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ご令嬢の誘い

日も落ちてきた頃にネイが私の使う部屋に戻って来る。

「ネイ、お疲れ様」

「ミア様、ありがとうございます」

「ご令嬢のお世話は大変だった?」

「いえ、慣れておりますので」

「なんだか私がいつも手をかけさせているみたいね」

実際ネイに助けられてはいるので間違いではない。

「あ、いえ。そう言うわけでは。それより……その状況は」

彼女の視線の先には私のふとももに頭をのせてすやすやと寝息を立てているセイラがいる。とても幸せそうだ。

「あ、これ?なんかいつの間にかセイラ寝ちゃって。もう少ししたら見回りしたいし起こそうとは思ってるのだけれど」

軽く撫でてみると彼女がちょっと反応するのが面白い。誰かに膝枕をするなんていつぶりのことだかわからないがたまにはいいものだ。

「お仕事中ですのに……」

「ずっと気を張ってても疲れちゃうからたまにはいいんじゃない?いまご令嬢のそばにはレディシアさんがいるんだし」

「それはそうですが……」

「そうだ、ネイにも伝えておかなくちゃ」

「……?」

「セイラが私の申し出を受けてくれたわ」

「それは!それはよかったですねミア様!」

自分の事のように喜んでくれている。

「なんか永久就職する、何て言われたけれど多分大丈夫よね」

「もちろん。ご友人は大事になされませ」

「それで、学院にはどういう扱いで連れて行こうかしら。多分従者扱いなのは仕方ないんだけれど……」

「そうですね……。ちょうどいいですしセイラさんには外部との連絡の窓口をお任せしましょうか。誰とでも話せそうですし学院に入ればミア様へ会いたいという人も増えてくるでしょう」

「確かに。それがいいかも」

セイラならアポイントを管理するのを任せるのは安心だし、ネイの負担を少しでも減らせそうだ。

「あとはレイとセイラが仲良くなってくれたらうれしいわね」

「大丈夫ですよミア様。ふたりとも社交的ですし、いい子たちですから」

「……まぁね。わたしのときより早く馴染めそうだわ」

「んぁ……?」

突然太ももの上から小さな声が聞こえてくる。少しもぞもぞしていてくすぐったい。

「起きた?セイラ」

「んぅ……起きたぁ」

まだいまいち寝ぼけているようだが体を起こして目をこすっている。

「よく寝れた?」

「うん……寝れた。ふにふにの太もも気持ちよかった……」

「それはよかったわ」

「セイラさん。少し髪が乱れてますよ」

そう言って軽く髪を梳いてあげる。

「あ、ありがとうネイさん」

「そうだ。ネイにもちゃんと話しておいたから、学院に行ったら改めてよろしくね」

「あ、うん!妹ともどもよろしくお願いします!」

深々とお辞儀をしてくれる。

「じゃあ、お夕飯の前にお屋敷の周りを一回りしておきましょうか」

「そうですね」

ベッドから立ち上がって装備を整えようとすると部屋の扉がノックされる。

「はーい?」

「ミアリーンさん。少々よろしいですか」

レディシアがどうやら来たらしい。どうかしたのだろうか。

「どうされました?レディシアさん」

「こちらをお召しになってお嬢様のお部屋へ行ってくださいませ。お嬢様がお呼びです」

そう言った彼女の手には夜寝る用の薄い服がある。

「えっ……?突然どうされたのでしょうか」

「恐らく夜の話し相手を欲されているのかと。お早くお願いいたしますね」

「わ、わかりました」


「レディシアさんどうしたって?」

「ご令嬢が呼んでるからこれ着て話を聞きに行けって」

ネイに手伝ってもらいながら手早く着替える。完全に眠るときの服だから薄くって落ち着かない。一応念のため剣は持っていくけれど上手く振るえるか少し不安だ。

「じゃあ、悪いんだけどネイとセイラで屋敷の周りを見回ってもらってもいいかしら」

「もっちろん!任せて!」

「お任せを」

見回りに行く彼女たちを見送って、私もとなりのご令嬢の部屋へ向かう。


「ロベリア様。ミアリーンです」

いつの間にかレディシアはいなくなっていた。

「入りなさい」

すぐに中から声が聞こえてきて入るように促される。

部屋の中に入るといい匂いが漂っていて、床もふかふかのカーペット敷きだ。そして、ベッドに座っているご令嬢が見える。剣を扉の近くに置いて彼女の近くまで行く。

「それで、ご用とは……」

「いいから、となりに座りなさい」


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