あなたが先に逝くならば、私は桜になりましょう
ある日、世界中に蟲が現れた。
言うならば巨大化した虫。その蟲は人間を襲った。
何処から現れたかは判らないが、ただ一つ判明している事があった。
それは人間を食料としていることである。
蟲は強く、硬かった。
その表皮は銃どころかミサイルをも跳ね返した。
その繁殖力は凄まじく、一個の卵から多くの蟲が新たに生まれた。
各国は対応に追われたが、良い結果を出すことはできなかった。
そんな時、とある国の軍人が人類に一握の希望を残した。
折れた蟲の爪で蟲の表皮を容易く切り裂いたのだ。
その軍人はその身を虫に齧られながらも叫んだ。
「誰か、聞いているか?! 目には目を! 歯には歯を!! 蟲には蟲だ!!!」
その言葉を最後に軍人は蟲の餌となった。
しかし、運よく生き残った軍人の仲間がその情報を国へ持ち帰ったのだ。
その情報はすぐに国家間で共有され、研究課題となった。
まずは、蟲の表皮の採集。”蟲の素材”と呼ばれるようになる蟲の身体の回収から始まった。
その素材から作られた弾丸を用いて蟲を駆逐することに成功した。
初めて、人類が蟲に勝利した瞬間であった。
その日から、本当の意味での人間と蟲の生存戦争が始まったのである。
某国、軍部。
そこには「桜」と呼ばれる部隊があった。
蟲の表皮でできた鎧を身にまとい、蟲の牙や爪を武器として蟲と戦う戦闘部隊。
鎧を纏いし姿は美しく、また、その命散る時は花が散るごとき。
己の全てを蟲を駆逐することに捧げる人間が集まった軍部特殊部隊「桜」。
ようやく15歳となった少女、”聖月”。
彼女の物語は、その「桜」への入隊から始まる。
「あんたが新入りかい? 名前は聖月、ね。まぁ何度か生き残ったら覚えてやるさ。」
そう言い放った隊長は聖月のプロフィールが書いた紙を机に放り投げた。
聖月が「桜」へ入隊して隊長へ挨拶してからの第一声がそんな言葉であった。
だが、そんなことにいちいち腹を立てたりはしない。
この隊長が言っている事に一つの間違いも無いからだ。
「はっ。奴らの駆逐に全力を尽くします。」
隊長はそんな聖月に、それで良い、と笑いかける。
「早速出撃だ。今日の午後、この地点に集まっている蟲共を駆逐。できるならば素材も回収する。
まずは敵を減らす。それが私達の役目だ。」
聖月は目礼で応える。そんな聖月を見て隊長は不敵に笑う。
「まだ15だってのに、出来上がってるじゃないか。準備しときな。」
聖月は短く返事を返し、隊長室を後にする。
そんな聖月を見送った隊長は軽く舌打ちをした。
「あんなガキを戦場に送り出す、か。地獄が本当にあるなら誰がそこに落ちるんだか。」
すでに齢30を超えている隊長が文字通り親子ほども年が離れている少女と共に戦う。
仕方のない事と理解はしているが、納得できているわけではなかった。
「・・・言われるまでも無い。私には立ち止まっている暇なんか無いんだ。」
聖月は蟲を憎んでいた。
姉が侵されている病の原因となった蟲の存在そのものを憎んでいる。
五つ年上である聖月の姉、"静"は、蟲が撒き散らした毒素で治療不可能な病となった。
普段の生活に支障は無い。だが、少しづつ弱っているのだ。
本来であれば愛する男性の元に嫁いで子供をその手に抱いていたはずだ。
しかし、「蟲から病を受けた」という評判はこのご時世では残酷なほどに静から人を遠ざけた。
密かに思いを寄せていた男性に拒絶されてから静は結婚を諦めた。否、人生を諦めた。
それでも命を絶つという選択肢を選ばなかったのは両親と妹からの愛情に気づいていたからであろう。
そんな静だからこそ、聖月が軍部に志願すると聞いた時に大反対したのだ。
だが、聖月の決意は硬く、止める事は出来なかった。
何故に聖月が軍部の、それも一番の危険な「桜」への入隊を希望したか静は判らなかった。
「言えるはずが無い。蟲を倒せば姉様を助けられる方法が見つかるかもしれない、なんて。」
これが聖月が蟲と戦う決意をした理由である。
目には目を、歯には歯を、蟲には蟲を。
そう、蟲から受けた病ならば蟲の素材を用いて姉を治療できるかもしれない。
僅かな可能性でしかない。いや、その可能性すら無いのかもしれない。
だが、何もしないという選択肢だけは選びたくなかった。
「姉様のために戦う。私はそれでいいんだ。」
家族のために戦う。単純だが、それでいい。
余計な事は考えない。それだけで、生き残ってみせる。
支給された甲冑を身に着けながら思いをはせる。
現在時刻は11時。軽く昼食を取ったら出撃だ。
「絶対に・・・許さない。」
甲冑を付け終わった聖月は最後に刀のような武器を手にする。
幼少時より姉と共に学んだ刀剣術。
それで生き物を斬ることになるなど考えたことも無かった聖月であった。
初陣から一年が経った。
どれだけの蟲を屠ったか、どれだけの戦場に出撃したかは覚えていない。
その間に隊長が3人変わった。後輩もできたが、半分も残っていない。
この戦場から戻ったら新しい隊長が来るだろう。3人目の隊長も腰から上を齧られた。
「つうわけで、お前を副隊長に任ずる。」
基地に戻って早々、聖月は地方司令官より、そんな辞令を受けた。
「命令とあらば。・・・と言いたいのですが、さすがに16歳で副隊長というのはどうなんでしょう。」
通るはずが無いのは分かっているが、反論はしておく聖月であった。
「なんだかんだで一年も生き残ってる。その実績がありゃ十分だ。
給金も上がるし、お前の欲しいモンも手に入りやすくなる。」
その言葉に聖月は眼を細めた。
「お~怖い怖い。まぁ、悪気はねぇよ。
最年少ながら一年も生き残った有能な「桜」の隊員。多少の調査は入るもんだ。」
聖月は溜息をついた。話はこれで終わりである、とばかりに。
「改めて、副隊長を拝命いたします。」
「うむ、しっかり励んでくれ。あぁ、副隊長には個室と侍女が用意される。
ああ、断った時点で侍女は解雇だ。そういうところで回る金もある。
納得はしなくていい。理解したら受け止めてしっかり使え。」
無いか言おうとした聖月を地方司令官が先んじて止める。
「ここだけの話、犠牲者は多いが「桜」の実績は他の追随を許さない。
俺より上も期待してるんだ。頼むぞ。・・・以上だ。」
それだけ言うと地方司令官は自分の基地に戻っていった。役目柄、忙しいのであろう。
「私が副隊長、か。」
副隊長用の部屋の場所は覚えている。あまりにも副隊長の入れ替わりが激しいので使われていない部屋だ。
今まで使っていた部屋で私物をまとめ、副隊長用の部屋に向かう。
基地の二階奥にある副隊長室。ここが新しい部屋か、と入ろうとしたら部屋の中に人の気配があった。
・・・少し考える聖月であったが先程の司令官との話を思い出し、部屋の扉を開けた。
そこにいたのは侍女服に身を包んだ自分より少し若い女子であった。
「はっ、初めまして! 侍女を務めることになりました葵と申します!!」
緊張しているのか声が上ずっている。
「聖月だ。先程副隊長の辞令を受けた。まさか、部屋の主より早く部屋で待っているとは驚いたが。」
からかうように言い放つと葵の顔が真っ青になった。
「もっ、ももも、申し訳ございません。
副隊長様がいらっしゃる前に部屋を綺麗にしておこうかと思いまして。あぁぁぁ~。」
まるでギリギリまで膨らんだ風船のようだ。もう少し空気を入れたら破裂どころか爆発しかねない。
「冗談だ。私も副隊長になったばかりで勝手が判らん。
訳のわからない指示を出すかもしれんが、よろしく頼む。」
「あうあうあう。わかりました。改めて宜しくお願いしますぅ~。」
「すまんが、少し一人になりたい。葵は自室とかがあるのか?」
「あ、はい。えっと、お茶なんかを御用意しようかと思ったのですが・・・。」
遠慮がちに葵が聖月に尋ねる。が、
「今日は気持ちだけで良い。色々と考えをまとめたいのでな。すまぬが今日は一人にしておいてくれ。」
「かしこまりました。御用がありましたら、内線114でお声がけ下さい。では、失礼いたします。」
葵が部屋を出るのを確認して、聖月は深く息を吐いた。
「私より若い侍女を用意してくれたのかな。」
そう呟くも、すでに聖月の思考は家族・・・姉の事へと移行していった。
たった一年、されど一年。自分なりに必死に生き抜いてきた。
しかし聖月の目的は敵わない。否、遠ざかっていた。
姉が、床に臥せる時間が増えてきたのだ。
ぱっと見ただけでは普段と変わらないように見える静だったが、徐々に線が細くなっているのだ。
(・・・それでも姉様の美しさは変わらない。)
聖月は遠くを見つめながら姉の姿を思い浮かべていた。
確かに病には侵され、弱っている。
だが、手紙に同封されている写真に映る姉の美しさは増しているとさえ思っていた。
(私は、姉様を愛している。)
聖月は自分の感情を、常識的に考えれば異端であるその感情を素直に認めていた。
同性愛ではない。粘膜的な愛ではない。唯々、一人の人間として姉に想いを寄せていた。
姉への思いに初めて気づいたのは何時の事だったか。
初めて蟲に殺されかけたときか。二人目の隊長が姉に興味を持ち、一緒に家に行った時か。
そう、姉のために戦っていた聖月はいつしか姉を愛する自分を確立するために戦っていた。
そこに矛盾は無い。
蟲を殺せば愛する姉を助けることができるかもしれない。
蟲を駆逐すれば、少なくとも姉が蟲に害されることも無い。
もう聖月は死ぬことを恐れてはいない。それ以上に姉を失う事を恐れるようになっていた。
(蟲を駆逐できるなんて思ってはいない。だが・・・)
自分が生きている間は狩り続けてやる。
新たに決意した聖月は眼を閉じた。
それが、蟲を殺し続ける事が彼女にできるただ一つの事であるのだから。
蟲の巣で刀を手に舞い続ける「桜」が一人、聖月。
彼女は隊長を務めていた。
副隊長になってから二年、気が付いたら部隊の最古参の隊員となっていた。
副隊長の辞任をよこした地方司令官も蟲との戦いで帰らぬ人となっていた。
そして、姉が床に臥せたまま目を覚まさない時間が増えるようになっていた。
聖月が家に帰っても、姉の声を聴ける回数が減っていた。
伏せる姉を目にするたび、姉への想いが募るのを自覚していた。
笑ってほしい。声を聴きたい。その手で触れてほしい。
男に恋をしたら、同じような感情を抱いたのだろうか。
だが、聖月は頭に浮かんだそんな可能性を即座に否定した。
副隊長から隊長になるまでの間、家や上の方から幾度か見合いを打診された。
多大な功績を挙げたのだから、戦いから身を引いて家に入ったらどうだ、と。
だが、聖月はそんな話を全て断り続けてきた。
確かに十分すぎる金銭は得た。
姉の延命治療費を払い続けてはいるが、預金通帳の残高を確認しなくなった。
「桜」の挙げた功績、つまり倒した蟲の素材で次々に有能な装備も開発されている。
聖月の名を知らぬものはいない。そう言われるほどに戦い続けてきた。
だが、それでも足りない。
姉を助ける。
聖月は、その一念で刃を振るい続けてきたのだ。
今更、どこの馬の骨とも知れぬ男と添い遂げるなど意味がわからない。
どんなに蟲に対する有能な装備ができても、姉を治す方法が見つからなければ意味が無い。
ただ、足りない。
そんな中、発見された蟲の巣の攻略作戦が行われることになった。
国中から集められた精鋭部隊で突入し、巣を破壊する。
その精鋭部隊名は「桜花」。数々の偉業を達成した「桜」にちなんで命名された。
至極単純で過去最高の作戦に当然「桜」も参加する。
「桜」の役割はただ一つ。全部隊の正面で蟲の群れに穴を開ける事。
「桜」の開けた穴を別部隊が広げて、更に別の部隊が分断し、各個撃破。その繰り返しである。
蟲を駆逐しながら進むが、当然「桜花」の被害も時間と巣の攻略が進むたびに増えていく。
いつのまにか穴を開けて分断、という当初の戦術は実行できなくなった。
巣の各地で乱戦となっていったのだ。そうなると個が強い蟲の方が有利である。
だが、数が減っても「桜花」は精鋭部隊。そう簡単に蟲には負けなかった。
少しづつ巣の攻略は進んでいったのだ。
巣の攻略開始から数時間。
聖月は一人で蟲の女王と対峙していた。
「桜」の隊員の姿はすでに無かった。
はぐれたか、それとも死んだか。しかし、隊長でありながら聖月は隊員の事を考えたりはしない。
目の前に、蟲を生み出す女王らしき蟲がいるのだ。部屋のそこらに蟲の卵らしき物体がある。
その戦闘力はどれほどか。護衛役の蟲がいるのではないか。そもそも、本当に女王なのか。
様々な疑念が浮かぶが、その全てを意識的に遮断する。
余計なことは考えなくていい。
永くは戦えない。刀には罅が入り、全身に纏っていた鎧は半ば吹き飛んでいる。
ここに辿り着くまでに、どれだけの蟲を屠ったか分からない。
ここに辿り着くまでに、どれだけの仲間を失ったか分からない。
ここに辿り着くまでに、どれだけ姉の事を考えながら戦っていたか分からない。
今、すべき事は、ただ一つ。
刀を握りなおすと聖月は女王蟲へ向かって、駆けた。
聖月が女王蟲と戦い始めてどれだけの時間が経ったか。
持っていた刀は半ばから折れて使い物にならず、途中から切り落とした女王蟲の体の一部で戦っていた。
その戦法も限界に近い。何より、聖月の身体が限界に近い。否、限界を超えていた。
立っているのが不思議なくらい、身体は傷ついている。
だが、それは女王蟲も同じであった。
クワガタのようなハサミで、ハチのような針で、カマキリのような鎌で聖月に襲い掛かった。
自身の目の前に立っている種族はエサでしかない。女王はそう考えていた。
いつもは給仕役の蟲が餌を持ってくる。それを平らげるだけだった。
だが、たまには自らエサを取るのも悪くない。
そんな考えで聖月に襲い掛かった女王は、すぐにその浅い考えを後悔することとなったのだ。
ハサミを弾き、針を躱し、カマを切り落とされた。
すぐに女王蟲は考えを改めた。これはエサではない。敵だ、と。
母親の本能で我が子の敵だとも認識した女王蟲は本気で駆逐すべく動き出した。
そんな女王の様子に気づいた聖月は自身が笑っている事にきがついていなかった。
なんだ、今更、私の事を『敵』と認識したのか、と。
「桜」に志願したあの日から、全ての蟲を敵だと認識して戦ってきた。
初めは世界の為、国の為、家族の為、だった。
だが、その思いはいつしか姉のためになった。
その思いに気が付いてから苦しくなった。
姉がいなくなった世界に意味なんかな無い、と。
蟲を殺して自身が生き残れば姉が喜ぶ。蟲の素材で姉の病が治れば両親も喜ぶ。
姉様に元気になってほしい。元気な姉様に笑ってほしい。そう、その笑顔を私が取り戻すんだ。
だが、それもここまでだと聖月は無意識に思い始めていた。
過去に何度も死にかけたが、今ほどの危機ではなかった。
確かに女王も傷ついては要る。だが、私の損傷はそれ以上だと。
そんな聖月の取った行動は至極簡単な事であった。
手に持っていた女王の一部だったものを放り投げ、腰に差していた折れた刀を抜き、構えたのだ。
「決着だ、女王よ。」
言葉が通じるとは思っていないが、聖月は言わずにはいられなかった。
長年の実戦で鍛え続けてきた自らの剣術。
次の一撃で仕留めることができなければ、この女王には勝てはしない。
その思考に到達した聖月は折れた刀を構える。
それに呼応したかはわからないが、女王蟲も前掲姿勢を取った。
そんな女王を見た聖月は、今度は意識して笑った。
空気が張り詰めていく。集中しているのがわかる。
雑音が聞こえなくなり、戦意は女王蟲だけをとらえる。
だが、そんな最終局面でも聖月の心を姉への思いが占めていた。
余命幾許も無い姉。もしかしたら、この戦いの間に命を落としているかもしれない姉。
姉を治すために戦うのだから、絶対に姉より先に死んではならない。
そう思い、戦いに身を投じながらも生き残ってきた。
だが、この戦いだけは、そんなことを言ってられない。
聖月は無意識に想いを口に出していた。
姉様、と
「あなたが先に逝くならば・・・」
聖月の発したその声が、決着への掛け声となった。
女王蟲が聖月に向かい突進したのだ。
その女王を、聖月は、ただ、迎え撃つ。
「私は桜になりましょう!!!」
エピローグ
世界中に現れた蟲は、ほぼ駆逐された。
蟲の巣を構成していた物質が蟲の身体を素材とした装備よりも蟲に効くことが判明したからだ。
初めて巣の攻略に成功した某国から提供された巣の素材により、全世界の巣が攻略されたのだ。
あとは、蟲の残党を屠るのみ。志願兵はその任を解かれ、各国の軍が残党狩りをすることとなった。
女王巣攻略部隊「桜花」
某国の精鋭部隊が巣の攻略を世界で初めて成功させてから、数十年の月日が経った。
蟲に荒らされていた町は復興を済ませ、蟲の駆逐で一つになった世界各国は平和な日常を過ごしていた。
そんな平和を取りもどした国のとある家で小さな子供たちが祖母に話をせがんでいた。
「おばあちゃん、あのお話してぇ~」
老婆は自らの孫達からの願いに笑顔で答えた。
「わかったわかった。また、「桜」のお話だろう?」
孫たちは笑顔で頷く。
家の縁側に孫たちを座らせた老婆は、一冊の本を出して、孫たちに話を始めた。
「・・・というわけで、これが「桜」の最後の隊長さんのお仕事でした。
さぁ、これでお話はおしまいだよ。そろそろお昼寝の時間だろう?」
お母さんに怒られるぞ、と言うと皆が素直に寝室に向かう。
本当に平和になったものだ。本を閉じた老婆は心の底からそう思った。
老婆は取り出した本をしまうと、同じ本棚にあった一冊のアルバムを取り出した。
そのアルバムに貼ってある一枚の写真。
色褪せた写真には四人家族が映っている。
椅子に座る美女。その隣に立つ「桜」の戦装束に身を包んだ少女。
二人の後ろには両親らしき男女が立っている。
「この写真を撮った時は、ここまで生きられるとは思ってなかった。
・・・貴女にどれだけ感謝すれば良いのかしらね。」
届くはずが無い。答えが返ってくる事も無い。
しかし、老婆は問わずにはいられなかった。




