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特別

ベランダで冷えたフルーツ盛りを頬張る私と、

背もたれに背中を預けて星空を見る結美。


結美「なんだかモヤってるね。」


絢愛「…確かに。うっすい雲があるのかな?」


結美「かもね。」


結美は楽しみと言っていたフルーツ盛りを一切食べずに星空を見る。

それだけ結美は今見てる星空に目を奪われてるんだろう。


結美「…絢愛、本当に災救受けるの?」


絢愛「うん!なんで?」


結美「なんだか心配だなって。」


絢愛「私、結構体力には自信あるよ?」


結美「ううん。絢愛が災救に受かって私が落ちた時、側にはいれないんだなって思って。」


絢愛「結美も体力あるから大丈夫だよ!」


結美「…私は絢愛と一緒にいられればそれでいいけどなー…。」


語尾が少し震えた?どうしたんだろう?


絢愛「今日の結美は寂しがりやさんなの?」


結美「…そうかも。」


結美が少し寂しそうな笑顔をする。


絢愛「どうしたの?なんでも言ってよ!私たち親友じゃん!」


結美「…うー…ん。」


私はフルーツ盛りを食べる手をストップさせて、体をしっかり結美に向ける。


絢愛「…また何かされた?」


結美「ううん、そう言うことじゃない。」


絢愛「?」


結美は保育園の時からずーっと一緒。

だからずっと結美の周りの様子を見てきた。


結美はリカちゃん人形みたいに可愛くてスタイルが良くて、心休まる素敵な目をした女の子。

性格も優しくていろんな人に気遣い出来て、嘘をつかない子。

だから、その魅力にたくさんの男の子、男の人は気づく。だから少し前だって坂本くんや竜胆先輩、他の子も告白していた。

誰だってこんなにいい子と付き合いたい、自分のそばで大切にしてあげたいって思うよ。


けどさ、その思いが結美にとってはとても煩わしいものだったんだ。

結美が小学校の4年生の時、学年で一番モテるケンヤくんに告白された時に他の女子が結美を嫌がらせで体育館倉庫に閉じ込めた。


結美はケンヤくんを振ったのにも関わらず、その子たちは怒っていた。


『何様なの?』って。


私は別のクラスで結美が来るのを待っていたから、全然気づいてあげられなかった。

ずっと教室で待っていたけど、警備のおじさんに帰りなさいと言われてしまっても玄関で待っていた。

けど結美は来なくて…、

でも毎日一緒に帰っていたから外が真っ暗になっても待っていた。


すると、警備のおじさんと目を腫らした結美が一緒に歩いてきた。


結美に話を聞こうとするけど、すぐには教えてくれなかった。


次の日から私が結美の教室に行くことにしたら、結美のクラスの女の子が結美のランドセルを何回も力強く踏んでいた。


その時近くにいたケンヤくんのグループもそれを見て笑ってた。


そんな風に簡単に心変わりする奴になんか結美は惚れないし、私はそう言う奴から結美を守ろうってこの時思った。


私は力も強くて、背も大きいからランドセルを踏んづけていた子の頬骨にヒビを入れてしまった。


先生や校長先生、その子の親にもたくさん怒られたけど私は全部の事実を話した。

けど、顔に怪我した子の話しか信じない大人ばっかりだった。


私のパパとママがずっと頭を下げて謝ってる。

私、間違ったことしてない!って言ってもパパもママもずっと頭を下げていた。


なんで謝らなきゃいけないんだろう?

なんで本当の事を言ってるのに信じてくれないんだろう?

私、嘘なんかついてないのに。


心のモヤモヤが気持ち悪くて、なんとか晴らしたくて、その教室から私は飛び出した。


すると結美が教室の前にいた。

結美はずっとここで涙を流してたらしい。


なんであんな事をされていたのか、校舎裏に行って全部を教えてくれた。

やっぱりみんなが間違ってる。

私はもう一回、結美から聞いたことも含めて話に行こうとしたけど結美が止めた。


結美は『もういいの。私が悪いの。』と言ってたけど私は納得できなかった。

なんで悪くない結美が泣いて、悪い人たちが笑顔なんだろうって思った。


その日から四年生が終わるまで、私と結美は学校を行くのをやめた。

私の親も結美の親も私たちの言葉を受けれてくれて、ドリルやプリントはちゃんとやる約束で約一年間学校に行かなかった。


その後五年生になった後はずっとクラスが一緒で、誰かが告白しても結美を傷つける子はいなかった。


でも新しく中学に入ると、また結美が傷つけられる。


昨日まで仲良く話していた子達が一斉に次の日から結美を無視する。

結美は何一つ悪いことなんかしてないのに。

自分の憂さ晴らしのためにそう言う行動をする人たちが気持ち悪かった。


私はいつも通り結美と一緒に学校に行き、お喋りしたり、部活をしてるとある日結美を無視してた子達に呼び出された。


『なんであんなぶりっ子と一緒にいるの?』だって。

私は結美の良いところをたくさんその子たちに教えてあげたけどずっと顔を歪ませていた。


『それも全部計算だって。あんたも友達いなくなるよ?』って言っていたけど、友達って全て同じ意見じゃないといけないの?そんなのコピー人間じゃんって言ったら肩を殴られた。

けど、前みたいに手を出したらパパとママに頭を下げさせることになってしまうからそのまま私は教室に戻っていつものように結美と帰った。


誰が誰を好きになろうとその子の勝手だし、

好きのタイミングは人それぞれだし、

付き合っても中身を成長させないと振られるってパパが言ってたから私はみんな怒る所間違ってるって思うし、まず人に当たる時点でおかしいんだよね。


そんな自分勝手な人たちに結美は振り回されて本当に辛いと思う。

でも私と一緒なら大丈夫。

私はずっと結美のあの笑顔が見れるなら、いつだって盾になる。


パパもママも親戚のおばさんも結美も他の子もみんな大好きだけど、結美はもっと特別な感じ。

だからソウルメイトかなって私は思うんだ。


特別な存在な結美だからこそ、そんな寂しい顔をしてほしくないんだけど一体何を悩んでるんだろう?


絢愛「結美、なんでも言ってよ。結美は私の中で一番特別な存在なの!だから一人で悩まないでほしい。」


結美「え…。…ありがとう。」


結美の目が潤み、結美は小さく縮こまる。


少し落ち着いたのか私の方を見てニコッとして話をしてくれた。


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