1、プロローグ1
つおい
「「魔王と勇者、君達は二人ともここで死んでもらう」」
「「ーーーはっっ???」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「「ーーアァァァァ!!!!!!」」
ーーーーお互いの命を刈り取るため、全力の一撃を放つ、拳がぶつかり合い、俺たちを中心に余波で床や天井が砕けて、瓦礫が吹っ飛んでいく……。
「ーーーーやるな、『勇者』、私と対等に殴り合ったのはお前が初めてだ!!!!」
「ーーーこっちのセリフだ『魔王』、まさか身体あちこち弄り回して、大部分を『進化機竜』マルスナルの素材に変えるなんて無茶苦茶やってる俺とほぼ互角とはなぁ!!!」
人類の存亡をかけた……あっちのからすれば魔族の存亡をかけた、俺こと『勇者』対『魔王』の戦いの火蓋は斬って落とされる。
「ーーーー『機械心音胎動、魔硬化工程完了、発疹皮膚武器展開、砲身鉄拳制裁』!!!」
「ーーールシファーレオイド、我、前進を許さず!!!!」
俺はスキルで拳を砲身に変えて魔王に向けて全力で振りおろす、相手も『七大罪、傲慢の罪、ルシファーレオイド』の大罪スキルで対抗する、禍々しい魔力を纏った拳で応戦。
「ーーーーー軽い!!」
「ーーーーーッッッッッ??!!!」
獅子の悪魔の力が加わった魔王の一撃は俺の想像を軽く超えていた、俺全力の一撃も押し込まれて、吹っ飛ばされる。
「ーーーぺッッ」
「勇者様!!、我望む、ここに大天使の癒しをーー『ケルビムヒール』」
「ーーーよし、ありがとうクリス!」
「お安い御用ですーーーさぁ、もう一度です!!」
「おう!!」
瓦礫から出て、血反吐を吐く俺に仲間の聖女が回復スキルをかけてくる、全回復する俺の体。
「ーーーおい!!、俺たちじゃ数秒の足止めも命がけだ!!、早く戻ってこい!!」
「悪りぃ!!、待たせたな!!」
剣聖オリヴィア、重戦士ブレッド、暗殺者スレイ、賢者カイ、格闘家ミレイ、射手エミリア、仲間達は俺が回復する時間を稼いでくれる………どんな窮地もコイツらと一緒に乗り越えてきた、コイツらと一緒なら魔王を倒すことはおろか、世界だって変えられる、この最高の仲間と一緒で負けるはずがない!!!。
ーーーーー俺たち勇者パーティーと魔王の戦いは三日三晩続いた………。
………俺の仲間達は次々倒れていった、死んだわけではない、ただ戦闘不能というだけだ………口惜しそうに俺と魔王の戦いを見守っている。
「ーーーーーフッッッ、これまでな『勇者』よ………八人がかりで私一人と互角だったお前がたった一人で我に敵うわけがない………」
「…………そうだな」
「………どうだ、我が配下になるというのならお前はもちろん仲間の命を助けてる、その上私が世界征服をした暁には世界の半分をくれてやろう……悪くない話だろ?」
「…………それは魅力的な話だな……ーーーだが断る!!!」
「………なぜだ?、やはり魔王の言葉は信じられんか?」
「ーーーーいや、そこは疑ってない………あんたは人族の敵だが……そんな嘘をつく卑怯者じゃないことはわかる………」
「………ほぅ?、なぜそんなことを断言できる?」
「………さっきあんた、自分で言ってたじゃないか…………援護もない俺なんてあんたからすれば敵にならない………つまりあんたがなりふり構わず俺を手下にしたいなら俺の後ろの仲間を人質にでもすればいい!!!ーーーーただ勝つためだけだったらとっとと俺の仲間を殺しておけば負けるかもしれないっていう可能性を限りなくゼロにできる!!!…………だけどアンタはそういう【脅迫】はせず【交渉】を俺に持ちかけてきた………選択権を俺に与えてくれた……こんな馬鹿正直な奴がわざわざ約束を反故にする方がおかしい………だからそこに関しては俺はアンタを信頼してる…………」
「………なるほど、力だけかの餓鬼かと思ったが……中々いい観察力を持っているな………ならなぜ私の提案を断る?」
「なんで?、愚問だな………ーーーーー何度潰されても、何度抉られても、何度倒されても……勝ち目がゼロでも…………みんなを………ーーーーーこの世界を守るため、アンタに勝つまで何度でも立ち上がる!!!ーーーーーーー………なぜかって?俺が『勇者』だからだ!!!!」
「ーーーッッッッッーーーークハハハハハハハハッッッーーー本当に残念だぞ、お前のような気骨あるものをこの手で葬らねばならないのが!!」
「ーーーーーーッッッッッ!!!!」
俺は気力を振り絞って精一杯叫び、立ち上がる………俺の様子を嬉しそうに見ていた魔王が突然消えたと思ったらいつの間にか俺は首根っこを掴まれ、宙ぶらりんにされる……足掻く俺を尻目に魔王は俺を壁に叩きつける。
「ーーーーーッッッッッガハッッッッ!!??!」
「ーーーまだくたばらんか、頑丈だな………死ね!!!」
「ーーーーー『魔核歯車起動、拡張左核限界駆動、機械仕掛けの有翼幻獣』!!!!!!!」
「ーーーーーッッッッッ!!??ーーーーー」
俺にトドメを刺そうと魔王の攻撃が当たる刹那ーーー俺は強力すぎて自身すら蝕むスキルの詠唱完了と同時に腕に仕込まれているリコイルスラスターを引っ張り、腕に内蔵したコアのリミッターを解除する………。
その解放時の魔力の奔流は魔王すらも一瞬後退させる………俺の体から余剰分の魔力は蒸気のようなものに変換され、全身から噴出する…………なんだか沸騰してる水が入ってるヤカンの気分だ……。
「ーーーーフッッッ、ここにきて隠し球か………」
「ーーーーー俺の負け、参ったよ、これは使うつもりはなかったんだが………」
「ーーーーなに?…………なんだ、やっぱり死ぬのが怖くなって、命ごいか?」
「………これは俺にとって特攻同然で必ず生きて戻るっていう皆んなとの約束を破ることになっちまうからな………負け同然さ……だけどアンタを倒すことは諦めてないぜ……………『ーーーー魔核歯車』、特殊な魔石を腕に仕込んで、魔力を解放することによって俺の能力は一時的に極限まで高まる………俺の体がその強化に耐えきれず、壊れ、砕け、崩壊しようともな………」
「ーーーーなるほど、神風特攻というやつか……ワクワクするな、ここまで私を楽しませてくれるとは思わなかったぞ、お前こそ勇者という名がふさわしい!!!」
「ーーーーだ、だめです勇者様!!、それを使えばあなたの命はーーー!!」
「…………いいんだ………俺の命はみんなの為に使い切る………覚悟はしてた…………ーーーー【人工勇者第3世代試作88号機、八つ裂き乱射魔】黒鉄ジャンク、推して参るーーーーーー名乗れよ『魔王』、勝負だ…………」
「ーーーーフッッ、………我の真名を名乗るの人間はお前が初めてだ…………ーーーーーー【魔王軍150代目当主、原罪の魔女王】エヴァ・ウルトスーー来い!!!」
つおい