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攻撃開始!

「決めたの私とはいえ陣地を空っぽにするのは怖いわね」

「いいのよ。ほかの旗は全部持ってるんだし!」

「そうですよ、姉様」

ほんとこの二人は心強い。

「貴女たちといると本当に不安を覚えることがないわね……」

「嬉しいでしょう?」

「むぅ……」

ずっと上手を取られている気がする。気がするというか間違いなく私が妹みたいになっている。

「ほらほら、いったん放棄した陣地の事ばっかり考えてないで新しい相手の事考えなさいよ」

「わかってるわよ」

とは返事をしつつも相手の事はほとんど情報がない。エトラの事は多少知ってるけど、彼女に怒鳴っていた彼女たちはどう戦うのか何も知らない。ともかく最後の陣地なのは確定してるし手元の磁石を見ながら進んでいく。


しばらく進むと川沿いの堤防のような盛り上がりの近くに陣地を見つける。茂みも多くて隠れやすい。三人して木陰から陣地を覗いてみる。

「あそこみたいね」

「ちゃんと三人残ってるみたいですね」

レイの言う通り陣地を眺める限り三人とも陣地に残っているみたいだ。私たちの逆で一旦旗を取り終わったから陣地にこもっているのだろうか。

「ちょうどいいじゃない。まとめてわからせてやれるし」

「エトラは……あ、いるわね」

うつむきながらたまにチームメイトに何かを言われてさらに縮こまっている。ただでさえちっちゃい体がさらに小さくなる。

「よくあんなのでここまで来れてるわね」

「あの二人も強いんじゃないの?」

私達と直接言い合った子はどうやら近接武器持ちだ。もう一人は……あんまり見たことないけど槍のような少しリーチの長そうな武器を持っている。

「そうかもしれないわねぇ……どうしようかしら」

エイリーンは少し考え込む。こちらはメイン武器は全員剣だから少し距離の詰め方を考えないといけないかもしれない。

「一旦、ミアとレイで陣地を襲ってもらおうかしら」

「二人で?」

「ええ。その間に私は別の方向に周ってから攻撃しようと思うの」

「なるほどね」

「とはいえあの生意気な子は私が直接倒したいけど」

「そこは勝手にしていいわよ」

「エトラさんと距離の取り方は少し考えないといけませんね、姉様」

「そうね……」

前回は意味もなく相打ちになってしまったし、今回は少し考えて戦わないといけない。

「じゃあちょっと移動するから……そうね、少し待ってから攻撃してくれればあとは合わせるわ」

「わかった」

「じゃあ、またあとでね」

「ええ」


「姉様、誰から狙います?」

エイリーンが場を離れてから少し経った頃、レイがそう声をかけてくる。

「まずは槍の子にする?一番わからないし最初に潰したい気がしない?」

「確かに。そうしましょうか」

ここから陣地までは十メートルほど。こちらを監視してるのは一人だけだし二人で息を合わせて一気に距離を詰めれば先手はとれるかもしれない。

「魔銃を使う、っていうのもアリなのかしらね」

「そういえば今回あまり使ってませんし、ちょうどいいかもしれませんね」

「一撃目は私が入れて、同時にレイが攻撃するっていうのはどう?」

「いいですね!」

ということで、気づかれないようにこっそりと魔銃を用意する。多分一撃目に使ってそのまま私も近接の攻撃に参加することになるだろう。

「この距離なら避けるのは難しいはず……一発取って有利にしたいわね」

「姉様が当てたら一気に前出ちゃいますね」

「ええ。お願い。私もそのあとに続くから」

「はいっ」

さて、少し時間は経ったけどエイリーンの用意もできたかしら。むしろ早く始めないかうずうずしてるかもしれない。

「準備はいい?レイ」

「ばっちりです」

「じゃあ、始めるわね」

ふうっと息を吐いて呼吸を落ち着かせる。照準を相手の子に合わせて指をトリガーにかける。魔力を少し込めて引き金を引いた。ドンっと少し大きい音を響かせて発射された弾丸はそのまま彼女の胸元に吸い込まれて行って……少しの悲鳴と爆発とともに着弾した。

「行きます!」

と同時にレイが突撃していく。私もそれに続く。

「来たわ!」

「……卑怯者!」

さっき聞いた甲高い声ともう一人の卑怯者という声が耳に入ってくる。視界が晴れたところで、目の前ではレイが槍の子を攻撃していた。どうやら仕留めるのには失敗したらしい。とはいえ怪我は負わせているようで、制服の一部がボロボロになっている。

「やっぱりあんたね……!覚悟なさい!」

「……ふっ!」

私はリーダーらしき子と剣を合わせる。流石にここまで残っているだけあってしっかりと打ち合いはできるみたいだ。とはいえ、宝飾だらけのその剣でいつまで打ち合うことができるか。

「エトラ!援護しなさいよ!」

「は……はいぃ……!」

少し自信なさげな声と共に横からしっかりと練り上げられた氷柱が飛んでくる。私とレイはその氷柱を叩き折ったり避けながら少し距離を取る。

「さて……数は不利になっちゃったわね」

「大丈夫です姉様、あの子はもう少しで押しきれます」

「じゃあ、私も頑張ってみようかしらね……!」

一気に距離を詰めてリーダーの子にさらに攻撃を加えに向かう。


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