15 竜の巣
B級クエストを受けることになった俺たち「バイオレットリーパー」。
その内容は「竜の巣の駆除」。
竜の巣の場所をエレナから教わり、早急に向かう事に。
俺は一度行ったことがある場所には瞬間移動できる為、竜の巣付近までは瞬間移動でショートカットできた。
そこから少し歩くと、あっという間に竜の巣と呼ばれている洞窟へと辿り着く。
そして──
「早速お出迎えか」
「ちょっと……いくらなんでも多すぎませんか!?」
3~4メートルほどの大きさの竜が十数体、俺たちの前に立ち塞がった。
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名称:ワイバーン
ランク:C
属性:風
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「ランクCがこんなに沢山……どうするんですかテッドさん!」
慌てふためくステラ。
何をそんなに騒いでいるんだか。
「ギャオォ!!」
ワイバーンたちは大きな翼を羽ばたかせ、風のように軽やかに、素早く、一気に俺たちに牙を剥いてきた。
「テッドさぁん!!」
「騒ぐな。すぐに終わる」
俺は復讐の剣を発動させ、素早く大剣を連続で振る。
「ギャッ!!?」
俺の元を通り過ぎたワイバーンたちが、見えない斬撃によってスパスパと果物のように切断されていく。
そんな作業を30秒ほど繰り返し、目の前のワイバーンたちをあっという間に一掃する。
「大した事はなかったな。スキルは……まぁ悪くはない。あとで試してみるか」
「ワイバーンの群れをこうもあっさりとバラバラに……。もう今更驚きませんが、なんか逆に可哀想になってきましたよ。並のパーティだったら壊滅していてもおかしくないですよ?」
「知るか。さっさと行くぞ」
「……はいはい、分かりましたよー」
この後も、何十体もの竜族と戦う羽目になったのだが、かすり傷一つ追うことなく葬っていく。
ただひたすらに竜の巣を進む俺に対して、自分のステータス画面を逐一確認するステラ。
「うぅ。何もしてないのに私のレベルが31から42に……。思ったんですけど、私って必要ですか?」
「確かに、最近はあまり必要と感じることがないな」
「ひどっ! せっかくサポート系のスキルや魔法が充実してきたのに、テッドさんが強すぎるせいで私の出番全然ないんですけど。一応、私がこのパーティのリーダーなのに……」
「楽してレベルアップできてよかったじゃないか穀潰し。そのまま甘い蜜を吸ってすくすくと育っていくといい」
「うわぁ~ん! テッドさんのバカ! デリカシー無しの非モテ男!」
泣きじゃくりながらぽかぽかと殴ってくるステラ。
微塵も痛くないので、無視して先へ進むことに。
しばらく無言で歩いていると、ステラが再び口を開く。
「ていうか、テッドさん冗談抜きで強くなりすぎじゃないですか?」
「敵を倒す度にスキルと魔法をコピーしてるんだ、そりゃなるだろ」
「それもそうなんですけど……。私が言っているのは、テッドさん自身が強くなりすぎって事ですよ」
「俺が?」
「はい。経験値が貰えなくてレベルが上がらないにも関わらず、基礎ステータスが滅茶苦茶上がっている感じがします」
確かにバイオレットリーパー結成時から、俺の力は加速度的に上昇していた。
だが、その力の伸びの原因は未だに分かっていない。
「まぁ仲間が強い事に越したことはないだろ、よかったじゃないか」
「そうなんですけど、私も少しは……」
「待て」
俺は足を止める。
下を向きながら歩いていたステラは、急停止した俺に軽くぶつかってしまう。
「ちょっと! 急に止まらないでくださいよ!」
「よかったなステラ。やっとお前の出番だ」
「え、どういう……なんですか、アレは……」
俺たちに目前には、小さな洞窟の中とは思えないほどの巨大な空間が広がっていた。
今までは薄暗かった洞窟内だったが、不思議とその空間だけは青い光によって照らされている。
だが、俺たちの目を引いたのは、そんな幻想的な光景ではなく──
「あり得ないです。まさか、あんな大きな竜が……」
広場の中心には、群青色の鎧を全身に纏った巨大な竜が、微動だにせずにこちらを睨んでいた。
その全長は50メートルを超えている。
「スキル『鑑定』」
俺とステラは『鑑定』を使って、目の前の脅威の力を測る。
しかし、返って来た結果は俺たちの予想に反するものだった。
「テッドさん……これって」
「あぁ、まさかこんなところにアイツの同類がいるとはな」
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≪鑑定結果≫
名称:??
ランク:??
属性:??
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巨大な青い竜の鑑定結果は、全くの未知数──。
それは、かつて俺に力を与えたあの怪物と同じものだった。
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