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不安な護衛

そうしてひと月くらいが経った。

相変わらず朝にクランに行って任務を受けて夕方くらいに帰ってくる生活を続けている。そろそろニ、三日くらいかかる任務も受けてみる頃だろうか。

「ねぇねぇ、そろそろ難しそうな任務受けてみない?」

「いいけれどその分期間が長いものが多いわよ?」

「うーん……」

任務表の前で悩んでいると後ろから誰かが近づいてくる。

「ねぇねぇ、あなたミアさんよね」

振り返るとどこかで見たことある人がいる。

「えぇ……っと」

「私セツ。ほら、ちょっと前にあなたと森から帰ったの……覚えてない?」

「あ、もしかしてメーシャちゃんを助けたときにいた……」

「そう!」

「それで、何か御用?」

「実はちょっとお願いがあるんだけど……いいかな」

彼らのパーティのいる机に案内しようとしてくる。とりあえずネイとセイラを連れて彼らの下へ向かってみる。

「レスタ。ミアさん達連れてきたよ」

「ありがとう。セツ」

レスタはこのパーティのリーダーだったか。久しぶりに見るが皆元気そうだ。

「それで、私たちに何を頼みたいの?」

「率直に言うと、我々と一緒に任務に付き合ってほしいんだ」

「任務?」

「ああ。貴族の護衛の任務なんだが6人程度と言うことでうちのパーティだけじゃ足りなくてね。せっかくだから強そうな君のパーティを誘おうかと思ったんだ」

「なるほどね。報酬はどのくらいなの?」

「上金貨4枚くらいを渡すことになると思う」

となると日本で言うと40万くらいだろうか。悪くはない。

「3、4日くらいはかかると思う」

「どうする?セイラ」

「いいんじゃない?護衛とか楽しそうだし!」

いつもの通り前向きなセイラだ。

「わかったわ。その任務を手伝いましょう」

「本当か!ありがとう。準備ができたら声をかけてくれ。移動手段を案内する」

とりあえずセイラを一旦宿に帰らせて、メーシャに数日帰ってこないことを説明してしばらくのお金をイナに渡しておく。


「お待たせ!」

セイラが走ってクランの前に戻って来る。

「じゃあ、案内をお願い」

「よし。こっちに来てくれ」

レスタの後ろについて街の入り口の門の近くまで行く。どうやら馬車を借りていたようだ。ほかの仲間達も既に乗り込んでいるらしい。慣れた様子で手続きをして馬車に乗り込む。

「馬車の操縦は任せてくれ」

「ん。よろしくお願いするわ」

レスタが馬車を操縦してくれると言うのでその言葉に甘えさせてもらって荷車の方でゆっくりさせてもらう。カイが男一人になるので少し居心地が悪そうだが外を眺めて時間をつぶしているし大丈夫そうだ。

「ねぇ、セレスタ。一つ聞きたいのだけれどいい?」

「ん?どうしたの?」

セイラが皆と軽く挨拶をかわしたところで一つ聞いてみる。

「これからどこへ任務に行くのか聞いてなかったのだけれど、どこに行くの?」

「あ、レスタ言ってなかったんだ。アウリナのスタリジャンってところだよ」

聞いたことはある気もするけれどあまり印象のない場所だ。妹のお見合いに申し込んできた男の中にいただろうか。

「あんまり印象がないわね」

「私も行くのは初めてなんだけどお屋敷がとっても大きいんだって」

「へぇ……結構お金持ちなのかもしれないわね」

「アウリナの領主さまだしね~」

「セツが聞くところによると、結構取り立てが厳しいとかなんとか」

「ちょっと嫌なところだね」

国を貫く大きい通りから離れてしばらくするとアウリナの領地に入った。と言っても景色はそんなにすぐには変わらない。

「こんなに大人数で旅をするなんて初めて~」

セイラが荷車の幕を少しめくって外を見ながら呟く。

「メーシャと二人でずっと旅してたの?」

「うん、そうだよ?大変なこともあったけどあれはあれで楽しかったなぁ」

「妹ちゃんが攫われるのは大変な事よねぇ……」

「いやぁ、あの時は本当に助かったよ~」

「セイラさんは妹さんがいるの?」

セレスタが興味深そうに尋ねてくる。

「そうだよ?本当にさいっこうに可愛んだから」

「いいなぁ~。私も会ってみたいかも」

「この任務が終わったあと会う?多分メーシャ喜ぶと思う!」

「会いた~い!」

実はメーシャを助けたときに会ってはいるのだがそのことは黙っておくことにした。


ああだこうだ話しているうちにアウリナの領地の中心地である、スタリジャンに近づいてきた。

「皆、そろそろスタリジャンだぞ」

「「は~い」」

スタリジャンの街の中に入ると多くの建物が見えてきた。とりあえず領主のお屋敷まで向かうので大通りを通っていく。

通りの両側の屋台を見ると良さそうな商品が並んでいる。商人の活気もあっていい町に思える。ただ少し屋台がぼろかったり、見える範囲の小道があまり舗装されていないようだ。

街並みを眺めていると、とても大きな建物が見えてくる。

「うわぁ……おっきぃ……」

家の数倍はあるだろうか。とても大きいお屋敷だ。

「こんな豪華なお屋敷見たことないわ……」

驚いているうちにお屋敷の入り口に着く。

「こんなに広いとお掃除が大変そうですね……」

ネイはメイドらしく広大な屋敷の掃除が気になるようだ。

レスタを先頭に四人が前に、私たち三人が後ろからついていく。

この家のメイドが客間に案内してくれて、任務の主である領主に会う準備をしてくれているそうだ。

「貴族と話すことなんてないから緊張するな……」

珍しくレスタが緊張している。

「そんなに緊張することないですよ。失礼がなければ大丈夫です」

貴族との話には慣れているから少しだけアドバイスをする。

「ううむ……それはそうなんだが……」

「いざとなったら、私がお手伝いしますよ。安心してください」

少しだけ自信ありげに言う。

「ありがとう」

「確かにミアリーンさん貴族っぽい雰囲気あるしね~」

「気品あるよね」

「そ、そうかな……」

表立って言われると少し照れくさくなってしまう。後ろからネイが微笑ましく見ている視線を感じる。

「照れてるミアちゃんも可愛いなぁ」

セイラまでそんなことを言ってくる。


恥ずかしくなって誰か話題を変えてくれと思っていると扉がノックされてメイドが入ってくる。

「皆さま、ご当主様がお会いになる準備が整いましたのでご案内いたします」

改めて軽く自分の格好を確認して、案内してくれるメイドの後ろをついていく。

「お連れしました。ご主人様」

そのセリフの直後に扉が開けられる。中に入るように促され、奥の少し高い位置にいる二人の男が目に入る。

「おまえらが僕の護衛?なんか頼りなさそうだなぁ」

開口一番若い方の男がいきなり失礼なことを言ってくる。

「始めまして、アウリナの領主様。私達7名でお手伝いをいたします」

「……まぁ、腕は確かなようだ。今回は我が息子の箔つけのために経験豊富そうな冒険者を雇うことにした」

あまり私たちにいい感情を持っていないのかあまり声色が友好的ではないが、腕は認めてくれるようだ。

「お任せください。確実にご子息様の成果を取って参ります」

「兵士も幾人か同行


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