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告白みたいだ

あけましておめでとうございます。

正月なので少し短くなってしまいました。来週はまた前の量くらいに戻ります。

「……その、少しだけ大事な話なんだけどいい?」

「もちろん!」

そう言うと彼女はベッドに座っている私の隣にぽふっと座ってくる。ふわっといい香りが漂ってきた。

「ありがとう。それで……話っていうのはね」

「うんうん」

ちょっとだけ緊張して話の入りをどうしようか迷ってしまう。彼女はちゃんと私の話を聞いてくれるみたいでぱっちりとした目はこっちを向いている。

「私たちの将来の話なんだけどね……?」

「しょ、将来!?」

「ええ」

「な、なるほど」

そんなに驚くことはあっただろうか。

「今、私達って冒険者として生活してるじゃない?」

「うん」

「でもね、私ってもともと貴族の娘なの。ネイは私専属の従者で……」

「貴族……やっぱり!」

「……気づいていたの?」

言葉を遮るように納得の声が聞こえる。できるだけ元貴族とばれない様にしていたはずなのに。

「んー……確信はなかったけど、ところどころお上品なところとか貴族のマナー知ってるとか皇女様と知り合いだったところとかあったからなんとなくそうなのかな?って思ってた」

「あぁ……そんなこともあったわね」

「それでどうしたの?私はミアが貴族だからって友達をやめたりしないわよ!」

ちょっとだけ怒った風に彼女は言う。

「あ、そうじゃなくてね……?」

「うんうん!」

ずずいっと迫ってくるセイラ。次の私の発する言葉を待っている様だ。

「私、もう少ししたら冒険者をやめてヴェルーナの学院に行かなくちゃいけないの」

「学院に……」

「双子の妹と約束したの。またここで出会いましょうねって」

「ミアの妹さんかぁ…可愛いんだろうなぁ……」

なんだか全く関係ないことを考えていないだろうか。

「つまりね、この任務が終わったら少なくとも学院にいる間は冒険者をやめようと思ってるの」

「……そっか。寂しくなるなぁ」

私の口からはっきりと冒険者を一旦やめると聞いて彼女は少し、いや結構がっかりしているようだ。

「それでね、まだ言いたい事には続きがあって……私からの勝手なお願いを聞いてくれない……かしら?」

「お願い?」

がっかりしていると思ったらきょとんとしている。

「私もセイラ、貴女のような……素敵なお友達とお別れするのは心苦しいのよ……。だから、しっかりお給金を払うから私の従者の扱いで一緒についてきてほしいの。もちろん名目上従者なだけで普段通りのお友達でいてほしいのだけれど……。ダメ……かしら?」

言葉がつまりそうだったが思い切って言ってしまった。私にしてはだいぶアグレッシブに動いたと思う。

「……貴族の従者……なるほど」

彼女は何やらぶつぶつ呟いている。やはり従者と言ったのは気に食わなかったのだろうか。一緒に学園に行くにはこの方法が一番いいと思ったのだが。彼女の返答を早く聞きたい気持ちと断られるかもしれないという恐怖が心を占領していく。

「わかった!ミア!」

ぶつぶつ何かをつぶやいていたと思ったら突然大きな声を出して顔を上げる。びっくりするのでやめてほしい。

「……何が?」

「私、ミアのところに永久就職する!ね!」

「え、永久……?」

「そう!クビって言われてもずーっとついて回るんだから!食いっぱぐれたくないもの!」

思ってもみない宣言が返ってきた。永久就職?遠回しな告白だろうか?いや、だいぶ直接的だ。

「これからも、ずーっと。妹と共によろしくね!ミア!」

満面の笑顔でそう宣言されてしまっては私も答えるしかあるまい。

「ありがとう。セイラ。改めてよろしくね」

「だ~いすき!」

「ちょっと……!」

ベッドに倒れながら思いきり抱きついてくる。いつもはちょっとスキンシップ過剰すぎやしないかと思っていたが今日はなんだか心地がいい。

「ほら、仕事しましょう?ね」

しばらくして流石に苦しくなってきたのでセイラの肩をトントンと叩く。

「あ、ごめん!そだね!」

一つ肩の荷が下りた気がする。余計な悩みがなくなったから任務にも更に身が入りそうだ。後でネイにも伝えておかなければ。

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