08 ハズレスキル
「……貴方、一体何者なんですか?」
「……」
さて。
俺は女を無視して、キメラモンスターからコピーしたスキルを確認する。
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【獲得スキル】
≪擬態≫
周囲の風景と同化し、姿を消すことができる。
対象の人物やモンスターの姿へと変化できる。
気配だけを真似たり、消したりする事もできる。
≪鎌切≫
素早い斬撃波を放つ。
刃のついた武器であれば発動可能。
≪ベロッグ≫
舌を伸ばして攻撃できる。
また、体の一部を舌に変化させることで攻撃することも可能。
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「中々いいスキルが手に入ったな」
『鎌切』は大剣を使って戦う俺とは相性のいいスキルだし、『ベロッグ』も舌以外の部位を変化させて使えるなら応用が利きそうだ。そして、何より汎用性が高そうなのは『擬態』だ。攻撃型のスキルでは無いが、これで隠密行動の幅がかなり広がった。
さっそくどれかスキルを試してみるか……なんて思っていると、俺に無視されてジト目になっている女とつい目が合ってしまう。……面倒だな。
「じゃあ、俺こっちだから」
俺は出口を指差し、その方向へと歩き出すが……
「いや私もこっちですよ! てゆうか、あんなにがっつり話しかけられたのによく無視できますね! このコミュ障!」
ぷんすかと怒り出した女に、強引に手を掴まれてしまう。
やっぱり逃がしてくれないか。
だが直後、女は何かに驚いて、俺の手を離す。
「え、冷たっ……。貴方、手冷たすぎませんか?」
「そうなのか?」
「えぇ……。体温がまるで感じられないというか……これじゃ死体ですよ」
初対面の相手を死体呼ばわりとは、中々失礼な女だな。
飽きれる俺を余所に、女は『鑑定』スキルを発動して、俺をじろじろと見始める。
「え、レベル0? しかも職業とステータスが何も表示されない……。スキルは不死身とスキルコピー? なんですかこれ、どういう事ですか!」
「知らん」
「知らない訳ないじゃないですか! こんなデタラメな表示、見たことないですよ……。しかも、こんなチートみたいなスキル……」
「いや、本当に知らない」
納得しないと帰してくれそうにないので、俺は諦めて説明することに。
デタラメなステータスを気味悪がられて「レッドホーク」というパーティを追放されたこと。
隠し部屋のバケモノに殺された直後、不死身の体とコピー能力を手に入れたこと。
そして──
「パーティに入る前の記憶がない?」
「あぁ」
この不死身の体とコピースキルを手に入れた後、俺はレッドホーク加入以前の記憶を失ってしまった。
「この体になる前から、俺のステータス表示はデタラメだった。バケモノに殺される前の俺なら何か知っていたかもしれんが、残念ながら今の俺には分からない」
「……なんか、とんでもない人に出会ってしまいましたね。私は……」
驚いた様子の女だったが、その表情はどこか明るかった。
「じゃあ、そのスキルも怪物に殺された後に手に入れたスキルという事ですか?」
女は『鑑定』スキルを使いながらそう言った。
「どれの事だ。『不老不死』か。『復讐の剣』か」
「違います。その『復讐の剣』の真下に表示されているスキルです」
真下? それは妙だな。
『復讐の剣』の下には、モンスターからコピーしたスキルしか無いはず。
気になって、俺もステータスを確認する。
「……なんだこれは」
思わず声に出してしまう。
最初に開いて以降、ステータスを確認していなかったから気が付かなかった。
まさか、こんなハズレスキルが勝手に付加されていたなんて。
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≪孤独の復讐者≫
復讐の剣発動時に付加される常時発動型スキル。
パーティに加入しない限り、モンスターを倒してもG、アイテムがドロップせず、得られる経験値も0となる。
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