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55 覚醒


「ウチの攻撃を弱体化デバフで無効化するって、マジウケるんだけど。何者よアンタ」


「私はステラ。『バイオレットリーパー』の一員で、好きな食べ物は綿あめとアイスです! あとケーキも好きです!」


「ステラ、律儀に自己紹介しなくていいから。取り敢えずこの傷治してもらえる?」


「あ、はい! すみません!」


 ジャスパーの指示通り、回復魔法を使ってジャスパーの傷を治していくステラ。しかし、想像以上にダメージが大きく、短時間での完治とまではいかなかった。


「すみませんジャスパーさん。私の回復魔法だと完治には時間が掛かってしまいそうです……」


「全然大丈夫。助かったわステラ。でもどうしてここに? アンタ防衛チームでしょ?」


「あぁ、それはレオって人に無理矢理連れてこられて……。まぁそれはもういいです。こうして、ジャスパーさんのピンチに駆けつける事ができたんですから」


 そう言って、ステラは目の前のラミアへと視線を向ける。


「何者なんですか、あの人。ジャスパーさんをここまで追い詰めるなんて……」


「アイツはラミア。私と同じ七幻魔よ。元々の序列は私より低いんだけど、魔王からさらに力を貰ってパワーアップしたみたい」


 ある程度傷が癒えたジャスパーが、ゆっくりと立ち上がる。


「ねぇステラ。アンタの弱体化デバフで、あいつの能力値を下げられない?」


「……残念ですが、それは厳しそうです。弱体化デバフは格上過ぎる相手には効果が無いので……。今みたいにあの人の攻撃に弱体化デバフをかけて、ある程度無力化する事はできますが……」


「オッケー、それで十分だわ。あと私に強化バフかけて貰える?」


「分かりました。『強化バフ・攻撃』&『強化バフ・防御』&『強化バフ・速度』&『強化バフ・炎』」


 ありったけの強化バフをジャスパーにかけるステラ。

 その様子を見ていたラミアが退屈そうに口を開く。


「終わった~? 一応待っててあげたけど、そろそろ始めてもいいかなあ?」


「えぇいいわよ。待たせて悪かったわね」


 不敵な笑みを浮かべ、互いに睨み合うラミアとジャスパー。

 数秒の沈黙の後、ビリッとした殺気がぶつかり合い──


火炎地獄(ヘルズフレイム)!」

濁流波だくりゅうは!」


 闇を纏った赤紫の炎と、闇に汚染された黒い水流が激突する。

 2つの攻撃の力はほぼ拮抗していたが……


「『弱体化デバフ・攻撃』&『弱体化デバフ・水属性』!」


 ステラが弱体化デバフを発動し、ラミアが放った技の威力を弱めていく。

 徐々に勢いが弱まった水流を、赤紫の炎が飲み込んでいく。だが、大量の水を飲み込んで尚、ジャスパーが放った炎の勢いが衰える事は無い。


「水相手に大した炎だね! マジウケる!」


「ウケてる場合じゃないと思うけど」


 直後。赤紫の炎の中からジャスパーが姿を現す。


「げっ。いつの間に!?」


「これで終わりよ」


 ジャスパーの脚が紅蓮の炎を纏っていく。


「ヤバいヤバい! やめてジャスパーちゃぁん!! ……きゃはは! なんてね!」


 笑いながら、ラミアは指を軽く動かす。

 その直後。

 鋭い刃物のような水の渦が発生し、背後からステラの胴体を貫いた。


「え?」


 胴体に風穴をあけられたステラは、力を維持できずそのまま地面に倒れてしまう。


「!? ステラッ!!」


 攻撃を中断し、ステラの方へと目を向けるジャスパー。

 しかし、この隙をラミアは見逃さない。


水散弾銃(ショット)


 ラミアの掌から、凄まじい勢いで無数の水滴が放たれる。

 それらに被弾したジャスパーは、ショットガンで撃たれたかのように大きく吹き飛ばされてしまう。


「きゃはは! ウチの攻撃をここまで弱体化させられる子を放っておく訳ないじゃ~ん、マジウケる」


 そう言って、ラミアはゆっくりとステラの元へと歩いていく。


「きゃはは! まぁ放っておいても死ぬとは思うけど、念の為トドメは刺しておかないとねぇ」


「がはっ……。ステラ……逃げ、て」


 弱点の水属性攻撃をモロに食らってしまったジャスパーには、ステラを助けるどころか、立ち上がる力すら残ってはいない。


「きゃはは! そこで大人しく見てなよジャスパーちゃん! この子にトドメを刺したら次はアンタだからさ~。さて、どうやってシメようかなー。脳天に一発水銃をぶち込むか、それとも水のレーザーで真っ二つにしちゃおっかな~? マジウケる」


 ステラを前に、夕飯の献立でも決めるかのようにそう口にするラミア。


「よし決めた。今日の気分はサイコロステーキ! ってな訳でぇ、ステラちゃんはバラバラの刑だ! マジウケる!」


 そう言って、水で刀のような武器を作っていくラミア。

 宣言通り、その水の刀でステラを切り刻もうとする。

 

 しかし、その直後。

 ゆらり……と、糸で無理やり動かされた操り人形のような動きで、ステラが立ち上がった。


「きゃはは! まだ自分の足で立てるくらいの力はあったんだ! でもそれで精一杯でしょ? ラクにしてあげるから大人しくしときな……って……」


 愉快そうに話すラミアだったが、その語気が徐々に弱まっていく。

 それは、ステラの胴体にあいた風穴が、急速な再生力によって塞がっていくのを目の当たりにしてしまったから。


「……何なのアンタ。その再生力、まるで魔族……いや、これじゃ七幻魔並じゃ……」


 予想外の光景に戦慄するラミア。

 ステラがゆっくりと顔を上げる。その瞳は鮮血のように真っ赤に輝いていた。


 そして、バチバチッ……と、ステラの後背部分から赤黒い魔力が噴出される。

 やがてそれは、片翼の邪悪な翼へと姿を変えた。


「……ステラ、アンタ。やっぱ、り……」


 片翼の悪魔へと変貌したステラを見て、ジャスパーはそう呟いた。



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名称:ステラ

ランク:S

属性:闇、光


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