54 仲間のピンチ
「ジャスパー? 誰それ」
「私と同じパーティの仲間です……。どうして、ジャスパーさんの魔力がこんなに弱く……」
「へぇ、離れた場所の魔力を感知できるのか。やるじゃんステラちゃん」
素直に感心するレオだったが、今のステラにそれに反応するほどの余裕はなかった。
「今すぐ……すぐに助けなきゃ!」
そう言って、ステラは駆け足で部屋の出口へと向かう。
「待てってステラちゃん。俺も──」
レオがそう言いかけた直後。
ステラとレオの間に赤い魔法陣が出現し、レオの行く手を阻んだ。
「あ? なんだこりゃ」
赤い魔法陣の輝きがさらに増す。
すると魔法陣の中から、巨大なハンマーを持った十数メートルほどの巨人が姿を現した。
「ウオオオオオオッ!!」
巨人の咆哮が、部屋中をビリビリと震わせる。
「あー面倒くせぇな。ステラちゃん……はもう行っちまったか。俺になりふり構わず仲間を追いかけるとはな。そういう猪突猛進な所もますます可愛いぜ」
巨人を前にしても余裕の笑みを崩さないレオ。
「さぁーてデカブツ。ステラちゃんとのデートを邪魔したツケは払ってもらうぜ?」
レオはコキコキと首を鳴らし、目の前の巨人を睨みつけながらそう言った。
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名称:ギガス
ランク:S
属性:土
備考:七幻魔候補
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◇◆◇
一方。魔王城のとある一室では、「バイオレットリーパー」の一員にして元七幻魔のジャスパーと、現七幻魔のラミアが激戦を繰り広げていた……のだが。
「はぁ、はぁ……。ちっ、まさかアンタにここまで追いつめられる日が来るなんてね……」
体のあちこちに傷を負ったジャスパーは、ダメージに耐え切れず思わず膝をついてしまう。
対するラミアには、特にこれといった外傷は見られなかった。
「きゃはは! ウチもジャスパーちゃんをここまで追いつめられると思ってなかったよ。マジウケる」
プラチナブロンドの髪をいじりながら、ジャスパーを鼻で笑うラミア。
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名称:ラミア
ランク:S+
属性:闇、水
備考:七幻魔・序列六位
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「ランクS+……なんで、序列六位のアンタにここまでの力が……」
ジャスパーは感じていた疑問をそのまま口にする。
「きゃはは! 確かにジャスパーちゃんが裏切る前のウチじゃ考えられないよね。属性的にはウチの方が有利でも、総力じゃウチはジャスパーちゃんの足元にも及ばなかった。それが結果として序列にも表れてた訳だし。マジウケる」
元序列四位のジャスパーを圧倒できたことが余程嬉しいのか、ラミアはご機嫌な様子で続ける。
「でも残念。今回のポカリ街襲撃が決まった時、七幻魔は皆、魔王様からさらに魔力を分け与えられている。つまり以前のウチとは別人ってワケ。マジウケる」
「借り物の力でそんなにイキリ散らかして、悲しくならない?」
「それを言うなら、ジャスパーちゃんだって昔魔王様から力貰ったじゃん。全然人の事言えないよね。マジウケる」
そう言って、ラミアは人差し指をジャスパーに向けて突き出す。
「じゃ、そろそろ終わりにするねジャスパーちゃん。マジウケる」
ラミアの人差し指の先端に高密度の水が凝縮されていく。
そしてラミアは、凝縮された水を弾丸のように放った。
水の弾丸は音速以上の速度で突き進み、そのままジャスパーの頭部へと──
「『弱体化・攻撃』&『弱体化・水属性』!」
直後。
ラミアが放った水の弾丸の勢いが消え、凝縮された水の弾丸は無害なただの水へと姿を変えた。
「ジャスパーさん! 大丈夫ですか!」
「ス、ステラ! アンタどうしてここに!?」
突然のステラの登場に、ジャスパーは思わず声を上げた。
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