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46 ポカリ街防衛


 テッド達が魔王城へ侵入した一方。

 数百体ものモンスター、魔族の軍勢が一斉にポカリ街へと攻め込もうとしていた。

 「ホワイトパール」のリーダーであるアルトは、宙に浮く玉座に座りながら、その様子を眺めていた。


「数だけは随分多いね。でも無駄だ、君たちがこの街に入る事は不可能だ」


 白いドーム状の結界によって包まれたポカリ街。

 結界の外では、既に「魔法騎士団」が魔王軍との熾烈な戦いを繰り広げていた。


「さて、じゃあ僕はここで見てるから、後は君たちよろしくね」


「「かしこまりました! アルト様!」」


 「ホワイトパール」のメンバーであるメイドたちが一斉に返事をし、結界の外にいる魔王軍の元へと向かう。


「ちょっと待てや、お前は戦わないのかよ」


 アルトと共に街の中心で待機していたポカリ街の飲んだくれたちが、そう言ってアルトへと詰め寄る。

 そんな飲んだくれたちを、アルトは鼻で笑う。


「何を言ってるんだ君たち。僕はショタだぞ? ショタは世界中の人間の保護対象……か弱い存在なんだ。そんな僕が前線に出て戦う? 冗談はその面白い顔だけにしてくれないかな?」


「ははっ。おい、お前の顔面白いってよ」


「いや、俺はイケメンだから絶対違うだろ。お前の事じゃね?」


「はは、ブサイク同士の醜い争いは酒の肴になりますなぁ」


「いや、君たち全員に言ったんだけど」


「「んだとコラァ!!」」


 同時にキレる飲んだくれたち。

 その横から、ステラがひょこっと顔を出す。


「あのぉアルトさん。私もそろそろ向かった方がいいんでしょうか」


「そうだね。じゃあよろしくね、ステラお姉ちゃん!」


 飲んだくれたちに向けるドブを見つめるような表情から一変、思わず可憐と表現してしまいそうなアルトの微笑みに、ステラは思わず顔を赤らめる。


「か、可愛い……。分かりました! 私、頑張ります!」


「待てステラちゃん、俺たちも一緒に行く」


 精一杯のキメ顔をする飲んだくれたち。

 そんな飲んだくれたちを、アルトは小馬鹿にするように鼻で笑う。


「大丈夫なの? ステラお姉ちゃんはともかく、君たちは役に立てるのかい?」


「はっ。これだから世間知らずのガキんちょはいけねぇや」


「まさか、本気で俺たちをただの飲んだくれだと勘違いしてやいないだろうな?」


「違うの?」


 短くそう返すアルトに、薄く微笑む飲んだくれたち。


「俺たちが本気を出せば、世界中のモンスターを狩り尽くすのに3日もかからねぇだろうぜ」


「じゃあなんでやらないの?」


「今や世界中に蔓延るモンスターたちは人類の脅威だ。モンスターを恐れた一般人がクエストを発注し、冒険者はそれを受注し、金を受け取る。言い換えりゃ冒険者ってのは、モンスターがいなきゃ成り立たねぇ職業なのさ」


「分かるか? 俺たちが本気を出してモンスターを狩り尽くした瞬間、世界中の冒険者たちは一気に職を失っちまう。つまり……」


 一呼吸置いて、飲んだくれたちは同時に口を開く。


「「能ある鷹は爪を隠す

  俺たちが守っているのは冒険者という職業  って事さ!!」」


「主張したい事くらい統一しときなよ」


「だが……今回は俺たちの街の危機だからな。特別に俺たちの本気を見せてやるよ。じゃあ行こうぜ、ステラちゃん」


「は、はい」


 そう言って、踵を返す飲んだくれ……否、歴戦の猛者たちは戦場へと向かった。


「くぅ~久々に血が騒ぐぜ」


「おいおい、あんまりやり過ぎるなよ~?」


「分かってるさ。まぁまずは7割……ってとこかな」


「さて、お喋りはこれくらいにして、いっちょやったりますかぁ! いくぞお前らぁ!!」


「「おぉう!!」」




----------------------------------------




飲んだくれA※


レベル:5


職業:アル中

攻撃:5(1)

防御:10(2)

速度:5(1)

体力:10(2)

魔力:0(0)




----------------------------------------

※ その他飲んだくれのステータスもほぼ同文




◇◆◇




「「ただいま戻りましたぁ!」」


「おかえりー」


 戦場に向かってから約2分後、満身創痍になった飲んだくれたちが、再びアルトのいる街の中心部へと戻って来た。「鑑定」で飲んだくれたちのステータスを確認していたアルトは、特に驚くことなくそれを迎え入れる。


「アルト坊ちゃん! 俺背中強打したんで治してくれませんか!?」


「俺は頭蓋骨に若干クレーターができました!」


「君たち、本当何しに行ったの……。はぁ『回復』」


 アルトが指を軽く振ると、緑の淡い光が飲んだくれたちを包み込んでいく。


「傷が……治っていく」


「あったけぇ……実家でオフクロの飯を食った時みてぇな安心感だぜぇ……」


「ありがとうございます! アルトさん!」


 自分たちより遥かに年下のアルトに全力で土下座をかます飲んだくれたち。

 一切のプライドも感じられないその行動に、アルトが思わず溜息をつく。


「はぁ、もういいよ。戦えないならサポートはできる? 強化バフ弱体化デバフとか……なんでもいいんだけどさ」


「ぱ……ぱふぱふ? 俺たち、おっぱいにはあんま自信ないんすけど」


「……じゃあその辺の掃除でもしててよ」


「掃除……はっ! モンスターのすか!? もしかして俺たちを実力を認めて──」


「いや普通に街の清掃。頼んだよ」


「「いえっさぁーー!!」」


 早速掃除に取り掛かる飲んだくれたち。

 アルトはそんな飲んだくれたちをゴミでも見るかのような目で一瞥し、遥か空高くの魔王城へと目を向ける。


「(さて。このバカなおじさんたちは置いとくとして、こっちのチームは今のところ大丈夫そうだな。突入チームは今どうなってるのかな)」


 アルトは小さく欠伸をしながら、そんな事を思った。



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