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見通せない試合

「というか姉様、エイリーンさん。遊んでる場合じゃないというか次の試合始まっちゃいますよ……?」

「「あっ」」

私もエイリーンもちょっとはしゃぎすぎた。私のこと変わった子とかいうからついエイリーンのほっぺたをもちっとしてしまった。とても柔らかかった。

「今回から確か一対一のチーム戦よね」

「そうね」

今までよりさらに強いチームと一対一……相手が潰し合って消耗を期待することもできない。

「今度は動ける場所も変更されるから、根本的に戦術を変える必要があるわ」

「そ、そうなの?」

突然大事なことを話してくる。

「ええ。今まではどこから敵が来るかいまいち察知するのは難しい多角形の場所だったけど、今度は相手の陣地とこちらの陣地、幅は広いとはいえ直線でつながっているから察知はしやすいわ」

「ってことは……こちらも相手も三人一組で攻撃することが多いのかしらね」

「そうね」

さっきよりもチームワークが大事、って事になるのだろう。私の砲撃も結構当たりやすいのかも。とはいえ距離によっては隙が大きいだけかもしれないけど。

「次の戦いはどうするの?」

「ふふっ。こういう感じで行こうと思ってるわ」

こそこそっと私とレイにだけ聞こえるように耳元で作戦を教えてくれる。

「えっ……?」

「あんまり変わらないわね」

それを聞いて私たちは少しあっけにとられた。要するにいつも通りとあんまり変わらない気がする。

「今回は私、遊撃に徹するわ。この次の試合、絶対に負担をかけないからこの試合だけ頑張ってほしいの」

ちょっと気になる。彼女がここまで言うなんてどんなことが起こるのか。

「わ、わかったわよ。エイリーンの指示で戦うって決めてたし従うわ」

「私もそうします」

「ん。ありがとうね」



「さて……始まったわね」

さっきまでと同じように眩しい光が落ち着いたと思ったら仮想空間についていた。建物がぽつぽつ建っているマップが当たったみたいだ。

「あら、こんなところに陣地ができるのね……」

とある教室のような場所が陣地になっていた。

「この建物、屋上から遠くを見渡したら相手見えないかしらね」

「そうね……一旦上から見てみましょうか」

そう言って一旦三人で階段を上る。陣地をいつまでも空にできないし手早く上って屋上に到着する。金属の扉をキィという音と一緒に開いた。

「風強いわね」

「そうね……」

なんだか屋上は雑居ビルを思い出すような雰囲気だ。少し懐かしい。あまり目立たないように姿勢を低くしながら外を眺める。

「ふぅん。結構建物多いのね」

確かにいくつか三階建て程度の建造物が建っている。それをつなぐように道や草木、川などが配置されている。

「ねぇ、ふと気になったんだけどミアの魔銃の砲撃ってあの建物を壊せる?」

「建物って……あれの事よね。何回も撃ち続けたらいつかは、とは思うけど一回や二回じゃせいぜい一部屋を壊すくらいじゃないかしら」

正直それもわからないけど。

「なるほどね」

そう言った彼女は少しだけ考えるそぶりをして、私とミアに指示を出した。

「ちょっと作戦を変えるわ」

「あら」

「ミアとレイにはこれからちょっと離れたところからあの建物に二発くらいずつ発砲してもらおうと思うの」

「二発、ね」

「ええ。ここから私がそれを見て相手に動きが出ないか見ておくわ。もしかしたら相手の陣地も建物の中にあるかもしれないし」

「撃ってる間は私動けないから運悪くバレちゃったらどうするの?」

「少しの間レイに頑張ってもらうわ。すぐ私も向かうからちょっとだけ辛抱してほしいわ。いけそう?」

「姉様を守るのは私にお任せください!」

「……わかった。その案に乗るわ」

そう決まったら早速撃つための準備をしなきゃ。建物の大まかな距離をメモしてポケットにしまう。あとはエイリーンが屋上から当たったかどうかとどのくらい調整すればいいかを教えてくれるはず。大きい標的だし当たればいい、とのことなのでまぁ大丈夫だろう。

「それじゃあ、少し離れるわね」

「ええ。頑張って」

エイリーンに軽くお尻をぽんっと叩かれながらその場を離れる。


「姉様、こんな近くて大丈夫ですか?」

少し離れた、と言っても建物から数十メートル離れただけの場所で発射の準備を始める。

「ええ。どうせバレるときはバレるし、それならエイリーンと離れすぎない方がいいと思うわ」

「なるほど」

今回は前回まで見たいにマーカーを置いてないしあんまり命中する感じも正直しないので一番派手に爆発する弾を装填する。建物によってはちょっと長い距離だから思ったより疲れるかもしれない。

「じゃあ、始めるから護衛お願いね。レイ」

「はいっ!」

元気な返事を聞いてから私は魔銃を空に構える。息をふぅっと吐き出してから引き金を引く。

「……ん」

発砲音が周囲に響いているのを感じる。愛しの妹が守ってくれるから大丈夫と信じて無心で引き金を引き続ける。

「その調子、だそうです姉様」

屋上のエイリーンはそのように合図を出しているらしい。


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