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16 バイオレットリーパーVS青い竜 前半戦


「テッドさん、どうします? 鑑定結果は不明ですが、あの青い竜……相当ヤバいですよ」


「だろうな」


 全長50メートル超えの規格外のサイズ、ステータス不明、明らかに普通じゃない。

 だが──


「やるしかないな。お前はここで隠れてろ」


「テッドさん!」


 俺は岩陰から広場に飛び出し、青い竜と対峙する。


「さて。お前の力がどれほどのものか、見せてもらうぞ」


 大剣を構えた直後、青い竜からパチパチといった小さな電気が迸る。

 小さな電気は、徐々に大きな青いいかずちへと姿を変え、俺に向かって放たれた。

 大剣を盾のようにすることで間一髪これを逸らすも──


「な──」


 次の瞬間。

 俺の視界は、青い竜の巨大な尾で塗りつぶされていた。

 全身に爆弾が直撃したかのような衝撃が走り、俺の体は粉々に砕け散った。


「テッドさん!」


「騒ぐなステラ。あれは分身だ」


「え、あれ!? テッドさん、いつの間に私の隣に?」


「最初からだ」


 驚いているステラを余所に、青い竜と戦わせた分身から得た情報を分析していく。


「奴の属性は雷。相当な魔力量に加えて、あの巨体であのスピード……攻撃をもらえば確実にスクラップだな」


「なんなんですかあの怪物は……。あんなの、B級クエストに出てくるレベルを遥かに逸脱してます……」


「確かにな」


 鑑定結果が不明なため断言はできないが、あの青い竜は今まで戦ってきたどのモンスターよりも遥かに強い。

 Aランク……下手したらSランク相当のモンスターかもしれない。

 すると、青い竜をまじまじと見ていたステラが何かに気が付く。


「あの青い竜……なんでこっちに来ないんでしょうか」


 青い竜は再び広場の中心に戻り、微動だにせずにこちらを睨みつけている。攻撃の意思は一切感じられない。


「まさか……」


 俺は岩陰から出て、右手を青い竜に向ける。

 ちょうど右手だけが広場の青い光に当たるように。

 すると直後──


「グオオアァ!!」


 電光石火が如し速度でこちらに向かってきた青い竜は、巨大な口で、青い光に照らされた俺の腕を食らった。

 バキバキ……と、青い竜の鋭い牙と強靭な顎によって、俺の腕が噛み砕かれていく。

 だが俺の腕を食らうと、青い竜は再び広場の中心へと戻っていった。


「なるほど、そういう事か」


「な、なななにがですかかっ?」


「どうしたステラ」


 ブルルルルル……と聞こえてきそうなほど震えている。


「どうしたじゃないですよ! あんな大きな竜がいきなり目の前に現れたら普通ビックリしますって! わ、私食べられちゃうかと思いました……。というか、何かやるつもりなら最初に言ってくださいよ!」


「言ってもどうせ驚くだろ」


「それはまぁ……。というか、なんでテッドさんはそんなに落ち着いてるんですか。腕まで食べられてるのに……」


「不思議だよな」


 他人事のように流し、ちぎれた右腕を再び再生させる。


「話を戻すぞ。恐らくあの青い竜は、青い光の外へは攻撃できない……いや、青い光の外には出られないというべきか」


「え、そうなんですか?」


「奴は俺の腕の青い光で照らされた部分だけを捕食した。目の前に俺たちがいるにも関わらずだ」


「な、なるほど。さっきはそれを試す為に腕を……」


「あぁ。もしくは青い光の外が見えていない可能性もあるが、なんにせよ岩陰に隠れていれば恐らく安全だ」


 俺の言葉を聞いて、ホっと胸を撫で下ろすステラ。

 大きく息を吸って呼吸を整え、再び口を開く。


「帰りましょう」


「駄目だ」


「なんでですか! 要はあの青い光に触れなければ襲ってこないってことですよね? だったら放っておけばいいじゃないですか! こっちから襲わなければ無害ですよ! 触らぬ神に祟りなし……イカズチ様万歳です!」


「何がイカズチ様だ、勝手に名付けて崇めるな。まぁそれはともかく、奴を倒せば俺の記憶について何か分かるかもしれないし、仮に何も分からなかったとしても、奴の力は強力だ。倒してコピーしておきたい」


「やめましょうテッドさん。イカズチ様は私たちが敵う相手じゃないんですよ……」


「それは残念だ。俺一人なら無理でも、お前がいれば倒せると思ったんだがな」


「やりましょう!」


 怯えた表情から一転、太陽のような笑顔と共にやる気を取り戻すステラ。

 驚くほど単純な女だ。詐欺とかに引っ掛からないか普通に心配になった。


「さぁ行きましょうテッドさん! あのトカゲをさくっと倒して、この割に合わないクエストを終わらせましょう!」


 勝手に祭り上げたイカズチ様とやらを秒でトカゲ呼びするステラ。

 その表情は凄まじい闘気に満ち溢れていた。


お読みいただきありがとうございました!

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