70 偽物の死
全てを照らす白い光。
全てを塗りつぶす黒き闇。
相反する2つの力がぶつかり、辺り一帯は更地と化した。俺はその景色をただ茫然と眺めていた。
「がはっ……。クソ……」
更地のど真ん中に倒れている男を見下ろす。満身創痍のその男は俺を見るや、すぐに殺気剥き出しの表情を浮かべた。
「どうなってる……。さっきの一撃……威力はほぼ互角だった筈。なのに、どうして僕の方がこんなにもあっさりと押し負けるんだ……」
自分の全身全霊の一撃がいとも簡単に破られてしまった事に、納得がいかない様子のテッド。
「お前の全力を俺が上回っただけの話だ。残念だったな」
「そんなバカな……。僕はトリガーに覚醒した事で、君と同じレベルにまで……」
そう言いかけたテッドの口が塞がる。テッドの視線は俺……ではなく、その後ろへと向けられていた。朦朧としていた意識が覚醒し、俺の後ろのモノに気が付いたらしい。
「なんだよ……そのバケモノは」
背後から俺を包み込むように君臨する、黒紫の巨人。その体は禍々しく膨大な魔力で作られており、他を寄せ付けぬ不気味な威圧感を放っていた。
「そんな力……一体どこのどいつからコピーしたんだよ」
「別にコピーした訳じゃ無い。この力は元々使えたものだ。使うのは今回が初めてだが」
「ははっ……。結局、君は全く本気なんて出していなかったって事か」
どこか吹っ切れたような表情を浮かべるテッド。俺は「復讐の剣」で黒い大剣を召喚し、その切先をテッドに向ける。
「本気で僕を……殺すつもりなんだね」
「あぁ」
短くそう答えると、テッドは薄気味悪い笑みを浮かべ、口を開いた。
「最後に教えといてあげるよ。君は自分がクローンである事、トリガーである事を知った……。だけど、それじゃまだ不完全だ。君は自分の役割をまるで理解していない……」
「そうか」
「……自分で言うのもなんだけど、ここまで思わせぶりな事を言ったのに微塵も興味を示されないとは思わなかったよ」
「別に関心が無い訳じゃ無い。あまり一度に知り過ぎると、今後の暇つぶしのネタに困るんでな。その役割とやらは追々調べていく事にする」
「本当に……君はからっぽだね」
小さくそう呟き、ゆっくりと目を閉じるテッド。
俺はそんなテッドを無表情で見下ろす。
そして、大剣を持ち上げ、思い切り突き刺した。
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