【コント】ろぼたん
ツッコミ=ひなたん(20歳代女)
ボケ=ろぼたん(40歳代男)
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ひなたん「ねぇ、ろぼたん」
ろぼたん「(爽やかに)んっ? なんだいっ?」
ひなたん「ろぼたんって、何なの?」
ろぼたん「ハハハ! 見ての通りのロボットさ」
ひなたん「人間にしか見えないよぉ〜?」
ろぼたん「ハハハッ! そりゃ、僕は天才博士に作られた、とても精巧なロボットだからね?」
ひなたん「本当は人間なんじゃないの〜?」
ろぼたん「フハッ! そんなわけないだろ?」
ひなたん「証拠見せてよ」
ろぼたん「何だって?」
ひなたん「ロボットらしいこと、出来る?」
ろぼたん「(困ったように)んっ……。んーっ?」
ひなたん「空とか飛べないの?」
ろぼたん「できないよ。君といると空を飛んでる気持ちにはなれるけどねっ」
ひなたん「じゃ、何が出来るの?」
ろぼたん「んー。円周率最後まで言える」
ひなたん「そんなの聞いても合ってるかどうかわかんないよぉ〜」
ろぼたん「っていうか、円周率に終わりはないと言われてるんだけどね。ハハッ!」
ひなたん「大体、ある日いきなりあたしの前に現れて『君を守ってあげる』とか言い出すから、最初ストーカーかと思ったよ?」
ろぼたん「ハハッ! ロボットのストーカーは存在しないよ」
ひなたん「でもまだ1度も守ってくれてないよねぇ?」
ろぼたん「ハハッ! 君が危険な目に遭わないからだよ。いいことさ!」
ひなたん「むしろあたしのほうがいっぱい守ってあげてる気がする〜」
ろぼたん「ハハッ! そうだね、ありがとう!」
ひなたん「最初に会った時はあたしん家の前で倒れて死にそうになってるのを助けてあげたし」
ろぼたん「そう! お腹が空きすぎて死にそうだったのさ」
ひなたん「お味噌汁ごはんしてあげたらガツガツ食べたよね?」
ろぼたん「そうだったよね。一週間何も食べてなかったからさ。ハハッ!」
ひなたん「ロボットってお味噌汁ごはん食べるんだっけ〜?」
ろぼたん「そこは触れてはならない秘密さ。ハハッ!」
ひなたん「あたしの部屋に一緒に住むようになっちゃったし〜」
ろぼたん「ロボットだからね。男だと思わなくていいよ? いいんだ」
ひなたん「あっ。ちょっとおトイレ行って来る」
ろぼたん「いいよ、いいよ。ゆっくりしておいで」
ひなたん「ごめんね? 買い物したもの全部持ってもらっちゃって」
ろぼたん「いいのさ。僕は君を助けるためにやって来たんだからね。お安い御用っ」
ひなたん「じゃ、行ってきま〜す」
ろぼたん「(見送り、独白を始める)可愛いなぁ……ひなたん。若い頃はアイドルみたいに可愛かったんだなぁ……。
(客席のほうを向いて)ひなたん……。僕は本当は20年後からやって来た、君の夫だ。君はもうすぐ交通事故に遭う。その後何事もないように君の人生は続く。そして僕と結婚して、幸せな家庭を築くんだ。
でも、ある日、判明してしまう。20代の頃に交通事故で受けていた傷が、君の心臓に時限爆弾のような傷を残していたことが。
僕はタイムトリップして僕に出会う前の君に会いに来た。君が交通事故に遭わないよう、守るために。
タイムトラベラーのルールとして、君に素性は明かせない。だからロボットのふりをしている。君を守るためだ。君を守るために、僕は……」
(その時、自動車の衝突音が起こるとともに、ひなたんの悲鳴が上がる)
ろぼたん「ハッ!? まさか……!? 事故が起きるのはまだ先のはずだ! でも……。ひなたん? ひなたーんっ!?」
ひなたん「(ケラケラ笑いながら歩いて来る)あー、面白かった」
ろぼたん「ひなたん!? さっきのは!?」
ひなたん「トイレ流したら凄い音したから、思わず悲鳴上げちゃった」
ろぼたん「さっきのトイレ流した音だったの!?」
ひなたん「あっ、自転車だ」
ろぼたん「ひなたん危なーいっ! あぁ……。さっきので心配でたまらなくなっちゃったじゃないか」
ひなたん「大袈裟でしょ。自転車が側を通ったぐらいで」
ろぼたん「俺は……僕は君を守るんだ。守るんだ!」
ひなたん「どうしたの? 変だよ? 急に」
ろぼたん「だって僕は君の……。いや、僕はロボットとして、君を守るようプログラムされてるんだよ! だからさ!」
ひなたん「ふふふ。そんなのいいよぉ。側にいてくれるだけで。だってあたし、ろぼたんのこと大好きだから」
ろぼたん「僕もっ……! 僕もひなたんのことが……!(抱き締めようとする)」
ひなたん「ひゃっ!(身を引く)ロボットなんかにハグされたら折れちゃうよ!」
ろぼたん「あ……」
ひなたん「でも……いっか」
ろぼたん「え?」
ひなたん「ろぼたんって、ロボットのくせにあったかいから気持ちいいもんね。あたしから抱きしめちゃお。ぎゅっ!」
ろぼたん「ひなたん……!」
ひなたん「大好きだよ、ろぼたん」
ろぼたん「守る! 俺は絶対に君を守るぞーーっ!!」