47 氷のメイド長
一方、結界の外では。
「バイオレットリーパー」のステラ、「魔法騎士団」、「ホワイトパール」が、数百体ものモンスターの軍勢と戦っていた。
「一体一体は大したことないけど、数がとにかく多いね……」
「本当うんざりするわね。たくさん倒しているはずなのに、むしろ増えてる気がするし」
思わず弱音を吐く「ホワイトパール」のメイドたち。「ホワイトパール」のメイドたちのほとんどがレベル80超えなのに対し、モンスター軍団の平均ランクはCランク程度。レベル50もあれば倒せる相手ばかりだが、如何せん、このモンスターたちは魔王城から無尽蔵に送られてくる為、いくらメイドたちが強くてもこれらを全滅させる事は不可能だった。
「まぁでも大丈夫でしょ。私たちの後ろにはアルト様が控えてるしね」
「えぇ、あの人さえいれば何とかなるわ。それに……怪物はアルト様だけじゃない」
そう言ったメイドたちは、少し離れた場所でモンスターたちを相手にしている、水色がかった銀髪長身のメイドへと目を向ける。
「『氷魔法・氷爆殺』」
詠唱と共に放たれた無数の氷の刃が、50体以上ものモンスターたちをいとも簡単に貫いていく。
「メイド長!」
メイドの一人が小走りで駆けつける。それを見たメイド長は小さく溜息をつく。
「そのメイド長ってのやめてくれる? なんか冷めるから」
「し、失礼しましたミラ様!」
「だから様付けしなくていいし、敬語もいいって」
温度を感じさせないクールな口調で、ミラはそう言った。
「ですが、ミラ様……いえ、ミラさんは私たちにとってアルト様と同じくらい──」
メイドがそう言いかけた直後、ミラの背後に一体のモンスターが迫る。
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名称:ゴブリンキング
ランク:B+
属性:無
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「ミラさんッ!」
思わず叫ぶメイド。
ゴブリンキングは「筋力強化」により筋肉を膨張させ、巨大な棍棒をミラ目掛けて振るった。
しかし──
「『氷魔法・冷凍保存』」
詠唱と共に、ミラの体を凍気が覆っていく。そして、その凍気に触れたゴブリンキングは一瞬にして氷漬けにされてしまった。
「流石です! ミラ様!」
「だから様付けしなくていいって……もういいや、冷めた」
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ミラ
レベル:80
職業:魔導戦士(上級職)
副職:勇者(レベル100)
攻撃:640(8)
防御:640(8)
速度:560(7)
体力:400(5)
魔力:720(9)
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「さてと。何か冷めてきたし、もういっそのことモンスター全部氷漬けにしてアルト様と一緒に休もうかな……」
眠たげな目を擦りながら、増え続けるモンスターたちを見て辟易とするミラだったが──
「なんじゃ。随分と退屈そうにしとるのう」
突如。
ミラの目前に暴風が吹き荒れ、その向こう側から2つの影が現れる。片方は和服を着た少女、もう一人は……全長8メートル程の巨大な人狼のような姿をしていた。
「貴方たちは……」
「わらわは神楽、こっちのデカい狼はガロウ。これでも2人共七幻魔じゃ、よろしくのう」
「し、七幻魔っ!? しかも2人も……」
ミラの隣にいたメイドが思わず声を上げる。一方のミラは声こそ上げはしなかったものの、気持ちとしては隣にいるメイドと全く同じだった。
「なんで七幻魔がこんなところにいるの。貴方たちの目的はあのテッドって奴じゃなかったの」
「ふふっ、どうしてかのう」
外見に似つかわしくない妖艶な声で、惑わすようにそう言った神楽。
どこか楽しげな表情を浮かべながら、神楽はさらに続ける。
「もし、お主がわらわたちに勝てたなら教えてやっても良いぞ」
「……結局戦いたいだけじゃない。なんか冷める」
「ふふっ、分かっておるなら話が早い。では早速、お主に相手になってもらうとするかのう」
手元の扇子で口元を隠す神楽。
ミラたちと七幻魔2人の戦いが今、始まろうとしていた。
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名称:神楽
ランク:SS
属性:風、闇
備考:七幻魔・序列第三位
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名称:ガロウ
ランク:S
属性:雷、闇
備考:七幻魔・序列第七位
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