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学院1日目

そして数日が経って大切な日が来た。能力測定の日、そして大切な妹と会える日。

前日から楽しみすぎたがネイのおかげでしっかり眠って今日に備えることができた。

「ミア様、朝ごはん出来ておりますよ」

「ん、ありがとうネイ」

お茶を入れている彼女がこちらを向いて話しかけてきてくれる。

「おはよ……ミア」

「おはよう、セイラ」

彼女は昨日の夜、学院ってどんなところなんだろうって興奮して寝れていないようだった。とても眠そうな挨拶をしてくる。

「ほら、早く起きなさいよ。ネイがお茶淹れてくれてるわ」

「飲む……」

ゆっくりとした動作でお茶を飲み始める。熱いみたいでちょくちょく冷ましている動作がちょっとかわいい。


朝ごはんを食べてから、ネイに着替えを手伝ってもらっているとメーシャちゃんが起きてきた。

「おはよー……お姉ちゃん」

「メーシャおはよ!」

「おはようございますメーシャさん」

セイラが私の従者をしている間に面倒を見てくれるイナが髪を梳かしてあげている。

「お姉ちゃん可愛いっ!」

ちょうど従者の服に初めて袖を通したセイラは新鮮みたいで髪を梳かし終わってもらってから抱きついている。

「お姉ちゃんちょっとお出かけしてくるからイナさんといい子にしてんだよ~?」

「は~い!」

「いい子いい子~。じゃあ、いこっかミア!」

妹をベッドの上に座らせてこっちに寄ってくる。

「ん。いい時間ね」

「ミア様、お手紙は持たれましたか?」

「もちろん。ちゃんと持ってるわ」

いつでも取り出せるようにポケットにしまってある。

「では、お荷物お持ちしますね」

「いいのに……」

「ご令嬢なんですから、しっかりと従者を使うところを見せないとだめですよミア様」

「もう……」

こういうところはちょっとだけ貴族が嫌だ。

「では、参りましょうか」


外に出ると、試験日和の綺麗な青空が広がっている。

「学院まで歩くのもちょっと楽しいなぁ」

「入学してから落ち着いたらヴェルーナの街を軽く見に行きましょ?」

「行く~!」

「妹も入れて五人で行きたいわね」

「五?」

「あ、妹にもお付きの人がいるの」

「あ、そうだよね。貴族だもんなぁ」

納得してウンウン頷いている。

「ミア様、良かったら私とオーバは少し離れた場所から付いていって三人で街遊びを楽しまれては?」

「んー……それもいいかもしれないわね」

どっちにしろしばらく学院が忙しいと思うので時間が空いてしまうだろうからその時考えればいい気もする。

「そういえば、今日って試験という名の能力測定なんだよね?ミア」

「そうよ。今日と明日の二日間」

「長いんだね」

「まぁ、実技三つと筆記と身体測定だからねぇ」

「実技三つ!?」

「ええ。貴族と言えど学院では危ない授業も多いし、将軍になろうとする貴族もいるからね」

「じゃあ強い人もいるんだね……いっぱい」

そんなことを話しながら歩いていると大きい門が見えてくる。

「うわ……貴族のお家の門より大きいね」

しかも豪華な馬車が多数出入りしていてきらびやかな服を身につけた人々が続々と中に入っていく。

「行くわよ。二人とも」


学院の職員らしき人が手紙を一人一人確認している。私も手紙を懐から出して彼に見せる。

「すいません。これ」

「拝見します」

軽く目を通して私の顔を見る。

「従者は二名ですか?」

「はい」

「北講堂にどうぞ」

「ありがとうございます」

手紙を返してもらって人の流れに流されていく。

「貴族だ……」

セイラはまわりの貴族や従者を見て目を奪われているようだ。

「セイラ。あんまりきょろきょろしちゃだめよ」

「あ、ごめん。あまりにもみんな貴族らしくて……」

確かに身に着けている衣服の素材がとても上質に見える。持っている武器も綺麗な装飾がされている。

北講堂につくと、まばらに人が座っている。前にある黒板には最初に身体測定を行うと書かれている。

「私達も座りましょう」

少し端っこに座る。二人を左右に座らせて一息つく。さっきからずっとまわりの視線が気になる。

「ねぇ……私、見られてない?」

「見られてますね」

「見られてるね」

二人とも息を合わせてそう言う。

「なんか目立つようなことしたかしら……」

「ほ、ほら。ミア様お綺麗ですから」

「そ、そうだよ!ミアすっごい素敵だもん!」

そんなことでじろじろ見られるだろうか。また、元いた世界みたいに面倒な目に合うのだろうか。少しだけ気分が沈んでしまった。ため息をついたと思ったら後ろから何か視線を感じる。他の人と違って強い関心を感じる。そして、足音がどんどん近づいてくる。


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