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いつかまた
繊細な
糸を紡いで
静寂を 一人の中で 縫い合わせても
他は皆 馬を罵り 鹿を見て
モミジを散らす 冷たい風は
前までを超す 冬の北風
あの黒の
烏は群れで 一匹を
本気で追って 鷲たちを食い
弱肉と 常に現る せせらぎを
飲もうとすれば 飲まれ返され
水のほとりも 猛獣に
努力など
あって無くされ 腐らせて
表現という 言の葉たちを
今はまだ 持ち合わせんと いうけれど
きっと光ると 宝玉のもと
綿の布巾で 磨き上げ
いつかまた
ああいつかまた いつかまた
この場で光る この宝石が
いつかまた そういつかまた いつかまた
私の知らぬ 君がいる
誰も知らない 君がいる