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一日目の終わりと策謀

「あのね、ロベリア、エイリーン。少し話したいことがあるんだけど」

手当てをしてもらって皆のもとに戻った後、二人に声をかけた。

「姉様、私には……」

「……今は二人にだけ。後で必ず話すから、ね」

「うぅ……わかりました」

落ち込むレイをノアが少し離れたところに連れて行ってくれる。本当に心苦しい。

「この状況では私たち二人に話すのが最適ですわね」

「ええ。というわけで、何があったのか話してもらえる?ミア」

「えっとね」

とりあえずあったことを素直に話してみる。

「……ってことがあったの」

まず彼女たちの反応は驚きだった。そしてすぐに呆れた顔に変わった。

「実力で勝たないで何が楽しいのかしら」

「そんなに気が短いんじゃ苦労するでしょうしねぇ……ともかく犯人はほぼ確信できましたわね」

「は、犯人ってことはやっぱり」

「ええ。あなたの魔銃をいじったんでしょうね」

「さてどうしてやろうかしらね」

「やっぱり……通報するの?」

「しないの?」

「しないんですの?」

二人とも同じことを言う。

「確たる証拠を集めたら間違いなく落とせますわ」

「あんまり大事にしたくないんだけど……」

やる気満々の二人には申し訳ないけど、あんまり問題を起こしたくはない。どうせ私が記録としては勝ってるんだし。

「ミア……」

困ったように顔を見合わせる二人。

「あとで困ることになるかもしれませんわよ?今回は雑に尻尾を出しましたけど、次は周到に用意してあなたを陥れるかもしれないですわ」

「それに、順位だって変えちゃうかもしれないわよ?そこまで労力を割くかわからないけど」

「でもなぁ……あんまり目立ちたくないし、そんなことに労力使うなら明日からの競技に集中したいし……ダメ、かな?」

ちょっと上目づかいで頼んでみる。すると二人ともさっきとは違った雰囲気で顔を見合わせている。

「ずるいですわよ……そんなお願いのされ方したら嫌とは言えないじゃありませんの!もう!」

「まぁ小物にあんまり労力割いてもっていうのはわかるけど」

「本当にお願い!今回だけでいいから!」

「何で直接被害を受けた貴女が必死になってるんですの……変ですわねほんと」

「ミアがそこまで言うなら仕方ないわね」

ため息をつきながらも二人ともわかってくれたみたい。

「ありがとう……!」

「ほら、わかったから。不安そうなレイのところに行ってあげて」

思わず二人に抱き着いてしまったけど頭をポンポンと撫でられてさっきの部屋に戻るように促される。というか二人とも安心するにおい。

「あ、そうね。じゃあ先に戻ってる」

「ええ。すぐに戻るから」



「本当に何にもしませんの?」

「まさか」

ミアには悪いけど何もしないことはできない。権力闘争の恐ろしさは多少知ってるつもりだし、下手したら彼女の命を狙いに来るかもしれない。

「私はこの国のつながりはロベリアほど多くないからミアの護衛の方を担当させてもらうわね」

「構いませんけど……どこまで手を出しますの?」

「とりあえずミアにばれない範疇で証拠集めと、妨害を阻止することくらいかしらね。相手を落とすのはまだいいんじゃないかしら」

「まぁそれが丸いですわね。」

「私の方はミアを常にだれかが見守れるようにしておくわ」

私に与えられている部下の人数には余裕があるし一日中誰かが見張れるようにできるはず。

「あんまり派手なことはするんじゃありませんわよ?」

「安心して私に任せなさい!」

うちの部下は優秀だし、判断力もある。任せて大丈夫でしょ。

「はぁ……少し不安ですわね」



「というか姉様、この怪我で明日の競技出られるんですか?」

ずきずきと痛む手を見る。一応手は動くけど剣を握って戦えるかは少し不安である。一日で……治るような怪我では無いなぁ。

「一応出るけど……ちゃんと戦えるかしらね」

「あまり無理はしないでくださいね?」

「というかエイリーンにも申し訳ないわね……どうせやるなら全力で当たりたかったのに」

「いいわよ」

いつの間にか戻ってきていた二人が反対側のソファーに座る。

「どうせ戦いたかったらいつでもできるもの。あんまり無理しなくていいわよ」

「だったら魔銃の調整イオナに頼んでおこうかな……」

「いいわね。せっかくだし私とレイで前を張ってミアを支援に残すのもありかもしれないわね」

「私一人で守り切れるかしらねぇ」

片手で剣を振るうこともできなくはないけどうまくいくかなぁ。

「大丈夫ですよ姉様。前に教えてもらった戦い方でいけば完璧です!」

そういえば昔先生に教えてもらった気がするけど……レイに一回も勝てなかったよなぁ。あんまり自信がない。

「というか、競技終わりましたし帰りません?」

ロベリアがちょっと帰りたそうにそう言う。そういえば。どうせ話すなら馬車の中でも寮でもいいのだ。

「それもそうね。帰りましょうか」

スッとエイリーンが立って、彼女が先導して馬車まで案内してくれる。ずっとレイが腕に抱き着いてきて離れてくれない。かわいいからいいけど少し動きづらい。


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