100 事件
一方。サルタナとの戦闘を終えた「グリーンヴェノム」はとある街の宿へと来ていた。冒険者が一般的に利用するものとは比べ物にならないほど広く、快適な空間となっており、かなり高級な部類の宿となっていた。
「今日はここに泊まろうか。貸し切りにしといたから羽を伸ばしてくつろぐといいよ」
「キシャァ! 流石はニナちゃんだぜ! 太っ腹ァ!」
黒髪の美少年ニナの言葉に、子供のようにはしゃぐナーガ。
「じゃあよアイナちゃん。今からヤろうぜェ」
蛇のような目で隣にいたアイナの体を舐め回すように見るナーガ。そして、スカート越しにアイナの尻をぎゅっと揉みしだいた。
「分かったけど先に風呂入らせて。汗流したい」
「ンじゃア、俺の個室の風呂でヤろうぜ」
「分かったから落ち着けっての」
今度はアイナの胸を揉みしだくナーガ。メルは顔を赤くしながらその様子をちらちらと見ていたが、視線に気が付いたアイナに睨みつけられ、すぐに目を逸らした。
「見てんじゃねぇよ」
「ご、ごめん!」
「まァたメルちゃんいじめちゃってェ。少しは優しくしてやれよォ」
「昔からおどおどしてて気に入らねぇんだよコイツ」
「まァまァ。俺ら4人は幼馴染なんだからよォ。仲良くやろうぜ」
「付き合いが長いからムカつくとこが余計目立つんだよ」
イライラとした様子でメルを睨みつけると、アイナはナーガと共に広間から去って行った。広間にはニナとメルが取り残される。
「あの2人は変わらないね。何回セ〇クスすれば気が済むんだろう」
「え!? う、うんそうだよね……」
「僕たちもする?」
「え!? し、しないよ! 何言ってるの!」
茹でダコのように顔を真っ赤にするメル。それを見てくすくすと笑うニナ。どうやらからかっていただけらしい。
「じゃあ僕も部屋に行こうかな。今日はお疲れ様、ゆっくり休むんだよ」
「う、うん。そうだね! ありがとう! ニナ君もお、お疲れ様!」
とても男性とは思えないような、可憐で柔和な笑みを残し、ニナも自分の個室へと歩いて行った。
「……」
そして。
先ほどまでのおどおどとした様子が嘘のように。メルは殺意のこもった目でニナの後ろ姿を見つめていた。
◇◆◇
明朝。
一晩中アイナとの行為に及んでいたナーガは、自室のベッドで目を覚ました。
「ふアァ~ア。やっぱセ〇クスしてから寝るとすっきり起きれんなァ」
欠伸をして、体中の関節をバキバキと鳴らすナーガ。
「あァ。なんか昨晩の思い出したらムラムラしてきたなァ。アイナちゃァん。朝セ〇クスしようぜ朝セ~♪」
呑気にそう口ずさみながら布団をめくるナーガ。しかし、そこにアイナの姿はなかった。
「アれ? 自分の部屋戻ったんかなァ? まァいいか。つーか喉乾いたァ。水、水」
ベットから出て、水を飲みに広間へと向かうナーガ。すると、広間に横たわって寝ているアイナの姿を発見する。
「おォ? なァんでこんなところで寝てんだアイナちゃァん。もしかしてあの後酒でも飲んでたんかァ?」
ナーガは横たわるアイナをごろんと仰向けにさせる。整ったアイナの顔立ちを見て、ナーガは股間を大きく膨らませる。
「やっぱ可愛い顔してんなァ。よし、起きる前に顔面にぶっかけてやっかァ。キシシャ」
だらしない顔つきで興奮し、ズボンを下ろそうとするナーガだったが、ここである違和感を覚える。
「ア。なんだこれ?」
ナーガの手には、血がべっとりと付着していた。一瞬硬直するも、冷静にアイナの姿を確認するナーガ。
「……あァ。マジかよ」
血で真っ赤になっているアイナの腹部を見て、ナーガはぼそりとそう呟いた。
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