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作戦決行

ということで稜線から少し離れたところで魔銃の準備をする。今回は長距離を飛ばすために狙撃タイプの魔銃を用意した。弾倉も一番威力の出る弾にしてきた。後は最初にばらまいておいた目印めがけて発砲するだけ。当たるかどうかは半分お祈りだけど衝撃派でも多少はビビらせることができる気はする。

「……よしっ。準備できた」

少し離れた目立たないところに隠れている妹に軽く視線を送る。こちらからは反応は見えないけどきっと了解と言ってくれているだろう。

そのまま今回は地面に支えを刺して発砲する。スコープを覗いても空しか見えないが事前に決めていたところに狙いは決まっているので問題ない。

「……いけっ!」

続けて何回も引き金を引く。思ったより反動が来るけど何とか打ち消して次の弾を発砲できている。結構目立つ音と光が周りにばっちり放出されているはずだ。

「……ふぅ。まだまだ……!」

何発か一度に発射して自分の体から力が抜けていくのをほんのりと感じていた。ただし、発砲はやめないで続けていく。あらかじめ決めていた量を発砲する前、稜線から頭を出して私を狙う生徒がいるのはわかっていた。たぶん射撃中で隙しかない私を倒しに来てくれるはず。このまま気づかないふりをしながら相手の方から来てくれるのを待つ。

「……少し疲れてきたわね」

既に100発を放り投げ終わろうとしていた時、私の首を取りに稜線から一気に狙いに来る人が現れた。

「隙だらけだ!」

「今のうちに!」

どうやら別のチームの防御担当の子が合計二人釣れたみたい。思ったよりは少なかったかも。もうちょっと釣れたら後で楽だったかもしれない。

「取った……!」

私の首筋と頭に斬撃が入ろうとしたその瞬間。キーンと頭に響くような音を鳴らしながら私への害意は宙を舞った。

「……え?」

驚きを含んだ声が私の耳に届いたと思ったら一人目はうめき声をあげて倒れたみたいだ。私はまだ射撃を続けているので直接見ることはできていないが数瞬遅れてきゃっとかわいい悲鳴も聞こえる。

「釣り出された……!くそっ!」

「逃がしませんよ」

「ぐわっ」

「きゃあっ⁉」

どうなっているのか詳しくは見えないけれどレイが優勢な感じはする。とはいえいまだに敵は抵抗をしているようで至近距離で打ち合いをする音はまだ耳に届いている。後数十発発砲したら私も妹の手伝いができる。その前に方は付きそうな感じもするけれど。

「ぐはぁっ……!」

「二人がかりでも精一杯だなんて……」



「……ふぅ」

とりあえずエイリーンと決めた数だけ発砲を行ってスコープを視界から外すとどっと力が抜けるとともに疲労感が来た。結構しっかりとした消耗をしてしまったみたい。

「お疲れ様です、姉様!」

右隣から耳元に声が聞こえてくると同時に腕に柔らかく温かい感触が来た。

「レイこそお疲れ様。思ったより私いい餌になれたみたいね」

少し周りを見渡すと軽い戦闘の跡が残っている。剣が二本離れた場所に突き立っているのはたぶんさっき私を襲ってきた子たちのものだろう。

「……よしっ。姉様、傷はなさそうですね」

腕をホールドされたまま上から下までじろりと観察された。相変わらず少し心配症な妹かもしれない。

「レイがしっかりと守ってくれたから傷なんてないわよ」

「姉様……」

実際この空間で多少傷ができようが元の世界に戻れば五体満足に戻るのではあるけれど、あの状況で傷一つなく作戦を完遂できたのはこの強くてかわいい妹のおかげであることは疑いない。

「それにしても人数不利だったのによく勝ち切ったわね」

「あのくらいなら私一人でも……それに、姉様に集中していたからこちらに一切警戒されずに一撃を叩きこめたのが大きいと思います」

「なるほどね。とはいえ流石だわ」

言葉でいうのは簡単だけれど実際やるとなったらとんでもない難易度であるのは確実。こういう時はレイの事をしっかりとほめてあげなきゃ。ということで彼女の頭を優しくなでてあげる。

「ね、姉様……⁉」

少し驚きながらも目を細めながらちょっとうれしそうに撫でられるわが妹。ちょっとだけ猫みたいと思ってしまった。

「私の事しっかり守ってくれてありがとうね」

「……はいっ!」

しばらく撫でてあげると満足そうにして体を離す。そう、まだこの試合は終わってはいないのだ。とりあえずエイリーンに向かっての支援攻撃は行ったのだし、今のうちに防御の生徒がいないであろう相手陣地の旗を奪ってこなきゃ。

「じゃあ姉様。一緒に近くの陣地から攻め取ってしまいましょうか」

「ええ。行きましょ」

さっきまで見ていた稜線を超えて相手の陣地へ走り込む。

「……これですね」

レイに魔法防御の解除をしてもらって旗を奪う。さっきから防御を一人にしておそらく攻め手を二人にしているチームが多く、エイリーンの負担が大きくなっていそうで少し不安だ。

「うん、待ち伏せもいないみたいだしさっさと次の陣地を取りに行っちゃいましょ」

「はい!姉様」


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