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サプライズプレゼント

ということで小一時間ほど店内を物色しているとお買い上げするものがだいぶ増えてしまった。

「結構、買うものが多いわね」

「こういう時じゃないと買わないし……自分じゃ気づかないものが似合ったりするし」

「これが直接店に行って買ういいところだよね~」

「じゃあ、私お会計してくるから待ってて」

「え、えっ?自分のは自分で買うわよ」

エイリーンがかごに入った商品を全部持って行こうとしているので思わず声をかける。結構いいお値段するはず。流石に全部おごってもらうのはちょっと気が引ける。

「いいのよ。私が連れ出したんだし。このくらい払わせなさい」

「何から何まで用意してもらったんだから……っていないし!」

「そこにいますわよ」

ロベリアの指し示す先にはお会計を済ませるエイリーン。いつの間に。

「何から何までやられちゃうわね……」

「まぁ、本人がしたいって言ってるんだから好意に甘えるのも一つだとは思いますわよ?」

「そうそう!ロベリアさんの言う通り好意に甘えるのも大事だよ、ミア!」

ロベリアとセイラにそう言われて、レイもうんうんと頷いているのでそう言うものと思うしかないみたい。

「……そう言うもの、かしらねぇ」

「ほかの事でお返しすればいいんじゃない?」

「そうですよ姉様。姉様にしかできないことだっていっぱいあります」

「う……そう、ね。考えてみようかしら」

何かの形でしっかりお礼をしたい。いつも私の事を見てくれているし。

「お待たせ。何の話してたの?」

しばらくすると紙袋を持ったエイリーンが歩いてくる。ブランド物を持っているお嬢様感がある。

「貴女がお嬢様だ、って話をしてたんですのよ」

「な、何?皆だっていいとこの生まれじゃない……」

少し戸惑いながらエイリーンがそう言う。

「貴女と比べたらみんな平民ですわ」

大貴族の娘のロベリアがそれを言うのか……と思いつつも言いたいことはわかる。外の馬車へ向かいながらそんなことを考えていた。

「そんなことないでしょ~!」

「たまに……エイリーンは違う世界なんだなぁって思うことはある、よ?」

「ですね……」

「そうよね」

ノアとレイが言ったことに乗っかってロベリアも頷いている。

「ロベリアもそうだけどね?」

「えっ……?」

一瞬フリーズしたロベリアを横目に馬車に乗り込む。


「それで、次はどこに行くの?」

「もうちょっと買い物したいし荷物置きがてら少しだけ移動するわ」

「なるほどね」

その言葉の通り5分ほどで馬車は止まる。今度はもうちょっと高めのアクセサリーや帽子、下着の類が置いてある店に入る。

「お、おぉ……ここもいい値段するわね」

目の前にある指輪。どれもこれも宝石がついているだけあっていい値段がする。

「でも綺麗……」

「お嬢様、お目が高いですね。こちらの指輪は法力も込められるものになっておりまして……」

少しうっとりしていると店員らしき人が何やら説明をしてくれる。

「そ、そうなんですね……。おまじないみたいなのをかけられるんですか?」

「ええ。護符のようなお守りとして使われる方もいますし、質によっては困ったときの法力貯蔵として使われる方もいらっしゃいますよ」

「なるほど……」

いくつも宝石の種類があって彼女たちをイメージできる色がそろっている。いい値段はするけど、さっきエイリーンがプレゼントしてくれたしいつもお世話になってるみんなへのプレゼントにちょうどいいかもしれない。

「いかがされますか?」

「その……7つお願いしてもいいですか?」

「あ、ありがとうございます!」

「えっと……あの子たちに気付かれないように、こっそりと法力込めたいんですけど……」

ちょっと離れた場所でアクセサリーを見ている彼女たち。サプライズっぽくしてみるのもたまにはいいだろう。

「なるほど!かしこまりました。それでは……採寸という名目で別室へ移動しますか?」

「あ、お願いします」

ということで、採寸というていで彼女たちの目の前から離れる。

「ちょっと採寸してくるわね」

「あら、下着ならプレゼントするのに」

「良さそうなの見つけちゃったのよ」

「姉様にはなんでも似合います!」

「後で見せてね~」

「はいはい……」


そう言って店舗の裏に通される。

「こちらのお客様、指輪に法力を込めたいそうですので……」

「ああ、分かりました」

そう言うと少し大きい宝石のついた機器が持ってこられる。

「今回宝石に直接法力を込めるのは難しいのでこちらの機器を経由して込めたいと思います」

「な、なるほど」

かき氷機のようなドームの中に手を入れるらしい。

「……はい、準備できました。一旦お客様の法力を確認いたしますのでお手を入れてください」

言われたように手を置く。少しずつ法力を込めると宝石が光っていく。

「お、おお……?これは……」

しばらくすると宝石がオレンジ色になって輝きが落ち着く。

「一旦お手をお離しくださいませ」

「……とても質のいい法力ですね。加工したら大量に込められそうですね」

「あ、ありがとうございます」

「直接込めないでよかったです」

そう言って機器の後ろ側に赤色の宝石がついた指輪を装着する。カチャカチャと機器を弄った後スイッチのようなものをオンにすると一瞬指輪の宝石がきらりと光ってほのかに法力の流れを感じられる。

「申し訳ありません。個数が少し多いので時間がかかるかもしれません」

「い、いえ。大丈夫です……」

皆にプレゼントするものだし、心を込めて一つ一つに法力を込めたいので時間がかかるのは別に構わない。


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