79 宴会
今回は少し飲んで喋るだけです。
ポカリ街へ襲撃してきた魔王軍を退けた俺たち。そんな俺たちは今、ポカリ街のギルドへと集まっていた。
「皆。今回は俺たちの故郷の為に戦ってくれて、本当にありがとう。おかげで魔王軍を退ける事ができた」
「だが、これはあくまで一時しのぎに過ぎない。魔王を倒さない限り、この世界に本当の意味での平和は訪れない。でも、それでも……今だけは、この手にもぎ取った勝利を祝福したいと思う」
「とまぁ、前置きはこの辺にして、そろそろ飲みますかぁ!! カンパーーーイ!!」
「「フォオオオオオオッ!!!」」
乾杯の音頭と共に、ポカリ街の飲んだくれ全員が酒を片手に大はしゃぎし始めた。今回の戦いでクソの役にも立っていないコイツらが一番の功労者ヅラをしているのは不思議でならないが、まぁ考えるだけ時間の無駄か。すると、飲んだくれたちはギルドに設備されている機材を使って、爆音でEDМを流し始めた。
「騒がしい奴らだな、本当に」
バカな飲んだくれたちの騒々しさにウンザリしていると、横から白髪の美少年が顔を出す。今回のポカリ街防衛に協力してくれたパーティの一つである「ホワイトパール」のリーダー、アルトだ。
「テッド、今回はお疲れ様」
「あぁ。お前もな」
そう言って、手に持っているグラスを合わせる。恐らくアルトは酒を飲める年齢ではないが、まぁいちいち気にする事でもないか。
「結局、魔王軍が何で君を狙っているかさっぱり分からなかったけど、何でなの?」
「さぁ。俺が聞きたいくらいだな」
今回の戦い、俺はオリジナルのテッドと戦っただけで、他には何もしていない。魔王に最も近づける機会でありながら、今までで一番何の情報も得る事ができなかった。いや……オリジナルのテッドから聞き出せば、もっと多くの情報を得る事はできたかもしれないが、それは敢えてしなかった。一度に全て知ってしまうと、今後の楽しみが無くなってしまうからな。
「でも、君を捉えられなかったにも関わらず、魔王軍は目的を果たしたって言ってたよね? 本当の目的は別にあるとか?」
「さぁな」
今回、魔王軍が取った行動には不可解な点が多い。本当に俺を捉える事だけが目的なら、わざわざポカリ街へ侵攻する事を宣言する必要は無い。わざわざ相手の戦力を増やすような真似をして、普通なら失策としか思えないが……。
「まぁ。次に会う機会があったら、その時に問い詰めればいい」
「意外と行き当たりばったりだね。魔王軍がどこに消えたのかも分からないのに。まぁ、海を片っ端から探し出せば、もしかしたら見つけられるかもしれないけどさ」
「海?」
俺が疑問を口にすると、アルトが驚きの表情を浮かべた。
「……君、もしかして海を知らないの?」
「知らないな」
「前にもこんな事あったけど、君ってアレなの? 生まれたて?」
ドン引きした様子のアルト。どうやら海とやらはそれほど知っていて当然のものらしい。
「仕方ないなぁ」
舐め腐った様子で指をパチンと鳴らすアルト。すると、アルトの手元から一枚の紙が飛び出した。アルトはその紙をテーブルに広げ始める。
「それは?」
「この世界の地図だよ」
アルトは少し得意げにそう言った。
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