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一息ついての強敵

エイリーンの三回戦が終わったところで観客席を見てみるとそれまでで一番盛り上がっていた。当然といえば当然だが、今までの戦いがちょっと迫力に欠けていたしいきなりこんな戦いが見られれば盛り上がるだろう。

「これでエイリーンは三回戦突破ね」

「まだまだ余裕そうですね、姉様」

「そうね。何なら本当に優勝しちゃったりして、ね」

そんなことになったらだいぶ今回の大会を荒らすような大型一年生みたいになりそうだけど。

「一応ほかの選手でもいい戦いをしてるところが多いですし、頑張ってもらいたいですわね」

確かに、歓声は他の戦っているところにも降り注いでいるみたいだ。エイリーンだけが有利ってこともなさそう。

「あと何回くらい試合があるのかしらね」

「あと二、三回くらいじゃないですか?」

「まだまだあるわね……」


しばらくして三回戦最後の試合が終わりを告げる。会場の拍手が鳴りやんだくらいに次、四回戦の組み合わせが発表される。

「なんか……ほとんど書いてある人年上になってきたね」

対戦相手にしろほかの選手にしろほとんどが上級生になっている。無理もないことだけど。

「あ、あの人は代表経験ありますわね。あの人は大会で見たことありますわ。あの人は……」

ロベリアが知っている選手を幾人か上げてくれる。聞いてるだけで強そう。

「というかロベリアよく覚えているわね……」

「これくらい当然ですわ。貴女たちが存分に動けるように情報と環境を整えるのも私の役目ですもの」

ふふんと胸を張る彼女。すごい頼りになる。

「それに、自分の通ってる学院の代表ですのよ?最終的には他の学院との戦いになるんですから、一番強い者に出ていただきたいですしね」

「なるほど……」

エイリーンの名前を探すとすぐに見つかった。

「なんだ、四回戦は試合がないのねエイリーン」

どうやらシードになってしまったらしい。

「あら、本当ですわね……不満そうな顔が想像できますわ」

「これって何で決まるのかしらね」

「さぁ……そこまでは。基本はくじ引きとかで決めていると聞きますけれどね」

「それが本当ならただ運が悪かっただけってことね……」 

優勝を目指してるとはいえ戦いたいというのが最初に来る彼女にとっては不満しか残らないだろう。むうっとふくれている彼女の顔が思い浮かぶ。


「……かっこいい所見せられないわね」

まさか運悪く相手がいないなんて……せっかく強い選手が残ってきたというのにこれじゃあ生殺しだ。

「はぁ……早く四回戦終わらないかしら」

そんなことをため息交じりにつぶやきながらほかの試合の様子を見る。


エイリーンの出番がなくてもとりあえずは四回戦をざっと見てみた。もしかしたらどこかで戦うこともあるかもしれないし。と言っても剣術のみだからそれだけに引っ張られるのもよくはないとも思うけども。

「だんだん見ごたえが出てきたね」

「あんなに強い人たちがまだまだこの学院に入るんですね……姉様」

「勝てる気しないし会ったら逃げないとねぇ……」

あの人たちと戦うことなんてそうそうない事だろうけど。

「とはいえ、もうそろそろ試合も終わるところが出てきましたわね」

ロベリアの言う通り、甲高い音が響いて試合終了するところや二人とも実力を出し切って勝負に決着するところが出てきた。

「思ったより見入ってしまいましたわね」

「やっぱり強い人たちの勝負は見ごたえあるしね。仕方ないわよ」

「あ、姉様!次の組み合わせが発表されましたよ!」

ちょっと一息ついてたらエイリーンの対戦相手が発表されていた。今度はしっかりと相手がいるみたいで安心。

「三年生……強そうね」

「名前は聞いたことありますわ。剣術大会でも優秀な結果を残してる方だとか」

「めっちゃ強いじゃん!」

「ちなみに魔界からの留学生だとか。アル先輩と同じですわね」

ふとアル先輩の顔が頭に浮かぶ。

「魔界の剣術……気になるわね」

「今回は余裕ってわけにはいかなそうですね、姉様」

「そうね……」

しっかりと応援してあげなきゃいけなさそうだ。残りの選手の数も12人ほどになっているしそろそろ終わりも近づいている。

「頑張れ、エイリーン!」


「さて……いい対面ね。本気出したら勝てるかしら」

久しぶりに強敵と戦う。レイやロベリアたちより強い人だったら本気よりも本気を出さなきゃ。

「よし、行くわよ!私!」

ほっぺたをパチンと叩いて気合いを注入する。そこの扉を開けばもう会場だ。装備を確認して会場へ向かう。

「試合開始!」


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