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57/263

57 二択


「じゃあ行ってくる。いい子で待ってるんだぞ、ステラ」


 薄れゆく意識の中。

 私は何故か3年前の出来事を思い出していた。


 いつまでも私を子供扱いするこの人の言葉に、私はいつもムッとしていた。

 でも、この時だけは少し違った。

 小さな怒りなんてどうでもよくなるくらい、私はこの人が心配だった。

 もう二度と、私の元へ帰って来ないのではないのかという心配。

 それでも……


「うん……行ってらっしゃい。お兄ちゃん」


 それでも、私は戦場へと向かっていく兄の背中を見送った。

 兄を心配する気持ち以上に、私は兄の強さを信頼していた。

 振り返ることなく出ていく兄の逞しい背中を、今でも鮮明に覚えている。

 兄なら大丈夫だと、そう信じていた。

 

 でも、兄の姿を見たのは、この日が最後となった。




◇◆◇




「……あれ?」


 ステラが目を覚ますと、そこは黄金の装飾で彩られた大部屋だった。


「起きた?」


「ジャスパーさん……。私……。そうだ! あの七幻魔はどうしたんですか!?」


「……覚えてないの?」


 困惑した表情を浮かべるジャスパー。

 しばらく考える素振りを見せ、戸惑いながら口を開いた。


「アイツは……ラミアは私たち2人で倒したのよ。その後、ステラは魔力の使い過ぎで倒れちゃったの」


「そうだったんですね……。あはは、どうりで体に力が入らない筈です……。お手数おかけしてすみません」


「別に大丈夫よ」


 額に僅かな冷汗を浮かべながら、精一杯の作り笑顔でそう答えるジャスパー。


「(まぁ、実際ラミアを倒したのはアンタだけどね……)」


 ジャスパーは、先ほどまで行われていたステラとラミアの戦闘を思い出していた。

 いや、正確には戦闘ではなく……ステラによる一方的な虐殺を。


「(さっきのステラ……いつものステラとはまるで別人だった。底無しのどす黒い魔力に、あんな残虐な戦い方……。なんなの、この子)」


「ジャスパーさん?」


 いつの間にか起き上がったステラが、ジャスパーの顔を覗き込む。


「なんでもないわ。助けに来てくれてありがとね」


「いえ……。助けに来たつもりが、逆に助けられちゃいましたから……。本当、弱いですね。私は……」


「そんな事は……」


 何かを言いかけて中断するジャスパー。

 その視線は、ステラの眼前に表示された画面へと向けられていた。


「ジャスパーさん……これって」



----------------------------------------


レベルが100に到達しました。

以下から1つ選択してください。


≪継続≫

≪転職≫


----------------------------------------




◇◆◇




「あーいねぇな。どこ行っちまったんだステラちゃん。つか広すぎだろ魔王城」


 一方。

 巨人のギガスを難なく倒したレオは、ステラを探すべく魔王城を歩き回っていた。


「ったく……つえー奴もいねぇしステラちゃんも見つからねぇし、マジつまんねーな。もう帰ろうかな」


 そう言って、レオは壁を軽く蹴り飛ばす。

 たったそれだけで、頑丈な魔王城の壁の一部が崩壊した。

 壁にできた穴を通り、部屋の中へと入るレオ。


「あれだな。もういっそこんな感じで魔王城ぶっ壊しまくって更地にしちまえば、ステラちゃんもすぐ見つかるかな。あーでもそれじゃステラちゃんが潰れちま……あ?」


 退屈を紛らわすように独り言を言い続けるレオだったが、部屋の中に広がっていた光景を目の当たりにし、口を閉じる。

 レオの眼前に広がっていたのは無数のモンスターの死体の山、そして、仲間である「ブラックファング」たちの死体だった。



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