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次の任務

そのまま屋敷の外まで出て、大きなため息をつく。呆れ半分、安心半分といったとこだろうか。

「無事に終わってよかったぁ……」

「無事……だった?あれ」

セツは不安そうに聞いてくる。傍目にも穏やかな交渉ではなかったようだ。

「大丈夫大丈夫!たぶんね……」

「ですがミア様。書面などで残さなくてよかったのでしょうか……」

「守る気なかったらそんなの関係ないし、早く出るに限る!だよ」

「なるほど」

「というわけで、セツ。カーンまで早く帰ろ?」

「そ、そうね……」


少し引いているセツを連れて宿まで戻って、馬車にけが人を優先で乗せてからネイに操縦を任せて急いで町を出た。

「何から何までしてもらって悪い。ミアリーン殿」

「いいんですよ。仲間なんですから」

普段のミアからは想像もできない言葉にネイは少し驚いている。

「でも報酬貰えなかったね」

セイラが少しだけ残念そうに言う。

「あ、そのことなんだけど……」

荷物から二つの箱を取り出す。

「何?それ」

「開けてみて開けてみて」

言われるがままにセツが箱を開けてみる。中にはさっき見た宝石の原石がたくさん入っている。

「これって……まさか」

「そう!領主にぶん投げてきたやつの一部!」

「まだこんなに……昨日取ってきてたのってこれだったの?」

「ネイと二人でちょーっと様子見に行ったら一杯取れちゃったから……一番大きい奴を渡して残りを報酬代わりに頂こうかなって」

「すごいな……」

「その二箱は四人で分ける分で私達は別に一箱貰うけどいい?」

「もちろん。貰えるだけでありがたい」


「改めて思ったけど、ミアさんたち強いのね……」

馬車に揺られながらセレスタが呟く。

「私はネイがいなきゃうまくできないから、ほとんどネイのおかげよ」

「ミア様……」

流石のネイも少し照れくさそうだ。

「でもセレスタ達も強いよね。ちゃんと生きて帰ってこれたんだし」

「私なんかは倒れてただけだけどね……あはは」

「流石に後ろから味方に刺されるなんて考えないよ、大丈夫大丈夫」

けが人のケガに響かないように少しゆっくり馬車を揺らしてカーンに戻る。

「そういえば四人はどこに滞在するの?」

町の入り口まで来て尋ねる。せっかくなら送って行こう。

「今から探そうと思ってた。いつものところに行こうかなって」

「じゃあそこまで送るね?」

「ありがとう」

セツの案内で四人を宿まで送る。

「わざわざありがとう。馬車はこの通神手形で返せるわ」

レスタが仮想の画面のような物を渡してくる。この通神という技術は使ってみると便利なものだ。元の世界のインターネットより便利かもしれない。

「確かに受け取りました」

セツたちを見送った後にネイとセイラと馬車を返してメーシャの待つ宿へと戻る。

「メーシャ元気にしてるかなぁ」

「うちの子が守ってくれてるし大丈夫だと思うよ」

「早く会いたいなぁ」

そんなことを話しているうちに宿へ到着する。

「お姉ちゃああん!お帰り!」

「早速来たようね」

部屋の扉を開くと同時にセイラの胸に飛び込んでくる影がある。

「ただいま、メーシャ!」

二人して抱き合って幸せそうだ。二人の後ろの方でイナがこちらに礼をしてくる。

私も妹と会いたくなってきた。ずっと会いたい気持ちはあったのだがその気持ちがますます強くなった。

「元気してた?メーシャ」

「うん!イナお姉ちゃんと一緒に遊んでた!」

やはりこのくらい平和な任務がちょうどいい。もうしばらく護衛任務はこりごりだ。またしばらくは近所の任務を受けることにしよう。


だが、一回討伐任務や護衛任務を受けるとなかなか離れられなくなるようだ。

一月ほど経った頃、いつものように何を受けるか悩んでいたところでクランの受付嬢に呼ばれて応接室に連れていかれる。

「なんだろうね、ミア」

「あまりいい予感はしないわね」

コンコンと扉がノックされて別の受付嬢が入ってくる。何回か見たことある気がする。

「ミアリーンさん。今回も任務を依頼したくお呼びしました」

「どんな任務ですか?」

「帝国国境沿いまで行って、害獣駆除になります」

「駆除かぁ……」

「基本依頼金に加えて倒した害獣の数に応じて報酬を増やさせていただきます」

思ったより提示された依頼金は多めだ。

「……どうする?セイラ」

「またメーシャを一人にするのは不安だけど……これくらいならまた終わった後しばらくゆっくりできるんじゃない?」

「それもそうね……。分かりました。受けます」

「かしこまりました。ルインベルのクランに話を通しておきますのでまずはそちらにお立ち寄りください」

ルインベルは帝国との国境にある都市だ。いくつかの通神書を受け取って宿に戻って用意をする。

「ルインベルってどこにあるの?」

「国境沿いだから結構東の方……イオナに頼んで運んでもらおうかな」

「かしこまりました」

イナが外に出てイオナに連絡を取る。

「イオナ?どうやって行くの?」

セイラはイオナのことを知らないから当然の疑問だ。

「航空艦の艦長がイオナよ」

「航空艦!?あのでっかい奴だよね?持ってるの!?」

「んー……まぁそんなところ。かな?」

「すっごいね……ミア」

「ミア様。イオナさんに頼られるのでしたらメーシャさんも一緒に連れて行けるのではありませんか?」

「確かに……一緒に来れば安心だね」

「一緒に行けるの!?メーシャよかったね!お姉ちゃんと一緒にお出かけだよ!」

「やったぁ!」

とてもうれしそうだ。イオナも一人くらいなら乗せてくれるだろう。

「マスター。お迎えに上がるとのことです」

「わかった。皆荷物の用意してね」

「はーい!メーシャ、準備しよっか!」

「うん!」


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