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共闘開始

槍の先端が少し変形してものすごい勢いで槍が発射される。その槍はものすごい勢いで標的に向けて飛んでいく。近くにいるだけでものすごい風を受けた。

あの異形の敵に接するとともにものすごい音を立てて粉塵が舞う。

「見えないわね……」

「ごめん、すごい砂埃みたいなの舞っちゃった……」

「うーん……動いてるっぽいなぁ」

段々と視界が晴れてきたところでもぞもぞと動く黒い影が見えてくる。

「やりきれなかったかぁ……」

「気にしないで、私たちが後は頑張るから」

「セイラ、支援よろしくね」

長い手のような器官を頼りに這いずって出てきた黒い影に日が当たって全貌が見えてくる。

「嘘でしょ何あれ……」

「気持ち悪……」

その生物は形容しがたい見た目をしていた。体は大きいイノシシのようだが足は退化しているように見えるが太ったお腹に埋もれているようにも見える。移動は首元から生えている手のような器官を地面に突き立てて這っているようだ。

「エイリーン、ネイ、行ける?」

「もっちろん。行くわよ!」

「お守りしますミア様」

三人とも立ち上がって左右から化け物に近づいていく。化け物の右目が抉れているのはセイラの槍によるものだろう。私が左から近づいていくとゆっくりとこちらを見て、体を動かしてくる。

「頑張ってよ皇女様……!」

広い場所に出て、正対すると化け物の口が開く。

「……?何かしら……」

なにかブレスのような物を出すのだろうか。不審な行動に警戒心を強めていると皇女が後ろから腕の一本を切りつける。

魔法で肉体を強化している様で通常では考えられないくらい高く飛び上がって叩きつけるように切断する。

すると、化け物が体勢を崩すと同時に口からものすごい勢いで何かを発射して背後の木を貫通する。

「何よあれ……!」

あんなもの避けることもできないし当たったら死ぬしかない。とにかく近づいて懐から斬りつける。

「思ったより硬いし……!」

皇女の声が聞こえる。あの威力で断ち切れなかったのだろうか。

私も魔法で強化した肉体で斬りつける。皮が思ったより硬くて断ち切れない。一度距離を離すと化け物の腕が二本、襲い掛かってくる。

「っぶない……!」

一本は剣で逸らしつつその反力で離れて距離をさらにとる。

反対側では金属音と共に皇女の怒鳴り声が聞こえる。重なって化け物の悲鳴にも似た唸り声も。

どうやら知能はあまり高くないようで攻撃している皇女よりも目で視認できる私の方を優先して攻撃してくる。

「一撃が重いっ……!」

流石に長い腕から繰り出される一撃は弾いても重い。外れた腕が突き刺さった地面は深くえぐれている。

時折、セイラので有ろう槍が飛んできては刺さっていく。

「ミア様危ない!」

少しだけ、化け物に刺さった槍を見ていたら眼前に腕が迫っていた。長刀でネイが防いでくれたけど、二人して後ろに吹き飛ばされる。

「ごめん、ネイ……大丈夫?」

「申し訳ございませんミア様……」

腕の射程圏内からは外れたようで今度はこっちを向いて例の射撃を行おうと口をこっちに向けてくる。

「避けて!ネイ!」

とっさに左右に分かれて射撃を回避する。着弾したところの地面が抉れて木が倒れる。

「あっぶないわね……」

「ミア様!ご無事ですか!」

「大丈夫よ!」

大丈夫とは言ったが樹の幹に叩きつけられたので全身が痛い。そろそろ大きい一撃で深手を負わせないときついかもしれない。

「緋剣、煌めけ……!」

剣を構えなおして法力を流し込むと赤く刀身とその周りが赤く光りはじめる。

「……緋剣斬!」

体も強化しているのでとてつもない速度で化け物に迫っていき、先ほどは斬れなかった皮を切りつける。今度は肉の焼けるにおいと共に裂け目から黒焦げた肉が見えてくる。

「良し……!」

うまくいったと思うのもつかの間、開いた傷口から黒い霧のようなものが溢れてきて、化け物が吠える。黒い霧が化け物を包み込むと斬れたはずの腕や取れたはずの目が復活している。その代わり口から妙な液体を吐き出している。

「きゃっ……!?」

復活した腕に吹き飛ばされた皇女が吹き飛ばされているのが見える。

「エイリーン!」

「お任せを!」

ネイが吹き飛ばされた皇女を上手くキャッチして少し離れたところで降ろす。

「わ、悪いわね」

「いえ」

「エイリーン、大丈夫?」

「え、ええ。突然黒い霧が出て驚いたわ」

「強く切りつけたのに、傷が塞がってるみたい」

「てことは……一撃で息の根を止めないといけないのかしら」

現状の私ではまだ一撃では仕留めきれない。

「私に任せてもらえれば一撃で仕留められるかも」

少しあった沈黙で察した皇女が名乗り出てくれる。

「……行けそう?」

「任せなさい!けど、少し時間が掛かるから時間を稼いでほしいのだけど」

「それは……私たちが何とかするわ」

「ありがと」


改めて、黒い霧をまとった化け物と対峙する。対処方法があるという皇女にとどめを任せる形になるが、しっかりと時間を稼がせてもらおう。

「行ける?ネイ」

「いつでも」

「じゃあ……行きましょうか!」


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