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192 準備


「気が付いたか」


 シドラの腕の中で眠っていたスカーレットが、ついに意識を取り戻した。しかし、アスタロトの支配と黒い細胞による急激なパワーアップの影響か、まだ体力が回復しきっていない様子だった。体を小さく震わせながら、スカーレットが弱弱しく口を開いた。


「……え? しょー……たん?」


「誰と間違えている。俺だ」


 スカーレットの頬をぺしっと軽く叩く。ようやく意識がはっきりしてきたのか、スカーレットの頬がどんどん赤く染まっていく。


「な、なっ? テッドに……父上!? ちょ、ちょっと待ってくれ! どういう状況なんだこれは! というか寒っ!」


 猛吹雪に体を震わせながら、1人でプチパニックになるスカーレット。すると、レオがその場にしゃがみ込み、スカーレットにぐいっと顔を近づけた。


「やっほ」


「だ、誰だ貴様! というかなんで服を着ていないんだ!?」


「初めましてお嬢さん。レオっていいます。早速だけど今から雪山デートしない?」


「レオって……まさかあの『ブラックファング』のリーダーの……」


「オイ小僧……。俺の娘にそんな汚い物見せつけて……死ぬ覚悟はできてるんだろうな?」


 スカーレットの言葉を遮り、先ほどまでとは比べ物にならない殺気を向けるシドラ。そのあまりに凄まじい威圧感に、全く関係の無いアスタロトの兵隊たちがばたばたと倒れ始めた。あれは気絶……いや、下手したら死んでるかもな。可哀想に。まぁそれはいいとして。ひとまず俺は、スカーレットにここまでの経緯を掻い摘んで説明する事にした。


「……そうか。それで父上と『ブラックファング』のレオが一緒に……。いやすまない。まずは礼を言うのが先だった。助けてくれて本当にありがとう」


「俺からも礼を言わせてくれテッド。ありがとう」


 深々と頭を下げるスカーレットとシドラ。お辞儀の仕方まで本当に親子そっくりだな。少しして顔を上げるスカーレットとシドラ。しかし、スカーレットの表情はどこか曇ったままだった。


「どうした」


「いや……。助けて貰ったのに申し訳ないんだが、アスタロトの支配は一度解いたところで……」


 気まずそうに不安を口にするアスタロト。大方、自分が再びアスタロトに支配される事を懸念しているのだろう。


「それは問題無い。見てみろ」


 俺はスカーレットにあるものを確認するように促す。


「これは……そういう事か」


「あぁ。だから、今後お前がアスタロトに支配される心配はない」


 俺の言葉を聞いて、スカーレットはほっと胸を撫で下ろした。


「用は済んだ。ここから出るぞ」


「あいよ。つーか毎回こうやって1人ずつ回収していくのクソダリィな。もうやめね?」


 欠伸をしながら心底面倒くさそうにするレオ。本当、悪い意味で自由な奴だな。だが、この状況に辟易しているという意味では俺も同じだ。だから……


「安心しろ。もうすぐ終わらせてやる」


 そう口にし、俺はこの状況から脱する為の準備を始めた。


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