表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/83

マジック・オークの行方

 オーク戦士が走るより、象の全力疾走の方が速い。だがパンクラチオンを修めたモグイ族はそれよりずっと速く移動できる。


 モグイ族の飛脚十数人を率いたウファーゴ王の秘書ドルメンの輜重隊は、スピネイルとハイゼが戦士達と共に野営地から出撃した直後に到着した。


「ただ今戻りました。陛下。御所望の砲撃槍一門、新たな爆石一箱、糧食その他、全てお持ち致しました」


 野営地のすぐ前、出撃した戦士達を観察できる位置で、トゥラク率いる王国軍部隊に護衛されていたウファーゴは、目の前に跪き報告する秘書に応えた。


 ドルメンの後ろでは、同じように膝をつくモグイ族の飛脚たちがいる。彼らを挟むように井桁に組まれた棒の上に荷台が収まっている。


 一同の前で荷台の覆いを外して中身を検めさせたウファーゴは頷いた。


「うむ。ではトゥラク殿、インファ殿、行こう」

「は! お任せください」

「お伴致しますわ。ドルメン、皆を象騎兵の元へ」


 輜重隊は自分たちが運んできた荷を、あらかじめ準備していた象騎兵部隊の元まで改めて運ぶ。そして待機していた象騎兵たちがそれを像の背に乗せた。


 ウファーゴ王も自らの象に乗ると、王になってから作らせた、絢爛な飾り細工の施された戦斧を掲げて言った。


「行くぞ! あの丘を登るのだ!」


 野営地を出発した象騎兵部隊は、戦士達が目指して進む連合軍の城壁ではなく、そこより南にある丘を目指した。象使いが鉤尺を振るい、懸命に象を走らせると、象たちは嘶きを上げて歩を速めた。


 戦士達よりもずっと早い象騎兵部隊は、丘を回って登れそうな斜面を見出し、上り始めた。多少の木はなぎ倒して進む。


 丘の頂上に達すると、部隊は砲撃槍の準備に掛かった。象の間で砲撃槍が固定され、視界を遮る枝を払う。


 見晴らしがよくなると、そこからは城壁の上が良く見えた。残念ながらそこから連合軍の野営地も見えたものの、遠すぎる。


 とはいえ、壁とその上に陣取る敵戦士さえ撃退できれば、あとはハイゼたちが何とかしてくれる。ここは絶好の打ち下ろしが期待できた。


「発射準備、急げ!」

「発射準備できました!」

「報告! 巨大な火の玉が見えます!」


 目標を監視していた者が叫ぶ。この距離からでも見えるほど大きな火の玉が壁の上に出現している。


「よし、まずはあれを狙え!」

「了解! 発射角度を上げろ!」

「発射角度上げ! よし!」


 その砲撃槍にはそれまで使用していた物と少しだけ違いがあった。象の間に据え付ける装置が改造されていて、ある程度角度を変えることが出来るようになっていたのだ。それまでのものはほぼ水平にしか発射することが出来なかった。


 仰角を付けられた状態を、象の背に移ったドルメンが確認すると、彼はそれを見ながらしばし考える。

「象を二歩下げて下さい」


 象使いが像を動かす。二頭同時に動かさねばならない困難な指示だが、象は素直に動いてくれた。


 ドルメンはウファーゴ王の秘書官として様々な技能を持っている。帝国の有職故実の知識、パンクラチオンによる運動能力、それに秘書として最も大事でオーク諸族の不得手な、複雑な計算能力である。


 ドルメンはその位置から発射された爆石の衝撃波が、確実に大火球に着弾すると計算した。


「問題なし。発射して下さい」

「発射する。皆耳を塞げ!」


 全員が耳を覆ったと同時に、象騎兵が装填した爆石を起動させる。


 空気を震わせる衝撃音と共に無色透明な破壊の力の波が、砲撃槍の向けられた先へ放たれた。


 発射して数拍、遠くに見える城壁の上で輝いていた大火球が破裂するのが確認できた。


「着弾しました!」

「よし! いいぞ!」


 ウファーゴ以下砲撃槍の運用要員の皆は成果を等しく喜んだ。


 だが、まだまだ仕事は残っている。


 ウファーゴと、彼の指示を受けるドルメンは砲撃槍を城壁そのものに向け、本格的な砲撃を開始する。

 遠くに小さく見える城壁へ発射される衝撃波が次々に着弾し、分厚い壁面を大きく削っていくのが見えた。


 運用が安定したのを見計らい、トゥラク隊長とインファは周囲の探索を始めた。象騎兵たちとウファーゴらに作業へ集中させるためであり、彼らを守るのが二人の仕事だ。


 一同が上ったこの丘は原野側に向けてかなりきつい勾配が付いていたが、別方向へはなだらかな斜面が広がっていた。


 そこで二人は奇妙なものを発見する。


「これは……」

「如何した? インファ殿」

「あそこの木々の下、随分と荒らされておりますわ」


 インファが指示したのは原野側の急峻な部分で、なるほど、密集して生えている木々の根元の広範囲が、まるで大人数で踏み荒らしたようになっていた。


「もしやこの辺り、つい最近まで人の手が入っていたのでは……?」

「はて、この原野は長らく戦場となっていた地。樵の類が居たとも思えませんな。とはいえ、人の痕跡があったなら、他にも何かあるかもしれませんな」


「ええ。もう少し、調べてみましょう」


 二人は丘に生えている木々の間を巡って探索した。すると、あちこちに人……それも、どうやらオーク諸族らしき痕跡が見つかった。糧食としている炒った黒麦粒などの食料の滓が残っていたり、小さな焚き火の跡があったりした。


 だが、それが何を意味するのかまでは分からなかった。


 さらに新たな発見もあった。血痕混じりの、何か重いものを引きずった跡があったのだ。それは丘を東へ向けて進み、原野から離れていっている。


「何者かがこの丘を占めていたようですな。そしてその者はここから遠ざかって行っているのかもしれません」


「そのようですわね……」


 インファとトゥラクに分かるのはそれくらいのことだった。少なくとも、今すぐにウファーゴ王に害をなす要因とは思われない。


 一体、誰がここに居たのだろうとインファは考えた。上流山岳域に住んでいるオーク諸族の一派かもしれないし、更なる東方にすむ四つ足遊牧民かもしれない。どちらにせよ、判断する材料が少なすぎた。


 彼らは、この闘いに乱入したレイ・オークたちのことを知らない。


 

 炸裂自爆した極大火球により、城壁の上にいた連合軍戦士達は大混乱していた。それを無駄にする王国軍ではない。


 最初の一人が上に上がり、また一人上がる。そうして数人が上がったところで、それまで彼らを守ってくれていた大布をはった指物を梯子代わりに据え付けると、一挙に登攀者が増えた。


 さらに遠方から飛び、頭上を越えて城壁に着弾する砲撃槍の攻撃が、戦士達を後押しした。


「敵は混乱しているぞ! いまだ、掛かれー!」

「うおおお!」


 あっという間になだれ込んだ王国軍戦士と、彼らを迎え撃つ連合軍戦士の戦場になった城壁の上だったが、爆石や手斧しか持ってない連合軍戦士が圧倒的に不利であった。至近距離では爆石は使えない。


 スピネイルが放つ鎖分銅が生き物のように頭上を飛び、手斧を振り上げていた戦士の頭を砕く。


 誰かが鋼鉄の蛇だ、と叫んだ。それはいい表現だ、と思った。


「どうした! お前たちも戦士なら、私と戦って見せろ!」


 スピネイルの手から飛んだ鋼鉄の蛇に恐れおののく一方で、それを背に突進する戦士らの最前列でハイゼが重槍を振る。


 一人を切り倒した時、その脇から青肌のオークが胡乱な構えを見せた。


「そいや!」ハイゼはとっさの判断で重槍を投擲する。ダオ・オーク戦士は手の先に作った光を発射する間もなく胸を槍に貫通されてどうっと倒れた。


 すぐさま駆け寄り、槍を引き抜こうとしたハイゼだったが、そこに衝撃音の後に何かが体を霞めて落ちた。自身の愛器、大身槍だ。


 砲撃槍による攻撃で城壁の一部が打ち崩され、それによって吹き飛んだ槍が運よく手元に落ちてきたのだ。


 これは機運が向いてきたぞ、とハイゼは息巻くと、大身槍を引く抜く。


 一方に重槍、もう一方に大身槍を構えて吠えた。


「我こそはという者はおらんのか! お前たちの朋友、ウーは剛の者であったぞ!」


 無敵と思われたダオの壁に、圧倒的戦力で王国軍が殺到したことで、それまでこれを頼みにしていた連合軍戦士の士気がついに折れた。


「もうだめだ! 俺は帰る!」誰かがそう叫ぶや否や、その意志は戦士達に伝染していく。そうなれば、もう終わりだ。


 壁を見捨てて野営地へと引き下がろうとする戦士達を追撃してスピネイル達も壁を超える。連合軍の野営地は壁のすぐ近くに作られているので、入り込んだ戦士たちは天幕の狭間で逃げ惑う敵戦士を狩る狩人と化した。


 あちこちで悲惨な戦いが起こり、煌びやかな装束を身にまとった老壮のオークが討ち取られる一幕が起こった。


「もはやこれまで、のようですな」精も根も尽き果てた様子で老マタルは言った。

「よもやダオの魔術を、あのようなもので防ぐとは、余も考えつかなんだ」オークにしては整った顔立ちをしているリシンが眉間にしわを寄せ渋い顔をしている。


「急ぎ退却し、イルリューティスに下がりましょう。戦士達を集結させ……」

「もうよい、もう良いのだマサ。見よ」マタル・ユイは指さした。


 連合軍野営地の最奥部にある、この天幕に向けて近づいてくるツァオ族の戦士たちの姿が見え隠れしていた。


「もはや再起はできぬ。潔く降伏し、一族の安堵を獲得するべきだろう」

「しかし!」マサは食い下がった。

「我々は族長だぞ! 一門を守る、義務があるのだ!」老人の口から出だとは思えぬ覇気に若いヘオコ族の長の出鼻が挫かれる。


「そ、それは……」

「聖なる都イルリューティスへ引けば、確かにもう一度、二度と戦えるやもしれん。しかしその後、儂らに従う部族民はどうなる? 決して勝てぬ戦に付き合わせるのか? 負けたら最後、ツァオの長はそれらを全て奴隷とするかもしれぬ。部族の名は永久に消えさる……それは儂らのすることではない」


 そもそも、こうしてマサたちが決起したのは、部族の独立を守るため、部族民の自由を守るためであった。ただ戦うためではない。一個のオーク戦士なれば、身の破滅まで戦ってもいいだろう。けれど、マサもマタルも、それを許される身分ではない。


「……分かりました。ここに戦士が殺到する前に降伏しましょう。首だけでツァオの下にゆく前に」

「そうだな。……そして、リシン殿。お主は逃げよ。ブレッドヴァルへ帰るのだ」


 自分たちの戦いに巻き込んでしまったこの異貌のオークたちまで、王国軍に下る必要はない。そうマタルは考えていた。


「今ならまだこの混乱の中、迂回路を通ってヘオコの港まで逃げられるはずだ」

「……リシン殿。これまで私らを導いて頂いたことは、我らの誇りだ。決して忘れない。だからどうか、その身を大事に、今は逃げてもらいたい」


 二人の言にリシンは静かに頷いた。


「力になれず、余も苦しい。ここはそなたらに甘えることとしよう。どうか無事でいていてくれ。……では」


 最後の挨拶を済ませ、リシンは天幕を出た。集められるだけのダオ・オークを結集させると、手ずから放った雷光で土の仮宮を破壊し、天に向かって手をかざす。


 両手から出たのは水流だった。天に向かって発射された水はやがて雨雲に変わり、雨と風を呼び寄せた。急激に起こった風雨が太陽を遮り、薄闇を作った。


 壊れた天幕から失火が出た。火の手が忽ち起こったが、風にあおられ火が移っていく。ハイゼ達は追撃の手を一度止め、消火作業をする羽目になった。


 その過程で連合軍の中核をなしていたヘオコ族長マサ、ユイ族長マタルの身柄が確保される。


 連合軍野営地の掌握、並びに鎮火作業が完了した時、生きた青肌のオークたちはその姿を消していた。


 不思議なことに、突如の風雨は二人の族長が捕らえられた頃、陰形もなく消えたのだった。


 

 ブッフケルンとイルリューティスの中間地点にある、名もなき原野で起こったこの闘いを、後に人々は『ダオの戦い』と呼んだ。


 損害は王国軍側が死傷者一千七百、そのほとんどが近年になって勢力に加え入れられた新参の親族衆とそれに従う戦士たちであった。一方、連合側は死傷者二千人余り、逃亡者一千人余り、捕虜五百人。捕虜の中にはマサ・ヘオコ、マタル・ユイなど族長格の者が多く、逃亡者も折って身柄が確保されるものとされた。


 だが一方でリシン・ダオとその一党の行方は不明だった。


 当然、ウファーゴ・ツァオは自らに反抗した彼らを率いたリシンの行方を知ろうと手を打った。連合の本拠地であったイルリューティスにはマサ、マタル両名の鉄印入り降伏勧告が使者と共に送られたが、リシンの姿はなかった。


 両名に対して質疑応答も行われたが、二人は頑として口を割らなかった。彼らは族長であり、拷問などをして配下の部族民を刺激することは躊躇われた。


「一刻も早くリシン・ダオの行方を掴まねばならぬ」


 崩落一歩手前まで破壊されたダオの壁を前に、ウファーゴ王はつぶやく。


「捕虜とした部族長の所領へ降伏文書を持たせた使者が行き来しています。彼らからの報告を待ちましょう」


 スピネイルはそう言う一方で、不安にも駆られていた。


 リシン・ダオが自分が持っている刀に執心していたことが気になった。


 他方、王国軍は捕虜も動員して壊れかけたダオの壁の解体に掛かった。この忌々しい壁のために思いもよらぬ損害を受けた王国軍戦士たちは、怒りを持ってこの作業に取り組んだ。


 自分たちが頼りにし、そのために敗北した壁を解体するよう命令された捕虜たちは悔しさもひとしおだったが、係累諸共奴隷に落とされるかもしれないと思えば、唯々諾々と従うほかない。


 そうしてダオの壁が解体された。だが、オークたち、そしてそれに参加した帝国軍兵士たちはその姿を長く記憶に留めることとなった。


 数日後、王国軍は落城間近となったイルリューティスに向けて進軍しようかという矢先になって新たな報告が上がってきた。


「ヘオコ族の港だと?」

「ヘオコ族が有している漁港から先日、船が出港していったとの報告がありましたわい」


 部下から上がった情報を持ち込んだハイゼの言葉である。


「マサ・ヘオコは何もしゃべらなかったな」

「沈黙は罪ではありませんぞ。リシン・ダオへの手向けでありましょうな」

「船の詳細は分かっておるのか? その……どの程度の大きさで、どれほどの人手が要り、どれほどの速さで進むのか」


 ハイゼは頭を掻いた。ウファーゴの思惑を計りかねているのだ。


「……王よ。リシン・ダオはブレッドヴァルへ帰ったのでしょう」

「そんなことは分かっておる!」

「では、何故あやつの動向をそれほどに気にしておられるのか?」


 控えていたドルメンが薬草巻きを王に差し出した。それを咥えながら王は話す。


「……リシン・ダオは北部部族連合に参加した族長たちの、鉄印の押された文書を持っておる。あやつは、半島に己の権利として多くの財産を持っているのだ。そしてそれはイルリューティスにある」


 このままイルリューティスを占拠して、中に収められた財宝類を接収することは容易い。


 だがそれを口実に、再びリシン率いるダオ族が半島のオーク部族社会に介入してくる可能性は、何としても摘んでおきたかった。


「リシンと接触し、奴の持っている文書を改定するよう交渉せねばならぬ。我はこれを期に、イルリューティス以南のオーク部族間の争いを終わらせるつもりなのだ」


「……なるほど。ですが陛下、リシンが港を発った、ブレッドヴァルへ戻ったとすれば、某らも何者かをあやつの島へ派遣しなければなりませんな」


「そうなるな。急ぎ人選と必要な物資の確保に掛かれ。ヘオコの港から船を接収するのも忘れるな」

「はっ!」ハイゼは生きり勇んで準備に向かった。


 この話はすぐにスピネイルの元へも届き、彼女は自分が使者になることを申し出た。


「形式上、私は第三国の将校です。使者として海を渡るにも、荷が軽い方が船足は早くなるでしょう。陛下、どうか私に行かせてはもらえないでしょうか」


 この大事な時にスピネイルを手元から手放すのは、ウファーゴとしても難しい判断だったが、彼はそれを了承した。


「お頼みしよう、スピネイル殿。ここに捕虜として捕え、また臣従した諸部族の鉄印を捺した文書がある。北部部族連合と、ダオ族との間にされた契約を再検討する権利を与えると書いてある。これを持っていくがよい」


 スピネイルは文書を受け取ると、すぐさま人員を連れてヘオコの港へと移動した。


 港で一番の大型漁船が派遣されたオーク戦士たちによって接収され、航海の準備が行われていた。ここに乗るのはスピネイル、インファ、トゥラク以下数名の帝国軍兵士とハイゼが選んだオーク従士数名、それに船を操作する水夫と船長だ。


 ヨアレシュの身柄をハイゼに預けて、スピネイルは彼らと一時の別れとした。


「それでは、行ってきます」

「うむ。呪い娘は某が責任をもってお守りいたそう。無事を祈っておる」

「きちんと帰ってくるんだよ、スピネイル。……そうだ、これ持って行って」


 ヨアレシュは手荷物から何か包みを出し、彼女に投げ渡した。


 それは壁を突破するときに使った大布を切り取り、長三角旗ペナントに仕立てたものだった。


「また、あの呪いもどきを使ってくるようだったら、これを使って凌いでね」

「ありがとう。じゃあ、行ってくる!」

「行ってきますわ」

「ハイゼ殿。重槍は確かにお返しいただいた。感謝します」


 スピネイル、インファ、トゥラクの三人が甲板から手を振る中、漁船は水夫の漕ぎ出しと桟橋の曳夫の手で港から出港していった。


「……海は某らにとって未知の領域。果たしてうまくたどり着けるかのう……」

「大丈夫だよおっちゃん。船乗りたちは自信を持ってたし、スピネイルも不安は無かったよ」

「ほほう、それはお主のあれか。心を読むというやつか」

「まぁね。おっちゃんも、スピネイルの代わりに私をちゃんと守ってよ、ね?」

「おっちゃん言うな! まったく、口の減らぬ娘だわい……」


 遠ざかる船影を見送りながら、二人は罵り合い、笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ