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スペルビア

「お疲れ、二人とも」

私達がいるVIPルームにロベリアとノアが戻ってくる。ノアはちょっとだけ落ち着かなそうだけど、まぁすぐに慣れるだろう。

「すごかったわね、最後」

「ちょっとウザかったから煽り返しただけですわ」

「本当に最後失敗しなくてよかった……」

どうやらノアの方は大分緊張していたみたい。

「というかノアって次の競技も出るのよね」

次のスペルビアにもエントリーしていた気がする。ちょっと疲れてるようにも見えるしこの疲れが後で響かないといいけど……。

「ちょっと時間空いてるし大丈夫」

「そう?ならまぁ……お菓子食べてゆっくりしていってね」

私が用意したものじゃないけど。労う気持ちを込めてお茶を淹れてあげる。

「……それで、どうでした?私達の競技を見て」

「二人ともただただすごいなぁって思った。私にはとてもじゃないけどあそこまで集中して競技するのは難しいわ」

「にしてもこんなところから見てるなんて思いませんでしたわ。……いえ、貴女がいるなら十分あり得るとも思っていましたけれど」

「ロベリアさん競技の合間にミア達を探して見つからないわね……って言ってましたよ」

「ちょっと!そういう事は……!」

意外とかわいいところがある。このお嬢様でもこういうのって気になる物なのか。

「あら~?ロベリアってかわいいところあるのねぇ」

「姉様人気者ですね」

「別にミアだけ探してたわけじゃ……」

「私達も探してくれてたの?嬉しいわねぇ」

「最初にきょろきょろして不安そうでしたよねぇ」

「ノア!」

珍しくうろたえて慌てているロベリア。赤くなってかわいいけれどこっちを睨まないでほしい。私何もしてない。

「ほ、ほら。クッキー食べて落ち着いてよロベリア」

「ふんっ……別に貴女のことだけ探してたわけじゃないですからね」

そう言いつつクッキーを受け取って食べてくれる。ツンデレ風味でかわいいお嬢様だ。私もそれを食べながらふと思ったことを聞いてみる。

「そう言えば次のノアが出る競技って何するんだっけ」

さっきの競技が面白くて教えてもらったのを忘れてしまった。魔法競技ということしか覚えていない。

「ああ、スペルビア?」

「そうそれ」

「見た方が早いんだけど……そうね。簡単に言うと魔法の正確さを競うんだけど、たくさんの的が敷き詰められてるところに一か所だけ当たりの的があってそれを狙うのと遠くにある的の中心を決められた魔法で当てるって感じ」

「なるほどね」

「と言っても本当に見た方が早いわよ。ノアが出るんだし」

「見ててくださいね、頑張ってきますから!」

かわいく胸を張ってそう宣言する。今回はノアしか出ないし応援に集中できそう。

「さっきの競技を見る感じさらっとトップで通過しそうよね」

「油断はダメよ。そうやって失敗した人何人も見たもの」

「そ、そうね……ごめん」

ちょっと調子に乗りすぎたかも。

「いえ、そのくらいの心持ちでやってきますね!」

なんかさっきよりも気合いが入ったみたいで結果オーライと言う奴だろうか……?


しばらく、と言っても十五分くらい喋っていたらスペルビアに出る生徒は集まるようにとのアナウンスが入った。

「あ、そろそろですね」

お茶をグイッと飲み干してから立ち上がる。やる気は充分そうだ。

「ノア、頑張ってね!」

「ここから応援してるわよ~!」

「はい!行ってきます!」

そう言って必要な道具を持ってエイリーンの従者と一緒に部屋を出ていった。

「正確性、ねぇ……私には無縁な言葉だわ」

どのくらい遠いかわからないけれど私だと的に届くかすら怪しい。

「あれは才能の部分も大きいですもの。仕方ないですわ」

「そうそう、できるところを伸ばしていけばいいのよ」

「それもそうなんだけどね」

やっぱりもうちょっと魔法の扱いというか法力の扱いがうまくなりたい。選考会が終わったらちょっと鍛えてもらおうか。

「何でもできる人なんてそうはいませんわ」

「私は何でもできるけどね!」

「はいはい、知ってますわよ」

いつも通りのエイリーン。今ばかりはその自信がうらやましいし実際できそうだから何も言えない。

「姉様、今度一緒に練習しましょう!私が教えて差し上げます!」

「いいの?」

「もちろんです!」

「私も手伝いますわ」

「私も!」

レイだけでも助かるのに、二人とも次々立候補してくれた。優しい三人は皆練習に手伝ってくれそうだ。何が何でも上達しなければというちょっとしたプレッシャーもありつつ、教えるのうまそうだし来年はもっと成長できそうかもしれない。というか授業でみんなを待たせずに済むようになるかもという方が嬉しい。

そんな約束をしていたら眼下の競技場では選手たちがぞろぞろとそろい始めていた。ノアはどこだろう。

「なんかさっきの競技より人数少ないわね」

「さっきも言ったけど才能、って言うのもあるし……ちょっとだけ他より地味、って言うのもあるわね」

「正確性競技なんてかっこいいと思うけどねぇ」

実際テクニックも必要そうだし人気ないのはよくわからない。見てみたらわかるのかもしれないけど。

「魔銃の方が人気ねぇ……」

「あー……」

確かに狙撃のフォームとか音とかウケそうではある。

「ちょっと。そろそろ始まりますわよ」

「もうノアの出番?早いわね」

どうやら三人ずつ競技をするみたいでノアは真ん中のコースに入っていく。


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