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147 邪魔


 俺の右腕から大量に飛び出してきたグロテスクな黒い触手。以前はこの触手に全身を蝕まれ、一度意識を失ってしまったが、今回はどうにか右腕の浸食のみで済んだ。


「流石だね。その触手を抑え込むなんて」


 アスタロトが何やら感心しているが、そんな事はどうでもいい。


「さっさとステラたちを開放しろ。でなければお前を殺す」


「……凄くいい殺気。というか、もっと冷酷無比な人だって聞いてたけど、仲間を操られてそんなにムキになるなんて、想像以上に仲間思いみたいだね」


 アスタロトが僅かに視線を動かす。恐らくステラたちを操って俺に攻撃を仕掛けようとしたんだろうが……


「遅いな」


 俺は空間魔法を用いて、アスタロトとステラたちを拘束した。


「……ちょっと、いくらなんでも反応早すぎ……。しかもこれはガイアの空間魔法……。彼以上の力で縛り付けてくるなんて、本当君は凄いよ……超が付く天才だね……」


「随分とよく喋る口だな」


 俺はガイアの空間魔法を用いて、アスタロトの口を無理矢理閉める。そして、復讐の剣(エリーニュス)で黒い大剣を召喚した。


「仲間を開放しないのならそれでもいい。お前を殺して能力をコピーし、俺の手で洗脳を解けば済む話だ」


 俺はゆっくりとアスタロトの元へ近づいていく。しかし、アスタロトは余裕の表情を崩さなかった。そして、俺を見て薄笑いを浮かべた。


「ほい」


 直後。

 気の抜ける掛け声と共に、アスタロトは空間魔法の拘束をいとも簡単に解いてしまった。


「面白い……やっと七幻魔のトップらしいところを見せてくれたな」


 思わず笑みがこぼれそうになる。あのメルでさえ、空間魔法による拘束をこうも簡単に解くことはできなかった。これまで戦ってきた敵とは一線を画するほどに強大な魔力、そして、まだまだ底知れぬ「支配」という能力。


「お前はいいエサになりそうだな」


 黒い大剣を構え、アスタロトとの戦いに臨もうとしていると、何故か横からエレナが姿を見せた。


「何のつもりだ」


「私も力を貸します」


「引っ込んでろ。邪魔だ」


「アスタロトは『魔王の血族』。今までテッドさんが相手にしてきたモンスターや魔族とは別格の存在です。いくら貴方でも一人で相手をするのはやはり無茶です」


 心配そうな顔でそう口にするエレナ。……鬱陶しいな。折角面白くなってきたところだというのに。


「……ふふ。そんな悪魔みたいな目で睨んだらエレナちゃんが可哀想だよ。一人で戦いたいのは分かるけどさ。……あと言っとくけど、エレナちゃんは元凄腕の冒険者だから、一緒に戦ってもテッド君の足を引っ張るって事は絶対にないと思うよ……」


 元冒険者というエレナの意外な過去を知ってしまったが、今はそんな事どうでもいい。仮にエレナが俺以上の実力者であったとしても、今共闘してほしいとは全く思わない。


「コイツは俺の獲物だ。邪魔をするならお前から──」


「それはよくないなぁテッド。人間同士、仲良くしないと駄目じゃなーい」


 突如、脳に直接ハウリングするような異質な声が聞こえてきた。そして、俺とアスタロトの間に、大きな丸い影が浮かび上がる。丸い影は徐々に立体的になっていく。そしてそれは、立体的な人影とでも呼ぶべきものへと姿を変えた。


「……げ」


 露骨な嫌悪感を見せるアスタロト。どうやらこの人影を知っている様子。


「誰だお前は」


「初めましてテッド。僕はシャドウ。女性の下着をこよなく愛する世界最弱の魔族だ!」


 どこから取り出したのか、シャドウは女性の下着を頭に被りながら、そう言った。



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