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戦士ステラ   作者: 安田けいじ
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アルデバラン謀反①

 シリウス王の時代から、議長アルデバランは、ライト王国の王になりたいという野望を持っていた。

 シリウスの死後も実権を握れなかった彼は、その勢力を拡大しながら機会を伺っていたのである。


 ネーロ帝国との戦争が終わり、女王派の兵士が手薄になった今が好機と、クーデターを起こしたのだ。


 彼は、まず、女王アンドロメダの身柄の確保に動いた。不意を襲われた女王達は、懸命に応戦したが、多勢に無勢で、戦いは直ぐに終わった。

 

 この戦いで、ハダル大佐は女王の盾となって壮絶な死を遂げ、アレク将軍も負傷し、女王と共に王宮の地下牢に囚われの身となった。


 アルデバランにとっての脅威は、ユウキとステラの存在だった。無敵の彼らを抑えるためには、女王拉致しか方法は見つからなかった。


 特設の地下牢は、シールドが何重にも張り巡らされ、周りにはおびただしい数の兵士が固めており、それこそ蟻の這い出る隙も無い厳重さとなっていた。



 レグルスの軍三千は、ライト王国から数十キロ離れた無人島に下り立っていた。首都の海岸線はアルデバランの兵が固めていて近付けなかったのだ。


 レグルス達は、待っていた配下から、女王とアレク将軍の拉致と、ハダル大佐の戦死を聞かされた。


「ハダル大佐、惜しい人を……」


 サルガスが肩を落として涙ぐんだ。彼とハダル大佐は馬が合って、よく冗談を言い合う仲だった。


「ハダル大佐は、お母さまを命を懸けて護ってくれたんだわ。お母さま大丈夫かしら……」


 ステラが案じ顔で、姉のアトリアを見た。


「大丈夫よ。お母さまの命は、そのままアルデバランの命でもあるから、簡単に殺したりしないわ」


「その通りです。ここは、敵に気取られぬように、少数精鋭で王宮へ向かった方がよろしいでしょう」


 レグルスは、兵士達に待機するよう指示を出した。


「ユウキは、呼ばなくていいの?」


 ステラがレグルスに言うと、彼は空を指さした。


「彼ならもう来ています。ユウキ、姿を現して下さい!」


 レグルスが声を掛けると、ユウキが、ステルスモードを解除して、空から下りて来た。


「あなた、ロータス様に許可を頂いたの?」


「うん、向こうに僕の仕事はもうないからね。ロータス師匠に無理を言って、追いかけて来たんだ」


 ユウキが加わり、首都奪還の陣容は万全の体制となった。


 夜の帳が下りると、レグルスを先頭に、ステラ、ユウキ、十剣士、アトリアの十四名は、ステルスモードとなって、王宮目指して出発していった。



 一方、アルデバランは王宮の王座に座り、息子のデネブとワイングラスを傾けていたが、彼の心中は穏やかではなかった。


(女王を助ける為に、あのステラが、そしてユウキが必ずやってくる。女王を人質にして彼らを支配できなければ、すべて終わりだ……)


 アルデバランは不意に立ち上がり、恐怖を打ち払うようにグラスを床に叩きつけると、戦闘スーツを身に纏った。


「デネブ、地下牢の警護を怠るな!」


「父上、さっきからもう三回も同じ事を言っていますが……」


「えっ、そうだったか……。お前はステラ達が怖くないのか?」


「怖い? 今は、女王を人質にしている此方が有利ではないですか。あのステラ達に、一泡吹かせられると思うと、喜びしかありません」


「……」


 アルデバランは、息子デネブの考えが読めず、諦め顔で部屋を出て行った。



 レグルス達は、夜中の零時を回った頃、王宮に辿り着いていた。ユウキが、レグルスに女王の居場所を探すように言われて、王宮内を透視していると、


「居ました! 地下牢の中です。シールドで何重にも守られている上、大勢の兵士が周りを固めています」


 ユウキは、スーツを介して皆にその映像を見せた。


「なるほど、これでは正面からの救出は無理ですね……」


 レグルスの顔が一瞬曇った。


「レグルス様、私とユウキのスーツには次元移動装置が付いています。一旦、他次元へ移動して、戻る場所を牢に設定すれば、あの牢の中に直接入る事が出来ます」


「そうか、その手がありましたね。でも、空間を移動できるスーツは二つ、牢に行ったところで、帰れるのも二人。貴方達が帰れなくなるのではないですか?」


「スーツは、コスモの力で遠隔操作できますから問題ありません」


 ユウキが説明すると、レグルスの顔に安堵の色が浮かんだ。


「分かりました、それなら、行ってもらいましょう」


 ユウキとステラが次元移動装置を起動すると、彼らのスーツは光とともに消えた。



 二人が牢に着くと、倒れこんでいるアレクを、アンドロメダが介抱していた。


「お母さま! お怪我はありませんか?」


 ステラの声に、振り向いたアンドロメダは、目を丸くして二人を見た。


「ステラ、あなたたち何処から……。アレクが負傷しているの、見てあげて!」


「はい」と、ステラがアレクに駆け寄った。


「お兄様、しっかりして下さい!」


 アレクは、背中に深い傷を受けていて、かなり憔悴していた。ステラが抱き起そうとすると、


「私はいいから陛下を……」


 彼は、女王を気遣いながら、気を失ってしまった。


 ユウキとステラは、アレクの傷の手当てをすると、自分達のスーツを二人に着せ、レグルス達が待つ場所へ次元移動装置を起動させた。





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