしら。ネイ」

「特にありませんよ。ミア様」

「じゃあ明日にしましょうか。レイも大丈夫?」

「ええ!母が来るのは明後日からしあさってだそうですし」

「じゃあそうしましょうか」

「かしこまりました」


「久しぶりにあのおっきい船に乗れるのかぁ」

「そう言えばイオ……ナイド?って何なのですか?姉様」

「見るのが一番早いけれど……大きい航空艦かしらね」

「へぇ……見るのが楽しみです」

疑問符を浮かべつつも彼女はワクワクしているみたいだ。

「ミア……そろそろ重い」

「あ、ごめん」

つい謝ってどいてしまったが、セイラ。女子に重いというのはどうなのよ。まさか本当に重い……?太った?ネイの食事は美味しいから食べすぎている……?

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