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31 ゴルゴン研究所


 魔法都市で一泊し、再度南ゴルゴン山を目指して出発した俺たち。

 道中モンスターに襲われることはあったが、それ以外は特に何事もなく進むことができた。

 そして、ポカリ街出発から数えてちょうど1週間後、俺たちはついに目的地の南ゴルゴン山へと到着した。


「ここが南ゴルゴン山かぁ~! 空気が美味しいですね!」


「……」


 大きく深呼吸するステラを無視する俺。だが、別に意図的に無視している訳では無い。この状態で、相手に聞こえるように声を出すのが億劫なだけだ。


「気を引き締めなさいステラ。今のアンタら2人は、私に捕まった事になってるんだから。あんまりはしゃいでると相手にバレるわよ」


「すみませんジャスパーさん。私、こんな大自然に囲まれるの本当久しぶりでして、ついはしゃいじゃいました。ね、テッドさんもそう思いません?」


「……」


 無言を貫く俺。というかステラの奴、分かっててわざと俺に話しかけてるな。


「ぷっ。やめてやりなさいよステラ。コイツは今、棺桶の中に入ってて外の景色が見えないんだから」


「あ、そうでしたね! ……ぶふっ! すみませんテッドさん(笑)」


 2人の嘲笑が外から聞こえてくる。

 そう。俺は今棺桶に閉じ込められ、ジャスパーに引きずられているのである。

 ジャスパー曰く、俺を再起不能にした後、魔法棺桶に閉じ込めて南ゴルゴン山まで運んできた……という設定でいくとのこと。ちなみにステラの方は、俺を人質に脅され、無理矢理ここまで同行させられた……という設定らしい。まぁ運んでもらえるなら楽だしいいか……と思ってジャスパーの話に乗った俺だったが、棺桶に入っていく俺の画がシュールだったらしく、こうして2人に小馬鹿にされているという訳だ。

 ちなみに、棺桶に閉じ込められている為、外が見えないと言われた俺だったが、道中手に入れたスキル『透視』を使って外の状況はちゃんと把握しているので何も問題は無い。


「さぁて……あったあった、ゴルゴン研究所。南ゴルゴン山には建物は一つしかないらしいから、ここで間違いなさそうね」


 しばらくジャスパーに引きずられていると、コケやツタの生えたボロボロの建物の前で止まる2人。どうやら俺を引き渡す相手が待っている場所へ着いたらしい。ゴルゴン研究所……一見廃墟にしか見えないが、こんな山で一体何を研究してるんだか。怪しさしかないな。


「(ステラ、こっからはちゃんと静かにしててね)」


「(分かりました!)」


 小声でそんなやり取りをする2人。

 ジャスパーは問題無いが、ステラの方は小声にも関わらず何故か騒々しく感じるから不思議だ。


「(じゃあ、中に入るわよ)」


 ボロボロのドアを蹴破り、建物の中へと入っていくジャスパー。入り方が随分と荒々しいな。まぁなんでもいいが。外観通り長らく人が立ち入っていないのか、建物の中は埃で一杯だった。ジャスパーの蹴りの風圧で、床を覆っていた埃が宙に舞う。


「けほけほ……きったない場所。それに……訳の分からない資料が散乱してるわね」


 いくつもの汚れた紙の資料を見て、思わず顔を引きつらせるジャスパー。資料の内容が気になったが、残念ながら汚れが酷すぎて、断片的にしか文字を読むことができなかった。


「あら。これだけ随分と綺麗ね」


 そんな中、唯一と言ってもいいほど綺麗な状態に保たれた資料を発見し、手に取るジャスパー。

 ジャスパーはその内容を目で追って確認する。


「……何よコレ。魔王軍は、こんな事して一体どうする気なのよ」


 驚きの表情を浮かべながら、資料に目を通し続けるジャスパー。

 反応を見るに、どうやら中々重要な情報が記載された資料だったらしい。

 俺にも見せてくれ……と、そう言いかけた直後──


「やぁジャスパー。テッドの捕獲は上手くいったみたいだね」


 研究所のさらに奥……暗闇の奥からよく通る女性の声が聞こえてきた。


「アンタは、転送屋……テッドを引き渡す相手ってアンタだったのね」


「そうだよ。というか、転送屋ってやめてくれないかなぁ。なんかパシリみたいじゃないか」


「いや私が名付けた訳じゃないし、それにアンタの仕事内容的に間違っては無いでしょ」


「確かにそうだね」


 淡々と話しつつ、暗闇の奥の人物が姿を現す。


「(え、あれ? この人は……)」


 奥から現れた人物の姿を確認し、思わず驚きの表情を浮かべるステラ。まさか、ここで見覚えのある人物が登場するとは思ってもみなかったのだろう。

 そう、その人物とは……かつて俺とステラの前に姿を現した仮面の男だった。



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