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50 七幻魔VS防衛チーム


 ポカリ街、結界の外にて。

 七幻魔・序列第三位の神楽、七幻魔・序列第七位のガロウの登場により、防衛チーム全体に動揺が走っていた。


「ミラ様!」


 「ホワイトパール」のメイドの一人が叫ぶ。


「流石に七幻魔2人相手はキツイな……。しかも、片方はランクSSだし……本当冷める」


 口ではそう言うミラだったが、持ち前の冷静さは失われていない。


「これはアルト様の力が必要だね。ちょっと呼んできてくれる?」


「分かりました! すぐに──」


 ミラの指示通り、ポカリ街の中心部にいるアルトを呼びにメイドが向かおうとした瞬間。

 神楽が目にも止まらぬ速さで扇子を振ると、鋭い風の斬撃が結界目掛けて放たれた。


「……ッ!」


「む。今ので壊せると思ったんじゃが、随分と固い結界じゃな。どうやらこの結界を作った者は相当な魔法使いらしいのう」


 不満げにそう話す神楽だったが、風の斬撃が直撃した箇所には小さくヒビが入っていた。


「アルト様の結界にヒビが……」


 思わず驚いてしまうメイドたち。


「まぁよいか。先にお前たちを全滅させてしまえば、結界の中にいる人間も出てこざるを得まい。のう、ガロウ?」


「グオ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ッ!!」


 8メートルほどの巨体を誇る人狼が、地響きのような咆哮をあげる。

 大気にビリビリとした振動が伝わった直後、ガロウが全身にいかづちを纏い、防衛チームの目前から姿を消した。


「シホ、マナ」


「「 はい! 」」


 ミラに名前を呼ばれた2人のメイドが、素早く盾を取り出し高速移動する。

 直後。ミラの目の前に現れたガロウの攻撃を、シホとマナが盾で防いだ。衝撃波といかづちの余波が地面を削り、吹き飛ばしていく。


「くっ……なんて威力なのっ!」


「当然。相手は七幻魔……一発でも貰ったら終わりだからね! 油断しないでシホ!」


「分かってるわよ!」


 たった一撃で、今までのモンスターと七幻魔の格の違いを思い知るシホとマナ。

 だが、ガロウの攻撃はさらに勢いを増していく。

 先ほど同様、全身に雷を纏ったガロウは、鋭い爪を使った突きのような攻撃を連続してメイドたちに放っていく。凄まじい雷の連続突きを、シホとマナがかろうじて防いでいる隙に、他のメイドたちがガロウに攻撃を仕掛けていく。


「ふむ。お主らのパーティ、中々良い連携じゃのう。あのガロウの攻撃をここまで防ぐとは」


「あの子たちはアルト様が選抜した精鋭だから。そこらの連中とは違う」


「確かに、雑魚モンスターの相手で手一杯になっている『魔法騎士団』とやらより遥かに有能じゃのう」


 そう言って、周囲を見渡す神楽。

 そこには無数のモンスター軍団を相手にする魔法騎士団たちの姿があった。神楽の言う通り、魔法騎士団たちはモンスターの相手で手一杯のようで、ミラたちに加勢している余裕は見られなかった。


「彼らには彼らの役割がある。鬱陶しいほどいるモンスターたちを、こちらに来ないように止めてくれてるだけで十分だよ」


「ほう、冷徹に見えて意外に優しいんじゃのう。なら、次はお主が役割を果たす番じゃな」


「はぁ……七幻魔の相手とか、本当冷める……」


 対峙するミラと神楽。

 瞬間、2人が身に纏う膨大な魔力同士が激突し、凄まじい烈風が吹き荒れる。

 そして──


爆竜風虎ばくりゅうふうこっ!」

「『氷魔法・冥府の凍気(ブリザード)』」


 2人の技が同時に放たれる。

 竜巻を纏った大気の爆弾と、全てを凍てつかせる冷気の強風が激突する。

 その瞬間。神楽が放った大気の爆弾が破裂し、辺り一帯に衝撃波と激しい爆撃音を散布する。しかし、ミラが放った冥府の凍気(ブリザード)の力によって被害は最小限に抑えられる。


「む。わらわが放った竜巻や衝撃波を、冷気の風で凍らせて相殺してしまうとは……。中々やるのう、氷の魔導戦士よ」


「はぁ……どうも」


 ローテンションに返すミラ。それを見た神楽は思わず嬉々とした表情を浮かべる。


「ふふっ! よいぞよいぞ! もっとわらわを楽しませてくれ!」


 そう言った神楽は、さらに二度、三度と暴風を振るう。

 ミラはこれを先ほどと同じ要領で凍らせ、相殺していく。神楽が放った風をミラが凍らせる……同じパターンの攻防が何度も続き、決着の兆しが見られないと思われた戦いだったが、意外にも早く、その時は来た。


「はぁ……はぁ……」


「ふふっ。中々楽しめたぞ、氷の魔導戦士よ」


 お互いに一撃も貰っていない神楽とミラ。

 しかし、ミラの方には明らかな疲労が見えるのに対し、神楽の方は未だ万全に近い状態だった。

 その理由は……


「(コイツ……なんて魔力量なの……。さっきから一撃必殺級の超魔法ばっかり使ってるのに、疲れがまるで見えないなんて……)」


 思わず膝をついてしまうミラを見て、神楽は口を開く。


「上級職は、通常職よりも遥かに強力な魔法やスキルを会得できるが、やはり転職後にステータスが初期値に戻ってしまうのが難点じゃな。いくら強力な魔法を会得しても、お主の魔力量はレベル80のまま。このペースで強力な氷魔法ばかり使っていては、魔力切れになるのも無理はない。せめてお主が魔道戦士としてレベル100以上になっておれば、わらわといい勝負ができたかもしれなかったのう」


「はぁ……。上から目線で好き勝手言ってくれるね……」


「当然じゃ。好き勝手出来るのは勝者の特権じゃからの」


 そう言って、神楽は持っている扇子を再び構える。


「じゃあの。久しぶりに楽しかったぞ」


 神楽が軽く扇子を振るうと、これまでとは違う紅蓮の風が吹き荒れる。

 今回、神楽が放ったのは炎を帯びた熱風だった。もしミラが氷魔法を発動したとしても、これまで通り威力を相殺する事はできないだろう。


「あーあ……終わった」


 神楽が放った地獄の暴風を前に、回避行動すら諦めたミラ。

 あと1秒にも満たぬ時間で、ミラの全身は火の風によって包まれ、丸焦げになってしまうだろう。

 自分の死を悟り、目を閉じるミラ。

 そして、ミラの目前に炎の熱風が──


「ウォーターウォール!」


 直後。100メートル程の巨大な水の壁が、炎の熱風からミラを守った。

 蒸発した炎の熱風が水蒸気となって、周囲の空間を埋め尽くす。


「好き勝手出来るのは勝者の特権? 同感だね」

 

 ミラの目の前に現れた人物がそう言った。

 徐々に水蒸気が消えていき、奥からその声の主が姿を現す。


「僕が勝ったら、今日から君の衣装は永遠にメイド服だ」


 白い髪の美少年は、神楽に向けて高らかにそう宣言した。




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アルト


レベル:150


職業:賢者(上級職)

副職:魔法使い(レベル100)

攻撃:450(3)

防御:450(3)

速度:450(3)

体力:300(2)

魔力:1500(10)



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