表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

191/263

191 救出成功……


「いや早く捕まれよ」


 脳内に刹那的に流れるスカーレットの記憶と煩悩に対し、思わずツッコんでしまう俺。スカーレットの斬撃を大剣で弾き、一度シドラたちの元へ戻って体勢を整える。


「思ったより重症だな……」


「何? スカーレットはそんなにマズい状態なのか?」


 俺の独り言に反応するスカーレットの父シドラ。いや、俺が言ったのはスカーレットのショタコン具合についてなのだが……まぁそれは別に言わなくてもいいか。


「別にマズくはない。むしろこちらからすれば、あの状態は好都合とも言える」


「どういう意味だ」


「あの黒い細胞は力の源となっているコアを破壊すれば死滅する。そして今、アスタロトの支配とあの黒い細胞の魔力は、スカーレットの中で繋がっている」


「つまり、あの黒い細胞を破壊すれば、アスタロトの支配も同時に解けると?」


「そういう事だ。あの黒い細胞を纏っている今なら、第三者では解除できないアスタロトの支配を解くことができる」


「なるほど……。だが、どうやってあの黒い細胞のコアを見つけるんだ?」


「問題ない。もう終わらせた」


 俺は手に持っているどす黒い塊を、そのまま握り潰した。気色の悪い黒い液体が、手からビチャビチャと飛び散る。


「なっ……? お前……いつの間に。何をした……?」


 シドラが唖然とした顔でこちらを見ていた。別にそこまで驚く事ではない。シドラに状況を説明しながら魔力探知でコアの位置を特定し、空間魔法で俺の腕とコアの座標を繋ぎ、そのままコアを摘出しただけだ。説明は面倒だから特にはしないが。


「なんでもいいだろ。それよりも……」


 俺は視線をスカーレットの方へと向ける。スカーレットの体を覆っていた黒い細胞が、蒸気を上げながら消滅し、スカーレットはその場に倒れてしまった。


「スカーレット!」


 積もった雪と周囲の敵を大きく吹き飛ばすほどの猛スピードで、スカーレットの元へと駆け寄ったシドラ。シドラはスカーレットを抱きしめながら、安堵した表情と涙を浮かべていた。


「はーいいモンだなぁ親子の絆ってのはよ」


 馴れ馴れしく俺の肩に手を乗せながら、平坦な声でそう口にするレオ。


「お前の感想はどうでもいい。いいからさっさと敵を倒してこい」


「別にいいだろ。おら見てみろよ。敵さんもあの光景に感極まって襲ってこれねぇ感じだぜ?」


「シドラの威圧感で動けなくなってるだけだろ」


 スカーレットを抱きしめながらも、敵を威圧する事は忘れない。どんな状況でも隙を見せないあたり、流石竜王といったところか。


「つーかお前は?」


「何が」


「なにってスカーレットちゃんだよ。仲間なんだろ?」


「あぁ」


 短くそう口にすると、レオは不敵に笑った。


「はっ。折角仲間を助けたっていうのに、ちっとも嬉しくなさそうだな。ぶっちゃけ仲間の事なんざ1ミリも心配してなかっただろ。つかそもそも本当に仲間だと思ってんのか?」


 何故か愉快そうに、べらべらと喋り始めるレオ。


「別に心配していない訳じゃない。俺なら全員助けられると確信しているだけだ」


「……自分の力を信じて疑わねぇって訳か。お前が仲間の救出に失敗した時、どんなツラ浮かべんのか見てみたくなったぜ」


「残念だが、その望みが叶うことはない」


「は。そうかい」


 レオは意味ありげに笑いながら俺に背を向け、シドラの元へと歩き始めた。俺は少し間を置いてから、取り敢えずその後を追った。


お読みいただきありがとうございました!

よろしければブックマーク、評価、感想などよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ