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おでかけ準備

休日の私はいつもより遅い時間に起きる。とはいえ結局ネイかセイラに起こしてもらうので自分で起きる時間をコントロールする必要はないのだが。

「ミア様、起きてください。……レイ様も起きてください」

「二人とも起きて~」

今日は少し早く起こしてもらった。エイリーンたちと海へ行くための軽い買い出しをするために。

「……おはよ」

「朝ごはん、できておりますよ」

「……ん。ありがと」

しかし、そこには朝ごはんを一緒に囲むはずのない相手がすでにいた。

「おはよう」

「おはようございます」

「……えっ?何でいるの?」

一瞬で目が覚めてしまった。二人とも寮の前で集合だったはずなのに。

「少し早く着いたらよかったらって」

「……せっかくならと」

まぁ、おいしいご飯はみんなで食べた方がいいと思うからいいけど。

「二人とも、本当に仲いいわね」

「えっ?」

彼女たちが寝間着姿の私達を見てそう言う。確かに姉妹で一緒に寝るのはあんまりない事な気もする。と言うか私たちが仲良いのは当然というか姉妹だし……。

「ほら、寝るときに手をつないで同じベッドで寝るのって珍しいなって」

そう言えば。いつも意識していなかったけどレイと寝るときはいつも手をつないでいる気がする。なんというか、こうしていると妹がずっと隣にいるのを感じられて安心するのだ。

「そう?私、レイと手を繋いでると安眠できるからよくするけど」

「へぇ」

「姉様……!」

興味深そうな二人とこちらを見つめてくる妹、うんうんと頷いているセイラ。そんな一気に見つめられると少し恥ずかしい。

「皆様……朝ごはんのご用意ができましたが」

そんな無駄話をしていたらネイがそう伝えてくれた。せめて顔を洗ってこないと。

「先に行ってて。ちょっと顔洗ってくる」

「はーい」


「いただきます」

少しだけ雰囲気の違った朝。目の前の朝食にも少し気合いが入っている。

「ん……!いいわね、この朝ごはんおいしいわ」

「ええ本当に。二人が羨ましいですわね」

「ふふっ。そうでしょ、うちのネイとオーバはすごいんだから」

私が褒められたわけではないのに嬉しくなってしまう。

「恐れ入ります」

「この朝ごはんを食べるためにミアの部屋に泊まるのもありかもしれないわね」

「ご飯目当てって……なんか複雑ね」

「あら。ミア目当てがよかった?」

急に獲物を品定めするような強い視線を向けられて背筋がぞくぞくっとする。

「な、なに言ってるの……!」

「顔真っ赤にしてかわいい。冗談よ」

「もう……!」

「朝からイチャつかないでほしいですわね……」

やれやれと首を振るロベリア。いたずらっ子っぽく笑うエイリーン。楽しそうに微笑むレイ。ずいぶんと賑やかな朝ごはんになってしまった。たまにでいいかも。



「そう言えば、今日は何を買いに行くの?」

朝ごはんを食べ終わってお茶を飲みながら尋ねてみる。

「確か水着は用意してくれるんですのよね」

「そうね。実は完成品はできてるから今日試着をしてもらおうとは思ってたのよね」

「てっきり現地でお披露目かと思ってたわ」

実際に海に行くのは明後日だったはずなのでいつ水着を試着させてくれるのか気になっていた。彼女ならそう言うサプライズしそうだし。

「じゃあ今日はそれがメイン?」

「ほかにもいろいろ見て回ろうかと思ってるわ。あんまりこういう機会はなかったしね」

せっかくなら私もおそろいの小物でも送ろうかしら。少しならお金もあるし。とはいえエイリーンのお母様に貰ったアクセサリーが強すぎて霞んでしまいそうだ。

「ミア様、セイラ。お着換えの準備できました」

「ありがと。じゃあ着替えてくるわね」

「行ってきま~す」

起きて以来ずっと寝間着でいたし、出かける前に外用の服に着替えることにする。ネイが選んでくれた服なので、どんなものなのか楽しみ。

「で、どんな服を選んでくれたの?」

「今日はミア様も着替えをするかも、と事前に聞いておりましたのでできるだけさわやかに。それでいて手間も少ない服を選びました」

「セイラには動きやすいようにこの服を」

そう言って白の清楚なワンピースとセイラ用のパンツスタイルの上下セットを取り出してきた。というかエイリーン、ネイには事前に教えていたのか。

「あら……結構定番ね」

「定番だからこそ、ミア様なら映えるかと思いまして」

ふむ。まぁこういう服嫌いじゃないし、選んでもらったんだから着てみよ。そう思って寝間着をベッドに放る。

「……どう?」

くるっと一回転を挟んでみる。ノースリーブのワンピースに黒い羽織を着せてもらった。

「素敵です。これを選んで正解でした」

「ミアかわいい!」

「そう?嬉しいわ」

お腹あたりをリボンで絞っているので太って見えないのもいい。

ということでお披露目。みんなのいるリビングへ向かう。きいっと扉を開けるとすでにレイも着替え終わっていた。

「お待たせ。どうかしら……」

「素敵です……!姉様!」

「かわいいわね」

「こう見るとお嬢様感が出ますわね」

三者三様の反応が返ってくる。

「ネイのおかげね……」

「人って服で印象こんなに変わるのねぇ」

「……普段の私の印象どうなってるの?」

「じゃあ、そろそろ時間だし行きましょ行きましょ」

私の質問を華麗にスルーしてエイリーンがそう言う。

「行ってらっしゃいませ、皆様」

「「「「「いってきまーす」」」」」

今日はネイもオーバもお留守番。セイラだけが一緒にきてくれる。


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