59 敗者
「何やってんだコイツら」
魔王城のとある一室にて。
仲間である「ブラックファング」の死体を見たレオは、退屈そうに呟いた。
「大量に転がってるこのモンスターの山と相討ちになったか、或いは七幻魔にでも殺されたか……」
状況から仲間の死因をなんとなく推察するレオ。
しかし、その瞳には仲間を殺された事への悲しみや怒りといった感情は一切宿っていなかった。
「まぁどうでもいいか。そんな事よりステラちゃんを──」
「がはっ! 来て……やがったのか……レオ」
レオが踵を返そうとした直後。倒れていたゼキラが目を覚ました。
「あ。生きてたんだ」
「テメェ……今の今まで……どこで何してやがった……」
「遊んでた」
一切悪びれる様子もなく、首をコキコキ鳴らしながら短くそう答えるレオ。
「つーかそれ、誰にやられたん? 七幻魔?」
「ちげぇよ……。サルタナだ……あのクソガキ……まだ昔の事根に持ってやがって……わざわざ魔王城まで復讐に来やがった……」
「あーサルタナ? 誰だっけ」
「ガキの頃……ドラム街で……暇つぶしの玩具にしてた2個下のガキだ。覚えてねェか?」
「全然」
他人事のように淡々と話すレオが気に入らなかったのか、瀕死の重体でありながらレオを睨みつけるゼキラ。
「クソが……。3年前……テメェが『ブラックファング』に来てから……マジでロクな事がねェ。レオ……お前、なんで前のパーティを抜けてウチに来やがった……このクソ疫病神が」
「なんで抜けた……か。まぁ強いて言うなら、音楽性の違いってヤツだな」
適当にそう返したレオに、さらに殺意を剥き出しにするゼキラ。
「……テメェの冗談はクソつまんねェんだよ……レオ。体が万全なら、マジでぶっ殺してやってるところだ」
「はー……」
低めのため息をついたレオは、足を軽く上げ、ゼキラの鳩尾を思い切り踏みつけた。
バキゴチャッ! ……と、骨の折れる音と血肉が潰れる音が混ざり合う。
「──ッ!!? ごっぎゃっ!!?」
「俺からすればテメェの冗談の方が笑えねぇよ。何負けた癖にベラベラ喋ってんだよ雑魚が」
そう言って、レオは足にさらに力を込める。
「があああああっ!!?」
「つーか、なんで俺に踏まれて叫ぶ元気が残ってんだよ。あ? つまりテメェはサルタナって奴を倒す事よりも、自分が生き残る事を優先して全力で戦わなかったって事だろ。挙げ句の果てに、俺を疫病神呼ばわりしてテメェの弱さを棚に上げるときた。マジ笑えねーな。同じ負け犬でも全力で戦ってくたばったそいつらの方がまだマシだぜ」
「ち、違っ……俺は……マジであのガキをぶっ殺すつもりで──」
ゼキラの言葉を最後まで聞くことなく、レオはもう一度足を上げ、思い切り振り下ろす。
「敗者の戯言なんざ聞きたかねーんだよ」
「が……はっ! は! くはははははは!」
突如。狂ったようにゼキラが笑い出した。
レオはそれを無表情で見下ろす。
「……なんだ。すっかりオンナに牙抜かれちまったのかと思ってたが……くははっ! まだそんな顔もできんじゃねーかレオ! そうだ! それでこそ、俺が憧れた悪のカリスマだ!」
壊れた玩具のように笑いながらじたばたと暴れまわるゼキラ。
そんなゼキラをつまらなそうに見ていたレオは、もう一度足を軽く上げ、空き缶でも踏みつぶすかのように躊躇なく振り下ろした。
ただし、足が振り下ろされた先はゼキラの鳩尾ではなく、股間部分。
メキャ! ……と、肉が潰れる小さな鈍い音が聞こえた。
「ぱっ──!? おぇっ──!!!」
言葉にならない断末魔を上げ、白目を向いて泡を吹くゼキラ。
「悪のカリスマとか、ダサいからやめてくんない?」
そう言って、レオはゼキラの頭部を思い切り踏みつぶした。
どしゃぁ……と、潰れた肉の混ざった血が床一杯に広がっていく。
「あっそうだ、折角だからコイツらの武器全部パクってくか」
そう言って、レオは何事も無かったかのように仲間の死体を漁り始めた。
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