長距離射撃-1
こんにちは。
大変申し訳ありませんが今週来週くらいは体調不良により短くなっております。ご容赦ください。
「あれ?長距離の的って言うのは?」
競技場にはそんな長いコースは見当たらない。
「ああ、あれは場所が取れないから地下にあるわよ」
「地下?」
「そうそう、確かこの学園の地下コースがあそこに映るはずよ?」
そう言って空に浮かぶ仮想スクリーンを指差す。なるほど、あそこで確認できるのか。下みればいいしずっと見ていなかった。
「そう言うところは最先端でいいわよねぇ……ちょっとうらやましい」
「エイリーンのところはそう言うのないの?」
「あるとは思うんだけど……あんまり使ってくれないのよね」
そんなことを言っていたらいつの間にか競技が始まっていた。応援に集中しなければ。
「なるほど、的に当たると上が光ってわかりやすくしてくれるのね」
ちょうどノアが一番乗りで的に命中させた。上手。
「いい調子ね」
続いて上のランプが光る。なんとノアは三発も連続で命中させている。隣のレーンの子は少しミスを挟みながらランプを光らせている。
「ミス少なくていいわね」
「頑張れノア~!」
ここから叫んでも声は届かないけど思わず声が出てしまう。
「ミア、そんな大きい声も出るのね」
「な、なによ……」
「いやいや普段の儚い印象からはそんな大きい声出なそうなんだもの」
そんな儚い印象なんて出ていただろうか?もう少しこう、おとなしいとかそう言う印象ならわかるけど。
「二人ともちゃんと競技見なさいな。ノアが頑張ってるのに」
競技に目を戻すとノアがもう一番乗りで地上での競技を終わらせかけていた。
「流石。特訓の甲斐がありましたわ」
「そんなことしてたの?」
「別に不思議なことではないでしょう。貴女達だって一緒に特訓をしていたんだから。それと一緒ですわよ」
「ああ、なるほど」
確かにこの競技会前にしばらく一緒に特訓していた間に同じようにやっていただけか。
そんなことを話していたら眼下のスタジアムで歓声が聞こえる。
「ノアが一番乗りしたみたいですわね」
二回目の競技だというのに息も乱れさせず退場する。多分次の地下競技に備えるために移動したんだろう。
「……先に上がられると焦るわよねぇ」
下の方を見ると一人の選手が焦っているのか精度が悪くなってきた。
「この程度で焦って落とす選手なら代表にはふさわしくありませんわ」
「バッサリね……」
ちょっと怖いくらいにバッサリと切り捨てるロベリア。この子もなんだかんだでストイックな娘だ。
「代表って言うのはそれくらい厳しいんですのよ」
「それはそうだけど……その言葉、緊張してくるわ」
「多少の緊張はいいものですわ。緊張しないより100倍マシですの」
「ミアなら大丈夫よ!」
「そうですよ!姉様!」
壁に掛けてある魔銃を見てちょっとため息。みんなが応援してくれているしやれるとこまでやるしかないのだが。
「あ、ノアさんです」
妹の言葉でモニターを見ると既に地下のコースでスタンバイしているノアが見えた。
「一斉に始めるんじゃないのね」
「そうねぇ。一斉に始めると先に着いてた人が休憩できちゃうからとかかしらね」
「なるほどね」
意外とそう言うところ考えてるのか。まぁ選考会だし当然と言えば当然。
「あれって的見えてるの?ノアは」
「ノア次第、って感じね。そこも自分なりに見えるようにするのも競技の内らしいし」
「そう考えると多彩な魔法を使えないといけないのねぇ」
「そうですわね。そう考えるとノアの魔法の才は飛びぬけてると思いますわ」
「ロベリアにそこまで言わせるなんてすごいわね」
「特に彼女、光の系統の魔法が得意と見えますわ。将来的に重宝されそう」
そんなところまで見抜いているとは。私には魔法のことはよくわからないけど彼女がすごいということだけはとりあえずわかる。
「あ、ノアが競技はじめましたわね」
大分慎重に狙いを付けているみたい。こちらにも緊迫感が伝わってくる。