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21 ドンファンVSジャスパー


「身体能力は凄いけど、魔力の平均値は1でスキルは『筋力強化』のみ。筋肉バカここに極まれりね」


「筋肉バカか、そいつは俺にとっては誉め言葉だぜ、お嬢さん」


 乾いた笑いで酷評するジャスパーだが、ドンファンは大して気にしていない様子。


「そんじゃ行くぜお嬢さん。ギブアップするなら早いうちにな」


「アンタもね」


 軽く準備運動をするドンファン。

 直後、ドンファンは爆発的な脚力でジャスパーとの距離を一気に詰めた。


「図体の割には速いわね」


 低姿勢から渾身のアッパーを放つドンファンだったが、ジャスパーはこれをバックステップで軽々躱し、同時に中段蹴りを放つ。


「驚いたな。ステゴロもいけるクチかい、お嬢さん」


 即座にガードするドンファンだったが、凄まじい蹴りの威力を殺しきることができずに体勢を崩してしまった為、一度立て直す為に再度ジャスパーから距離を取った。


「賢明な判断ね。けど逃げてばかりじゃ私には勝てないわよ」


「分かってるさ、今のはほんのウォーミングアップ……本番はここからだ!」


 ドンファンはダッシュで再びジャスパーの元へと直進する。


「オラオラオラァ!!」


 ドンファンはそのまま剛腕によるパンチラッシュを放つ。

 威力よりも速度を重視した攻撃。凄まじい連撃にジャスパーはこのパンチラッシュをモロに食らってしまう。


「オラァ!」


 ラッシュでジャスパーが怯んだ隙に、腕を大きく引いてストレートパンチを放つドンファン。

 ストレートを顔面に食らったジャスパーは、あまりの威力に数十メートルほど吹き飛ばされてしまう。


「流石ですねドンファンさん。魔王軍幹部相手にここまでやるなんて」


 称賛するエレナだったが、ドンファンの表情は険しいままだった。


「……エレナちゃん、今すぐここから離れてくれ」


「え?」


「やっぱりSランク……しかも魔王軍幹部ってのはとんでもないバケモノだ。俺じゃ敵わない」


「何言ってるんですかドンファンさん。今押してるのは──」


「いいから逃げるんだ!」


 大声を上げるドンファン。

 これまでドンファンがエレナに向けて大声を上げた事など一度もない為、驚いて体を硬直させてしまうエレナ。しかし、その一瞬で──


「いい判断ね。けどもう遅いわ」


 何十メートルも先に吹き飛ばした筈のジャスパーが、一瞬でドンファンの目前に現れる。

 振り向きざまにすかさずパンチを放つドンファン。その拳はジャスパーの顔面を捉えるが、ジャスパーには一切効いている様子は無かった。


「もういい? 終わりにするわね」


 ほんの一瞬、1秒にも満たない時間の世界。

 目にも止まらぬ速度で腕を突き出したジャスパーは、ドンファンに向けてデコピンを放つ。

 たった一発のたかがデコピン。それだけで、ドンファンの体は何百メートルと吹き飛ばされてしまう。砲弾のような威力のデコピンにより発生した衝撃波により、周囲の建物までもが吹き飛ばされてしまう。


「あのドンファンさんがこうも簡単に……しかも、彼の土俵である素手での戦いで……」


「あのマッチョも結構腕が立つみたいだけど、残念ながら私には遠く及ばない。私を倒したかったらせめてレベル90以上の冒険者を連れてこないと話にならないわね」


 ドンファンの猛攻によるダメージなどまるで残っていない様子のジャスパー。

 退屈そうに吹き飛ばされたドンファンを眺めた後、視線をエレナへと切り替える。


「さて。これで今度こそアンタ一人になっちゃったけど、どうする? 殺す前に一戦交えてもいいけど、アンタ相当強そうだし」


「私は受付嬢なので、そんな野蛮な事はできませんよ」


「はは、抵抗すらしないとか。この状況でなんでそんな落ち着いてられるわけ?」


「困ったときは白馬の王子様が助けてくれますから」


「は。つまんない冗談。アンタがそんなもの信じてるようには思えないけど」


 仲間を全員倒されても冷静さを失わないエレナに対して、徐々に業を煮やし始めるジャスパー。

 言葉こそ落ち着いているものも、語気が徐々に荒くなり始める。


「じゃあ殺す前に一つだけ。テッドはいつ頃戻ってくるの?」


「さぁ。クエストの進捗次第じゃないですかね」


「そ。ありがとね」


 手を手刀の形に変え、先ほどのデコピン以上の速度で突きを繰り出すジャスパー。

 その様子をただ黙って見ているエレナだったが──


 バリバリバヂィッ!!


 ──と、稲妻が走る音と共に電撃のつるぎがジャスパーを襲う。

 ジャスパーはこれを軽く躱し、バックステップでエレナから距離を取った。

 直後、バチバチッ──と、電気が火花を散らす音と共に、赤い瞳の男が姿を現す。

 目の前に現れた男を見て、エレナは思わずくすっと笑った。


「ほら来た、王子様」


「誰が王子様だ。くだらん」


 エレナから視線を外し、男は鋭い目つきでジャスパーを睨みつける。


「あはは、やっとメインデッシュが出てきた」


 ジャスパーはこれまでにないほど嗜虐的な笑みを浮かべ、そう言った。


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