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06 目障りな美少女


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」


 後ろから聞こえる女の叫び声。

 俺が一瞬足を止めた隙に、女が走ってこちらに向かってきた。


「なんだ?」


「なんだ? ……じゃないですよ! 助けてくれないんですか!?」


「あぁ」


「即答!? こんな美少女がゴブリンに襲われているんですよ? 普通助けるじゃないですか!」


 自分の事を美少女と言ったり、助けを強要してきたり、随分と厚かましい女だな。


「討伐済みのモンスターにもお前にも興味は無いんでな。他を当たってくれ」


「他に人がいるように見えますか!? 信じられないです……この人でなし!」


 ぽかぽかと俺を殴りつけてくる暴力女。もちろん本気じゃないだろうが、残念ながら痛くも痒くもない。

 というか、そんなに元気なら今の内に走って逃げろよ……とか思わなくもない。

 面倒になって洞窟のようなダンジョンの天井を眺めていると、先ほどまで呆然と立ち尽くしていたゴブリンたちが、こちらに向かって走ってくるのが見えた。


「しゃがめ」


「え、なにが──あぶなっ!?」


 俺は大剣を鋭く振り、女の背後に迫っていたゴブリンたちを一刀両断した。

 ボロボロと塵になっていくゴブリンたちを眺めていると、突如、スキル画面が表示された。

 ゴブリンのスキルはコピーした筈だが……と思っていたが、どうも違うらしい。



----------------------------------------


スキル≪筋力強化≫が≪筋力強化2≫に進化しました。


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「スキルが進化した……なるほど」


 どうやら一度コピーしたスキルでも、ある程度コピーを重ねることで進化させることができるらしい。

 そういえば、ここに来るまでに一番倒したのはゴブリンだったっけか。

 一度倒したモンスターに用はないと思っていたが、これなら戦う価値はありそうだな。


「何を一人で納得してるんですか、貴方は」


 何やらご立腹の様子の女。

 頬をフグのように膨らませてこちらを見ている。


「まだいたのか。早く逃げろよ」


「いちゃ悪いですか!? というか、しゃがむのがあと少し遅かったら私も斬られてましたよね!?」


「心配するな。計算通りだ」


「貴方のせいで、私の自慢の髪が少し切れちゃったんですからね! 見て下さい、ほら!」


 そう言って長い髪の毛先を見せてくる女。

 確かに、毛先の一部がぱっつんカットになっている。明らかに自然に伸びた毛先じゃなくなっているが、まぁ知った事では無い。


「どうしてくれるんですか!」


「構わん。そのうち生えてくる」


「それ切った貴方が言う事じゃないですよね!? あと、その台詞だと何故か永遠に生えてこない気がするのは私だけですか!?」


 う、うるせぇ……。

 気まぐれで助けたことを後悔した俺を余所に、女はさらに続ける。


「なんて言ってる場合じゃありませんでした……。一緒にダンジョンを出ましょう。ここは危険です」


「言われなくてもそのつもりだが、ここが危険だと?」


「はい。ここは初級ダンジョンですが、一体だけ……格の違うモンスターがいるんです。私も応戦しましたが、全く敵わず……なんとかここまで逃げてきたんです」


 なるほど。やけにボロボロだと思ったが、ゴブリンにやられた訳じゃなかったのか。

 なんて思っていると──


「グシャアァァ!!」


「最悪……もう追いついてきたんですね」


 ドスン! ……と、俺たちの目の前に着地したモンスターを見て、一気に顔面蒼白になる女。

 なるほど、こいつがそのモンスターって訳か。

 確かに先ほどまでのモンスターとはランクが違うらしい。


「逃げましょう! 私たちが敵う相手じゃありません!」


「お前はそうでも俺は違う」


 俺は女を手でどかし、前に出る。


「ちょ、ちょっと!」


「下がってろ。邪魔だ」


 俺は目の前のモンスターを睨みつけ、そして笑う。


「オマエはいいエサになりそうだ」



----------------------------------------


 名称:マンティスカメレオン

 ランク:D+

 属性:土


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 寄生する上にトレインしてくるのかよこの女最低だな
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