81 実力不足
「でよぉ、この前ソープでマジの巨漢が来てよぉ! クッソガン萎えだったわ! ガチでオークかと思ったわ!」
「え、オーク? お前それもしかして〇店の×ちゃんって女?」
「そうそうそう!! それよ!! もしかしてお前もヤったんか!!」
「ぶはは!! 俺らホールブラザーズじゃん!!」
「げひゃひゃひゃっ!!」
酒カス共の低俗な会話で賑わうポカリ街のギルド。俺はその場にいない「レッドホーク」のスカーレット、リンリンを探す為、一度ギルドを出た。
今回の魔王軍の襲撃で出た犠牲者は決して多くは無い。俺たち「バイオレットリーパー」や「ホワイトパール」、増援に来た魔法騎士団でさえ犠牲者を出すことは無かった。しかし「レッドホーク」と「ブラックファング」は別。「レッドホーク」のメンバーであるノアは行方不明、「ブラックファング」に至っては一部が行方不明、それ以外は全滅したそうだ。まぁだからどうしたという話ではあるが、強いて思う事があるとすれば、行方不明になる前にノアから情報を引き出せてよかった、くらいだろうか。
「……さて」
俺は感知スキルで2人の居場所を特定する。どうやら2人は今、ギルドから少し離れたバーにいるらしい。俺は即座に瞬間移動を発動し、2人のいる店へと移動した。
「ここか」
先ほどまでいたギルドと違って、随分と静かな雰囲気の店だな。個人的にはこっちの方が好みかもしれない。扉を開け、そのまま店内へ入る。すると、カウンターに座って酔いつぶれているスカーレットとリンリンと目が合った。
「お前……なんでここに?」
テーブルに突っ伏していたせいで少し乱れた前髪を整えながら、スカーレットがそう言った。
「ギルドの方は騒がしくてな。静かに飲みたくてここに来た」
「あぁ……そういう事か。私たちも……今日はあそこにいる気分じゃなくてな」
「ノアが消えたからか」
敢えてオブラートに包まずにそう言うと、リンリンが立ち上がって俺の元へズカズカと歩いてきた。
「貴方本当に最低でデリカシー無いですね! 本当はそんな事したくありませんけど、思わず殴り飛ばしてしまうところでしたよ!」
「リンリンやめろ……。他の人に迷惑だ……」
「……すみません」
スカーレットに制止され、その場に立ち尽くすリンリン。
「……ノア。一体、どこへ行ってしまったんだ」
珍しく弱った様子でスカーレットがそんな事を呟いた。
「……ノア、サルタナ、リンリン……皆となら、私たちはどこまででも行けると思っていたんだがな……。本当に、どうしてこうなってしまったんだろうか」
話している途中で涙を堪えられなくなったのか、再び顔を伏せるスカーレット。俺の目の前に立っているリンリンも同じなのか、唇を嚙みしめながら下を向いた。
どうしてこうなった、か。それは単にお前たちが全てにおいて実力不足だったからだろ、なんて思ったが、口にするのは止めておいた。これからの展開に悪影響を及ぼしそうだからな。
「……これからどうしましょうね、スカーレットさん」
「どうするもこうするもない。私たち2人でノアを探し出すしかないだろう」
「……そうですね。ノアさんは必ず私たちが──」
「ちょっといいか?」
俺に横槍を入れられ、僅かに不快感を示す2人。
余計な言葉が返ってくる前に、俺はその言葉を口にした。
「お前たち2人、しばらく俺たちと行動を共にしないか?」
俺の言葉に、スカーレットとリンリンは唖然としていた。
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